猫がグルーミング時に大人しくするためのしつけ3つのコツ

猫をグルーミングしてあげよう

多くの人が猫について勘違いしていることがひとつあります。それは「猫は自分でグルーミングするから飼い主がわざわざグルーミングをする必要はない」ということです。この記事に興味を持ってくださった読者の皆さんはきっと「そうじゃないんだ!」という思いでこの記事にたどり着いてくださったはずですが、改めてグルーミングが必要な理由を簡単に説明しておきます。

猫の毛というのは本当に量が多いものです。自然界で過ごしている猫であれば、茂みの中をくぐり抜けたり木に登ったりするときに葉や枝に引っかかって自然と毛が抜けていきますが、家の中で飼われている猫にはそんな機会はありません。つまりむだ毛が除去されないままグルーミングをしなければならないのです。そうすると、必然的に飲み込んでしまう毛の量も増えますし、吐き出さなければならない毛の量も増えるわけです。それがもし年を取って喉の筋肉が衰えた猫であったら、毛玉の吐き出しが上手くいかず病気の原因になってしまうかもしれません。ですから、人間が定期的にグルーミングを行ってあげることは猫の健康にとって非常に大事になってくるのです。

そんな大切なグルーミングですが、愛猫に嫌がられてしまうことが多々ありますよね。そうならないようにグルーミングをする時に注意するべき点を3つ挙げたいと思います。

正しいブラシを使う

さあ、グルーミングをしよう、と思った時。手に持っているブラシは猫の毛足に合ったものかどうか、もう一度チェックして下さい。毛足が長い猫に毛足の短いブラシを使っては、より奥の方の被毛までブラシが届かずブラッシングの意味がありません。逆に毛足が短い猫に毛足の長いブラシを使ってしまうと、必要以上の力が皮膚にかかり猫を傷つけてしまうことがあります。いくつかブラシの種類を紹介しておきましょう。

(1)毛ブラシ:毛ブラシは動物の毛やナイロンなどで作られたブラシで、ほとんどの毛足の猫に使うことが出来ます。一般的に、毛が長い猫には毛足が長く、面積も広いものを選ぶと良いでしょう。また毛がかたい猫には必要に応じて毛のかたいブラシを使うと良いでしょう。

(2)ワイヤーピンブラシ:毛先にプラスチックで玉が付いているタイプと付いていないタイプがあるブラシです。ミディアムからロングコートの猫や、巻き毛や羊毛のような毛の猫に使ってあげましょう。

(3)スリッカーブラシ:毛部分がワイヤーで作られたブラシです。抜け毛やダマになってしまった毛を除去するのに適しているブラシです。

(4)目の細かいブラシ:細くかたい毛をお手入れするのに適したブラシです。飾り毛や抜け毛をお手入れするのにも適していますが、抜け毛がひどい時は抜け毛専用のブラシを使ってあげましょう。

(5)円形ゴム製ブラシ:ゴムで出来たブラシで、グルーミングと共にお肌のマッサージや抜け毛除去にも役に立つブラシです。グルーミングの最後に行うとより効果的です。

グルーミングブラシには本当に色んな種類がありますから、用途によってきちんと使い分け、グルーミングは気持ちが良いものなのだと猫に分かってもらうことで大人しくグルーミングされるようになるでしょう。

被毛と逆向きにグルーミングしない

被毛と逆向きにグルーミングした方が良いと思っている人は意外と多いのではないでしょうか。確かにそちらの方が毛が多く取れるような気がしますよね。しかし本当のところはそうでもないのです。考えてみて下さい、小さい時に髪の毛を引っ張られて痛い思いをしたことはありませんか。猫も同じで、毛を逆なでされると嫌な気分になることが多いのです。下手をするとグルーミング中に引っかかれてしまう事もあるかもしれません。ブラッシングは毛並みにそって行い、後から毛の反対側からドライヤーを当ててあげると喜ばれるでしょう。風を当てるのであれば、ブラシで逆なでされるよりも不快感は少ないですし、ブラシで取り切れなかった細かい抜け毛も吹き飛ばすことができます。特に神経質な猫を飼っている場合、猫の気持ちを傷つけないために重要なことは、ブラッシングは必ず被毛の向きにそって行うということです。

毛玉を素手で取らない

ダマになってしまった毛というのはブラッシングでは本当に取りづらいものです。からまったり、ブラシから取れてしまって猫の毛の上に逆戻りしてしまったり、本当に厄介なものです。しかしだからといって素手でぐしゃっと毛を掴み引っ張って取ろうとするのはNGです。毛を引っ張られると痛いですし、猫が飼い主や飼い主にグルーミングされることそのものを敵視することに繋がってしまうからです。毛玉を取るのに苦労しているのであれば、定期的にプロのトリマーのところに連れて行って適切に処理してもらうのもひとつの手です。お手入れが大変なのであれば、動物病院に定期的に連れて行くのと同じ感覚で、プロのトリマーを利用することも検討しても良いかもしれませんね。

定期的に猫のグルーミングをしてあげると猫の身体を清潔に保つことが出来ますし、健康状態もよくなります。さらにはノミやダニが付いていないか、怪我をしていないかといった健康チェックにもなります。定期的に抜け毛を処理してあげることで猫が毛を飲み込んでしまう量を減らすことも出来ますし、特に年老いた猫にとってこのことは病気を未然に防ぐいい手段になります。そしてなにより気持ちの良いグルーミングができればお互いの愛情も深まり、より幸せな生活が送れるようになるでしょう。グルーミングで猫が暴れてしまうという飼い主さんはぜひブラシが適切かどうか・ブラシをかける向きが適切かどうか・トリマーを利用してみないか、見直してみましょう。

記事監修
動物病院病院 総長 藤野 洋

アニホック往診専門動物病院獣医師 藤野 洋

日本大学生物資源科学部(旧農獣医学部)獣医学科卒業。
卒業後、約20年にわたり動物病院でペットの治療に従事。
2007年(株)フジフィールド創業。動物病院とトリミングサロンのドミナント多店舗展開を行い、複数店舗の開業/運営を果たす。

日本大学生物資源科学部(旧農獣医学部)獣医学科卒業。
卒業後、約20年にわたり動物病院でペットの治療に従事。
2007年(株)フジフィールド創業。動物病院とトリミングサロンのドミナント多店舗展開を行い、複数店舗の開業/運営を果たす。

【エデュワードプレス(旧インターズー)】・トリミングサービス成功事例セミナー講師・トリミングサービス成功ガイド監修・Live trim2018 マネージメントセミナー講師 【メディア】・ラジオ調布FM ペットオーナー向け番組MC・多摩テレビ 「わんにゃんMAP」番組パーソナリティ・j:comジモトピ「世田谷・調布・狛江」出演