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犬の飛びつきと聞いて一番に思い浮かぶ場面は、「飼い主が帰宅したとき」ではないでしょうか。このとき犬は飼い主と再会した「喜び」から飛びつきます。あふれる感情が抑えきれず、全身で喜びを表現して飼い主の注目を引こうとしているのです。
「喜び」以外にも犬が飛びつく理由がいくつかあります。特に子犬に多いのが「好奇心」からの飛びつきです。興味を引くもの、見たことがないものに対して「あれは何だろう?」という疑問と、確かめたい好奇心から、人や他の犬、自転車などに飛びついてしまいます。
次に挙げられるのが「狩猟本能」からくる飛びつきです。ダックスフンドやビーグル犬などの猟犬に特に多い行動で、動くものに対して本能的に飛びついて捕まえようとするときがあります。本能だから仕方ないと放置していてはトラブルの元なので、きちんとしつけをしてあげる必要があります。
また、「優位性の確認」による飛びつきもあります。これは、犬同士が出会ったときに「どちらが上か」を確かめるために上に乗ろうとするときの飛びつきです。子犬のうちは歯や爪も未発達ですので大事にはならないことが多いですが、成犬ともなると相手の犬をケガさせてしまう恐れがあります。
他にも、「威嚇」や「警戒」による飛びつきもあります。宅配便の人など見知らぬ人を危険と判断し、遠ざけるために飛びついて威嚇をします。
こうした飛びつきは飼い主にとっては可愛いものかもしれませんが、他人をケガさせる危険性があることを忘れないでください。愛犬がたとえ小型犬でも、犬が苦手な人が飛びつかれたら驚いてバランスを崩して転倒し、大ケガをしてしまうことも考えられます。
飛びつき癖を直したいと思っている飼い主の方の中には、犬が飛びつくたびに「ダメ!」と大きな声で叱っている人もいるのではないでしょうか。
驚いて飛びつきをやめる犬も中にはいますが、飼い主が大きな声を出すと犬は「飼い主が喜んでいる」と勘違いし、行動がエスカレートする場合もあります。大声を出して叱ることは、必ずしも有効なしつけ方法ではないのです。
飛びつき癖を直す方法ですが、端的に言うと「飛びついてきたら無視」と、「飛びつかずにお座りが出来たらご褒美を与える」を繰り返し行うことです。
具体的に説明します。まず、しつけ中は犬の可動範囲を限定できるようリードで固定しましょう。犬が落ち着いたところで飼い主はおやつを手に持ち、おやつを見せながら犬に近づきます。飛びつき癖がある犬はここで飛びついてきますが、「お座り」と命じて座らせましょう。
もしくはおやつを犬の頭上にもっていくと、おやつを視界に入れるために犬の鼻先が自然と上がって腰が下がり、お座りする形になるので、その習性を利用してお座りさせても構いません。
この段階でもお座りをしなかった場合は、おやつをあげず、何も言わずに立ち去ります。これを繰り返し行ない、おやつを見せて近付いても飛びつかず、きちんとお座りをするようになったら初めておやつを与え、たくさん褒めてあげます。
こうすることで、犬は「飛びついても何ももらえない」ことと、「飛びつかずにお座りをしたらご褒美がもらえる」ことを学習します。
この訓練を繰り返し行いながら、おやつをあげる頻度を徐々に少なくしていきましょう。犬にとっておやつは大変嬉しいご褒美ですが、大好きな飼い主が褒めてくれることも十分ご褒美ですので、おやつがなくても「飼い主が近づいてくると座る」という行動をとるようになります。
このしつけは、時には家族など別の人が行ってあげるとより効果的です。別な人のしつけでも上手にお座りが出来れば、来客など誰が現れるか分からない状況でも、飛びつかずにお座りをすることが出来るようになってきます。
また、帰宅時など、訓練中以外のときに飛びつきをした場合は大声で叱ったりせず、犬が落ち着くまで無視をしてください。飛びつきをやめ、上手にお座りをしたら褒めてあげます。
座らない場合でも、大声を出すと犬の興奮を煽ってしまうこともありますので無視を続け、数分して犬が落ち着いたら、撫でたり声をかけたりしてあげましょう。
犬の散歩時の急な飛びつきに苦慮している飼い主の方も多いのではないでしょうか。散歩時の飛びつき・引っ張り防止に役立つグッズを2つご紹介します。
このハーネスは、犬が引っ張るとハーネスの胸部が締まり、前に出ようとする力を小さくしてくれます。前進する力が抑制され、横や後ろに誘導するのが通常のハーネスよりも楽になるので、とっさの飛びつきや引っ張り防止に役立つアイテムです。
こちらもハーネスです。イギリス人の犬の専門家が考案したこのハーネスは、後ろに引っ張ると犬が振り向くような設計になっています。使い方としては、犬が散歩中に引っ張ったら立ち止まり、後ろに下がります。このとき犬はハーネスの作用により自然と後ろを向くので、飼い主の横に来させるように誘導し、上手にできたら褒めてあげます。
散歩中の飛びつきはトラブルの元になりやすいので、こうした飛びつき防止グッズを上手に利用しながら飛びつき癖を直していきましょう。