ペットの抜け毛の対策法

ペットと一緒に生活をする上で、一番気になることは何ですか?と質問されたら、どんな回答が浮かぶでしょうか?
とある家電製品の販売元の調査では「ペットの匂い」を抑えて「ペットの抜け毛が気になる」という回答が1番だったそうです。

抜け毛は、服や家具に付くなど、見た目上の問題はもちろんのこと、動物アレルギーの原因にもなりうるので、どうしても気になる方が多いようです。
動物と暮らす以上、抜け毛は付き合っていかなければならないことの一つですが、出来る限り減らして、ストレスなく快適に過ごしていけるような方法がないのか、一緒に考えていきましょう。

毛のタイプ

シングルコート

・1種類の毛が一重に生えている ・抜け毛は少ないが、毛が伸び続ける品種が多く、その場合定期的なトリミングが必要 ・通常の毛の生え変わりはもちろんある

ダブルコート

・2種類の毛(アンダーコートとオーバーコート)の二重構造になっている ・年に2回(春と秋)多く抜ける時期(換毛期)があり、アンダーコートがごそっと生え変わる ・アンダーコートは絡まると毛玉になりやすく、特にお手入れが必要

猫毛のタイプ

  • シングルコートやダブルコート以外にも、三層タイプや無毛タイプもあり、細かく分けると8種類に至ると言われている
  • アンダーコートの抜け毛は、猫の体にとどまると、グルーミングの際に呑み込んでしまうので、こまめなお手入れが重要

動物側への抜け毛対策

こまめなブラッシングに勝るものはない

毛は、抜けると動物の身体にくっつき、その後飛び散るので、その前に、こまめなブラッシングで取り除いておくことが有効です。
また、こまめにブラッシングを行うことで、皮膚の状態も確認できますし、猫の場合、「毛球症」を防ぐこともできます。

換毛期は1日1回を目安に、普段よりこまめに、長く、その子の状態に合わせて行ってあげましょう。
その際、表面をなでるだけで終えてしまうのではなく、地肌から毛先に向かって、しっかりとブラッシングすることが大切です。
特に、抜け毛の問題となるアンダーコートはトップコートよりも短く、柔らかで、かつ細く被毛の内側に生えているので、表面だけとかしていてもうまく取れません。
そのため、ダブルコートの子には、アンダーコートの抜け毛をうまく捉えて、取り除いてくれるアンダーコート用ブラシを使うのがおすすめです。

その他にもスリッカータイプ、コームタイプ、獣毛ブラシ、ラバーブラシ、グローブブラシ、など沢山のタイプが出ていますので、被毛や皮膚の状態、性格などに合わせてお気に入りを選んであげましょう。
ただし、どんなときでも、強すぎは厳禁。人間の赤ちゃんと同じくらい動物の皮膚はデリケートですので、力加減に気を付けて行いましょう。

シャンプーをする

抜け毛を洗い流せる上、汚れも落とすことができるので、シャンプーも有効な方法の一つです。(猫の場合は難しい場合も多いと思いますので、以下主に犬の場合として記します)

まず、シャンプー前に、しっかりとブラッシングをして毛玉をとり、オーバーコートをかき分けるようにシャワーをあてて、アンダーコートと地肌までしっかり濡らすのがコツです。
皮膚トラブル防止のためにも、念入りに洗い流したら、しっかりと水気を取りましょう。
ただし、過度なシャンプーは必要な油分をも奪ってしまうことがあるので、使用頻度には注意が必要です。皮膚の状態にもよりますが、トラブルがない子なら、換毛期でも月に1~2回ほどで十分です。
どうしても抜け毛が気になる場合は、シャンプーは使わず、ぬるま湯で洗ってあげるだけでもよいでしょう。

服を着せる

常にではなく、抜け毛が特に多い季節や抜け毛がどうしても気になるときだけ、限定使用として動物に服を着せる方法もあります。ただし、個体によっては嫌がる場合や、皮膚トラブルを招くこともあるので、必ず動物の状態をよく見て使用してください。また、使用する場合も、こまめに取り換えて、清潔にしてあげることが大切です。

サマーカット

サマーカットをしても毛が短くなるだけで、もちろん抜け毛が少なくなるということはないのですが、短くなることで地肌が見え、ブラッシングがしやすくなるというメリットがあります。しかし、動物の皮膚を防御するものが減るので、個体によっては日光のダメージを受ける等、トラブルを招くこともあり、注意が必要です。

生活環境への抜け毛対策

後回しにしない、貯めないこまめな掃除

これは、時間が経つと、部屋の隅っこやカーペットの奥など、掃除がしにくい場所に抜け毛が移動してしまう可能性があるからです。だからこそ、良く使う掃除道具を手に取りやすいところに置いておき、すぐに使えるようにしておくとよいでしょう。
逆に、見えにくいところや届きにくいところは定期的に、計画的に行いましょう。

大きな家具の周り、風通しの悪いところ、部屋の隅、窓のサッシ、ソファや床には、抜け毛がたまりやすいと言われていますが、具体的な掃除方法を一部ご紹介しましょう。

カーペット

カーペットは中に抜け毛が入り込んでしまうので、掃除機で吸い取るのが基本ですが、ゴム手袋やたわしなどでも代用ができます。 最初に粘着クリーナーで表面の毛を取り除いておくと、より効率がよいでしょう。

フローリング

ペーパーモップ(フローリング用ワイパー)や粘着クリーナーを使用するのが良いでしょう。 部屋の隅っこなどに残っている抜け毛に対しては、ハンディモップで絡めとると扱いやすいです。

新聞紙による掃除がおすすめ。 濡らした新聞紙をびりびりにやぶったら、それを畳の上にまいて、ホウキで掃除します。 その後は乾拭きをして完了です。(玄関掃除や窓ふきなどにも代用できる方法ですね)

布をかける

抜け毛が付いてほしくないものには布をかけてしまうのも一つ。汚れが気になったら洗えば元通りです。 繊細な機材やお気に入りの家具などに、おしゃれな布をかけ、インテリアを楽しんでいる方も多いようですよ。

空気清浄機を上手に使う

空気清浄機はエアコンの向きと反対側に設置すると、部屋全体の空気に流れが生まれ、たまった毛を効率的に集めることができるのでおすすめです。使用する際にはフィルターを2週間に1回ぐらいの頻度でこまめに掃除すると良いでしょう。

最後に

見た目や人への影響からも懸念される抜け毛ですが、抜け毛があるのは生きている限り当たり前のことです。むしろ、その頻度や量などを日頃かきちんと把握しておくことがその子の健康管理の一つにもなります。(ちょっとした変化が、精神状態や健康状態のヒントになります)

そんなことも念頭に置きつつ今後もペットの抜け毛と上手に付き合っていきたいですね。

記事監修
動物病院病院 総長 藤野 洋

アニホック往診専門動物病院獣医師 藤野 洋

日本大学生物資源科学部(旧農獣医学部)獣医学科卒業。
卒業後、約20年にわたり動物病院でペットの治療に従事。
2007年(株)フジフィールド創業。動物病院とトリミングサロンのドミナント多店舗展開を行い、複数店舗の開業/運営を果たす。

日本大学生物資源科学部(旧農獣医学部)獣医学科卒業。
卒業後、約20年にわたり動物病院でペットの治療に従事。
2007年(株)フジフィールド創業。動物病院とトリミングサロンのドミナント多店舗展開を行い、複数店舗の開業/運営を果たす。

【エデュワードプレス(旧インターズー)】・トリミングサービス成功事例セミナー講師・トリミングサービス成功ガイド監修・Live trim2018 マネージメントセミナー講師 【メディア】・ラジオ調布FM ペットオーナー向け番組MC・多摩テレビ 「わんにゃんMAP」番組パーソナリティ・j:comジモトピ「世田谷・調布・狛江」出演