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預かり訓練とは、愛犬を訓練所に一定期間預け、基礎的なしつけや飼い主の要望に沿った訓練をプロのトレーナーや訓練士に行ってもらうところです。数か月以上の長期的な受け入れを基本としているところが多いようです。
中には家庭犬のみならず、警察犬の訓練も実施している日本警察犬協会公認の訓練所もあります。訓練所によっては、ドッグショーなどの競技会への参加を目指せるレベルの高度な訓練を行ってくれるところもあります。
また最近では、「保育園」「幼稚園」と呼ばれる、1日単位で犬を預かり簡単なしつけも行ってくれるサービスが人気を集めています。
午前中~夕方(施設によっては夜)まで数匹のグループで共に過ごし、ご飯やお散歩タイムもあるので、まるで人間の保育園・幼稚園のような内容であることからそう呼ばれています。
保育園・幼稚園は長期的な預かり訓練に比べ、しつけの内容はお座りやお手などごく基本的なものに限られるところが多いようですが、預かり訓練よりも気軽に1日単位で愛犬を預けられるため、日中働いている人や、忙しい飼い主の方から特に支持を集めています。
しつけ教室とは、トレーナーが犬に対してしつけを行うと同時に、「飼い主が犬をどう扱うか」を学ぶところでもあります。1時間程度のグループレッスンを主体としているところが多いですが、中には1対1のプライベートレッスンや、自宅に出張してトレーニングを行ってくれるところもあります。
預かり訓練 | しつけ教室 | ||
長期 | 短期(保育園・幼稚園) | ||
特徴 | 数か月間愛犬を訓練所に預託。 基本的なしつけに加え、希望により本格的な訓練も実施する。 | 1日単位で犬を預託。 犬のしつけよりも「安全に預かる」ことに重点を置く施設が多い。 しつけはごく基本的なものに限る。 | 1レッスン(約60分~90分)から利用可能。 「犬へのしつけ」より「飼い主にしつけ方法を伝授」する意味合いが強い。 |
期間 | 1か月~。 最低4か月以上とする訓練所が多い。 | 1日~。 午前中に愛犬を預け、夕方または夜に飼い主が迎えに行くスタイル。 | 1レッスン約60分~90分。 1回のみから利用可能なところもある。 |
価格 | 約50,000円~/月 | 約5,000円~/日 | 1レッスン約3,000円~ |
預かり訓練としつけ教室の大きな違いは「期間」です。長期の預かり訓練では基本的に1日単位の受け入れはしておらず、最低4か月間を基本としており、1度犬を預けたら月に1回程度の面会しか出来ないところも多いようです。その上、面会には事前予約が必要です。
短期の預かり訓練に位置付けられる保育園・幼稚園は1日単位から犬を預けることが出来ます。
一方しつけ教室では1レッスン毎の受け入れを行っているところも多く、レッスンは1回につき60分~90分程度です。レッスンは基本的に飼い主同伴で、「トレーナーが飼い主に犬のしつけや扱い方を教え、飼い主が実践する」スタイルでしつけを行う教室が多いです。
しつけのレベルにも違いがあります。長期の預かり訓練ではプロの訓練士が常駐しているところが多く、基本的なしつけはもちろんのこと、飼い主が希望すればより高度な訓練も行ってくれます。
保育園・幼稚園はどちかというと「しつける」というより「預かる」意味合いが強く、しつけに関してはお座り・お手などの基本的なもののみ教えるところが多いようです。
しつけ教室はしつけのレベルは基礎的なものに留まりますが、同時に飼い主がしつけの技術・知識をトレーナーから教わることが出来る点が保育園・幼稚園との大きな違いと言えます。
預かり訓練のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
【長期の預かり訓練】 ・プロの訓練士による高度な訓練が期待できる ・数か月間集中してしつけを行える ・犬を一度預けたらそのまま数か月間訓練所での生活になるため、送迎や餌やり、散歩などの必要がない 【短期の預かり訓練(保育園・幼稚園)】 ・1日単位から預けられるところが多い ・グループで過ごすため、他の犬との社会性を身に着けられる | 【長期の預かり訓練】 ・面会出来る機会が少なく、犬の成長を間近で見ることが出来ない 【短期の預かり訓練(保育園・幼稚園)】 ・しつけは基本的なレベルしかしてもらえない 【短期・長期共通】 ・訓練中の様子を把握しにくい ・飼い主の扱い方によっては、自宅に戻ったら言うことを聞かなくなる犬もいる ・中には犬の管理体制や訓練がずさんなところもある |
表に記載したように、預かり訓練はメリットもありますがデメリットもあります。プロの訓練士が経営している長期預かり訓練所では、競技会出場を目指せるレベルの訓練を行っているところもあるため、より高度なレベルを求めている方にはおすすめです。
また、忙しくてしつけをする時間がなく訓練所に預けたという人の中には、犬の面倒を見てもらいながらしつけも行ってもらえるため一石二鳥だ、という意見もあります。
保育園・幼稚園のメリットは、長期の預かり訓練に比べ1日単位から気軽に利用できる点と、他の犬との交流により社会性を養うことが出来る点です。
一方デメリットとしては、訓練期間は犬を訓練所に預けたままになるのでその成長を見守ることが出来ない点や、自宅に戻った後に飼い主が犬の扱い方を間違ってしまってはせっかくのしつけが無駄になる恐れがあるという点です。
また、訓練所の中には犬の管理体制がずさんだったり、厳しい体罰でしつけを行うような悪徳な訓練所もあるようですので、預ける前には施設見学などをして入念に調査をすることをおすすめします。
しつけ教室のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
・1レッスン(60分~90分程度)から気軽に参加できるところが多い ・飼い主が犬のしつけ方法を学ぶことが出来る ・グループレッスンでは犬同士の交流が出来、社会化を育む機会になる ・飼い主同士の交流の場にもなる | ・レッスンは飼い主同伴のため忙しい人にとっては時間の確保が大変 ・犬の問題行動が深刻な場合、グループレッスンでは矯正が不可能な場合もある ・高度な訓練は期待出来ない |
しつけ教室のメリットは、預かり訓練に比べると気軽に利用できる点です。中には格安の体験教室を設けているところもあります。
そのほかの大きなメリットとしては、グループレッスンの場合は犬同士、飼い主同士の交流が生まれるという点です。犬同士の交流は社会性を身に着けるうえで大変重要なことです。小さいうちから他の犬との遊びや喧嘩を経験しておくと、人間とも正しい関係性を築くことが出来ると言われています。
また、グループレッスンは他の飼い主との交流の場にもなるので、励まし合ったり相談に乗ってもらうなど、お互いに刺激し合って犬のしつけを行うことが出来ます。
デメリットとしては、預かり訓練のように集中的にしつけを行うことを目的とはしていないため、犬の問題行動が深刻な場合は効果が出なかったり、他の犬に迷惑をかけてしまう恐れがある点です。
また、警察犬のようなプロレベルの訓練を求める人にとっては、しつけ教室の内容では物足りないと感じるでしょう。
以前は「預かり訓練のみ」、「しつけ教室のみ」のように特化型のドッグスクールが多かったのですが、最近ではペットホテルやトリミング、しつけ教室など複数のサービスを扱う複合型が人気を集めています。今回は東京都内を中心に、人気の高いドッグスクールを3つご紹介します。
東京都内で3店舗を展開しているラブワン。注目すべきは豊富なサービスで、ペットホテル、保育園(幼稚園)、しつけ教室、トリミング、短期~長期預かりまで、犬に関する各種サービスを提供しています。
犬の画像付きで更新されているブログからは清潔な店内の様子が伺えます。24時間ドッグトレーナーが常駐し、ペットホテルや保育園(幼稚園)を利用する場合は無料送迎も行っています。飲み水もピュアウォーターを使用するなど、こだわりが感じられる施設です。
ペットホテル・しつけ教室を提供しているアスレチックドッグクラブ。1時間から利用できるしつけ教室は、3,240円~と良心的な価格です。1週間、1か月間の預かり訓練も行っています。
ペットホテルは犬になるべくストレスを与えないよう「ケージレス(ノーケージ)」を基本としており、犬への愛情と飼い主への心配りが感じられます。
ドッグライフプランナーズではしつけ教室、保育園(幼稚園)、ペットホテルのサービスを提供しています。しつけ教室の売りは「英国式」。動物愛護の先進国であるイギリスのドッグスクールの技術提供により、楽しく効果的なトレーニングを実践しています。
個別でしっかりしつけを行いたい人向けに、出張トレーニングも行っています。自宅でのトレーニングは、家や周囲の環境、愛犬の状態に合わせてよりきめ細やかなトレーニングが行えるため、効果が高いと言われています。
犬のしつけをしっかり行うことは飼い主の義務だと言えますが、どうしても手に余る場合やプロの手を借りてしっかりしつけたい方は、預かり訓練やしつけ教室を利用するという選択肢もあります。
預かり教室としつけ教室はどちらが良いとは一概に言えず、飼い主さんの置かれている環境や愛犬の問題行動の程度にもよります。
どちらを利用するにせよ、事前に施設見学や比較検討を十分に行い、しつけをしっかり行ってくれるだけでなく、誠実で安心して利用できる施設を選んであげてくださいね。