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チワワと暮らしていると、様々なシチュエーションで威嚇している姿を目にする機会があります。以下では、チワワが威嚇してくる主なシチュエーションを3つご紹介します。
散歩中に前から見知らぬ犬や仲良くはない犬が近づいてきたりすると、威嚇し、吠えることがあります。また、家族以外の人間が触ろうとした時に威嚇するチワワもいます。
その他には、車の中でお留守番をしているチワワが、車に近づく人間に対して「ウゥー、ワンワンワン」とその人間が遠ざかるまで吠え続ける姿が、しばしば駐車場などでみられます。
家の中でチワワが最も威嚇吠えをするシチュエーションは、玄関のインターホンが鳴った時です。宅配便業者や郵便配達員など、見知らぬ人間の来客を歓迎せず、威嚇することがあります。
また、チワワは排他的な面があるため、友人・知人といった来客にまで吠えることもあるので、犬を飼ったことが無い知人や友人は、チワワの態度にショックを受けるでしょう。
家庭内で起こり得るその他のシチュエーションとしては、人が自宅の周辺を通っているケースです。
マンションなら玄関前の廊下を誰かが通った時に威嚇吠えをしたり、一戸建てであれば家の周囲を誰かが通った時に「ワワワワワン」と、けたたましく吠えたりすることがあります。
家族に対しては、「吠える」とまではいかなくても、「ウゥー」と唸ることが次のようなシチュエーションでみられます。
勿論、上記以外の理由で吠える場合もあります。犬の中でもチワワは一人の時間を大切することがあるので、大好きな家族であっても、突然抱っこをされると唸ることもあるでしょう。
小さくて愛らしいチワワですが威嚇時にはチワワなりに精一杯の迫力を出そうとしています。そこで、チワワが威嚇している時の行動についてご紹介します。
威嚇の最初の段階では、まず身体が一時的にピシッと固まります。動画再生の一時停止ボタンを押したような姿は、威嚇するか否かを判断している証拠です。
次いで、口角を持ち上げ、口を軽く開け、相手に歯を見せます。この時、「ウゥー」、「グルル」とかなりの低音ボイスで唸ります。
威嚇対象がそのまま近づいてくると、口角をさらに持ち上げ、歯を相手にしっかり見せつけます。それと共に、唸り声はどんどん大きくなり、背中の毛も逆立ってきます。
ここで威嚇対象が遠ざかれば、威嚇のポージングは終わります。しかし、威嚇対象が近付いてくるようであれば、威嚇吠えを始めます。
威嚇の際は、低い声で連続して吠えては唸り、唸っては吠えを繰り返します。
ただ、チワワをはじめとした小型犬種は、中型犬種や大型犬種に比べて普段の声の音域が高めです。つまり「低い声」といってもチワワなりの低さです。
大型犬の威嚇の声が「バウバウ」とすれば、チワワの威嚇の声は「アンアン」「キャンキャン」、かなり低くても「ギャンギャン」「ワワワワン」なので、高音域に感じられるかもしれません。
とても残念なことですが、威嚇しても相手が立ち止まったり遠ざかったりせず、近づいて来た場合は、チワワはやむなく噛むことがあります。
また、チワワが威嚇する原因となった行動を相手が続けた場合、相手のそれ以上の行動を拒否するため、あるいは威嚇してもどうにもならないとチワワがパニックに陥って噛んでしまうことがあります。
これは、そのチワワが耐えられるギリギリのある一線を人間や相手の犬が超えたことから起こる事態です。
しかし、幼少期の基本的な社会化が不十分であったことによって、チワワ自身が対処方法を覚えられずに威嚇し、噛むこともあります。
このような不幸な事態に陥らないためには、威嚇吠えをする原因を飼い主さんが正しく把握しておくことが大切です。
私たちが話すことでコミュニケーションを取るように、犬も吠えることでコミュニケーションを取ろうとします。吠える原因は状況によって色々ありますが、その中でも威嚇吠えをする原因について解説していきます。
チワワは飼い主に対しては愛情深いのですが、その反面、他者に対しては警戒心が強く、縄張り意識も高い犬種です。
そのため、チワワが縄張りとしている家の周囲に他人や犬が近付くと威嚇し、吠えて相手を近付けまいとしたり、家族に誰かが近付いていることを教えてくれたりするので、番犬としてはとても優秀です。
ただ、配達や来客など飼い主さんが吠えて欲しくない時にも吠え過ぎてしまい、ご近所迷惑になってしまうケースもあるので、ご家庭によっては対処が必要な場合もあります。
それでは、どのようにして対処をすれば良いのでしょうか?チワワが威嚇吠えをする時の心理と原因をご紹介します。
チワワが家庭内で威嚇する時は、威嚇しているチワワにとって嫌な事態が迫っており、不快に思っている状態です。
家庭内での威嚇や威嚇吠えは、飼い主の対応が誤っていたり、愛犬とのトレーニングが十分なものではなかったりした場合に起ることがあります。
また、家庭内で飼い主や家族にチワワが威嚇する場合、その多くは「自分のものを取られたくない」「邪魔されたくない」「嫌なことをされたくない」といったことがきっかけであることが大半です。
チワワにとって、人間はとても大きな生き物です。人間の手はチワワの頭よりはるかに大きく、その手が意味もなく迫ってくれば恐怖に感じるシチュエーションもあります。
チワワと飼い主さんの信頼関係が不十分な時期に、チワワにとって嫌な思いや痛い思いをさせられたら、同じようなシチュエーションになると恐怖を感じることもあります。
こういった恐怖や不安から逃れようとした結果、チワワが威嚇して唸ったり吠えたりしてしまうことがあります。
また、威嚇すれば「自分の主張が通る」「恐怖や不安が解消される」と覚えた場合、威嚇行動はチワワの脳内では「正しい行動」と認識されるため、同様の場面で威嚇行動をとることがあります。
そのため、チワワが威嚇吠えをした時に飼い主であるご自身がどのような行動を取っているのか、きちんと把握しましょう。
散歩中に他の犬に威嚇吠えするチワワは、子犬の頃に他の犬とコミュニケーションを取る機会が無かった子が多いです。
この様なチワワは多く、幼少期の社会化が不十分であったことが原因の一つとしてあげられます。
通常、犬は自分の気持ちを耳や尻尾を動かし、仕草や行動で伝え合います。そのため、滅多に吠えたり唸ったりすることはありません。
しかし、社会化が不十分なまま成犬になると、犬同士で気持ちを伝え合う仕草や行動を覚える機会がないので、吠えて気持ちを伝えようとします。
ちなみに、他の犬に対して威嚇吠えをした際、叱りながら撫でたり、抱き上げたり、叱る声が優しかったりすると、チワワは「嬉しいことが起きた!」と勘違いしてしまい、散歩中の威嚇吠えが増えます。
威嚇吠えを抑制するためにも、飼育の方法や環境には十分、注意しましょう。
今まで威嚇または威嚇吠えすることが無かったのにも関わらず、突然、威嚇行動を取るようになったり、攻撃的になったりした場合は、脳腫瘍(のうしゅよう)等の脳内の異常が原因である場合があります。
脳腫瘍の主な治療については、「外科手術」「放射線療法」「抗がん剤治療」「対症療法」の4種類があり、抗がん剤治療と対症療法を選ぶ飼い主さんが多いです。
チワワの威嚇吠えの対処法やしつけの方法は、威嚇吠えの対象とシチュエーションによって変わります。ここではしつけの方法におけるポイントと、威嚇吠えの一番の悩みである来客時の対処法について解説します。
チワワを始め、犬をしつける場合は、どんな時でも大切になる極意ともいうべきポイントが2つあるのでご紹介します。
一番大切なことは飼い主の行動を常に一貫させることです。
縄張りや家族を守るため、誰かが近づいてきていることを知らせているチワワに対し、吠えている姿を喜んだり、逆に「うるさい」と叱ったりすると、その矛盾にチワワが戸惑います。
愛犬を困惑させないため、褒める時と叱る時の線引きを家庭内で統一しておくことがとても大切です。
いくら賢いチワワでも人間の言葉を全て理解することはできません。言葉で叱りながら態度で褒めたり、言葉で褒めながら態度はおざなりになったりしないよう、行動と言動は注意する必要があります。
飼主さんが「吠えてはダメ」と言いながら、撫でたり抱き上げたりすると、チワワは褒められたと勘違いをして、さらに吠えるでしょう。
叱る時は低い声で叱り、撫でたり抱き上げたりしてはいけません。
そして、褒める時は心から褒めてあげましょう。人間の子供では「褒める」と「叱る」の比率は10:1が理想的といわれていますが、犬も同じようにたくさん褒め、必要な時は端的に叱ることが大切です。
これらを踏まえた上で、来客時の威嚇吠えの対処法を行ってください。
威嚇吠えをさせないためには、基本的なトレーニングである「オスワリ」「フセ」「マテ」「ハウス/ベッド」等、いずれか1つのトレーニングができることを前提として解説します。
これらのトレーニングができていないチワワは、アイコンタクトを含めた基本的なトレーニングから開始しましょう。
それでは、トレーニングについて解説します。チワワが来客時に吠える場合、「嬉しさのあまり興奮して吠える」「警戒して威嚇している」の2パターンがあります。
どちらの場合も対処法として、「ハウス」「フセ」「マテ」が有効です。
玄関のチャイム音で吠えるチワワの場合、チャイムが鳴った時にハウスやサークルの中にセットしたベッドの上などで「フセ」と「マテ」をさせましょう。「フセ」の姿勢は力いっぱい吠えるのは難しいのでおすすめです。
その状態でも吠え続ける場合は、「ストップ」や「ダメ」といった号令をかけ、チワワが静かにしたら褒めてあげます。
そして、威嚇吠えを止めたら、直ぐに「フセ」をして「マテ」ができたら美味しいご褒美をあげましょう。すぐにあげられるよう手元には特別なおやつを用意しておくと良いです。
「マテ」の時間は、最初は1~2秒とし、徐々に時間を長くしていきます。
この訓練は、日に何度もタイミングよく練習する必要があるので、友人や知人にお願いして行うか、ドッグ・トレーナーに依頼すると良いでしょう。
友人や知人にお願いする場合、1回20セットを1日2回、3日連続して行うことが効果的とされています。
また、このトレーニングは、窓や玄関を覗いて通る人や犬に威嚇吠えをするチワワにも応用できます。
チワワが自宅の外を通る人や犬に吠えたら、飼い主さんが「ストップ」と指示を出し、鳴きやんだらご褒美に褒めたり、おやつを与えたりして訓練を繰り返します。
「吠えたら号令で鳴き止む」あるいは、「吠えた後はハウスに入って大人しくフセをする」といったトレーニングを愛犬が身に付け始めたら、おやつを与える回数を毎回ではなくランダムにしていきます。
但し、ご褒美をあげない場合でも、毎回きちんと褒めてあげましょう。
散歩時の威嚇や威嚇吠えに関しては、犬の取扱いに長けた人間と充分に社会化した犬との訓練が必要となります。
ドッグ・トレーナーは必ず十分に社会化した犬をパートナーとしているので、家族だけではしつけができずに困っている場合はドッグ・トレーナーに相談してみましょう。
家庭内での威嚇や威嚇吠えの場合、その原因が複雑に絡み合っていることが多く、適切な対処をしなければ実際に他の人や犬を噛むこともあります。そうなる前に、ドッグ・トレーナーや行動学専門の獣医師に相談することをおすすめします。
威嚇行動は、子犬も「警戒している」「怯えている」「不安に思っている」等、負の感情が作用している時に見られます。
但し子犬の場合、生後12週齢前後の時期までは警戒心や不安感を持つよりも周囲への好奇心や探索心の方が強く、威嚇するより遊ぶことや探索することに興味を持っています。
この時期を過ぎてくると次第に警戒心や不安感を覚え出し、周囲の物事に対して威嚇行動を取り始めます。
警戒心や不安感は、危機回避能力を身に着けるために大切な感情なので、周囲に対して警戒したり、不安を覚えたりするのは正常な発育の一環です。
しかし、その感情が過剰になると問題行動へ移行していきます。
威嚇の行動が過剰になる原因は、成犬とほぼ同じで、「幼少期の社会化が不十分」「威嚇した際の飼い主の対応が誤っていた」「日々のトレーニング不足」です。
ただ、月齢が進むほど、社会化ができるまでに時間を要してしまいます。しかし遅すぎる事は無いので、今からでも「幼少期の社会化不足」へは対処をしていくことが大切です。
幼少期の社会化への対処は、動物病院やドッグ・トレーナーが開催しているパピークラスやパピーパーティーへの参加で培うことができるので、チワワの威嚇吠えでお悩みの飼い主さんは検討する価値があります。
こういった催しは子犬が犬との触れ合いを通じて、犬との付き合い方が学べる場です。
それと同時に、飼い主自身がプロのトレーニング方法を間近で見学できる数少ない機会でもあります。
愛犬との触れ合い方やトレーニングのコツについて、見ているだけでも学べる部分がある良い機会です。
犬との触れ合い方やトレーニングのコツなどについて学べば、チワワが威嚇した際に飼い主さんが誤った対応を取ることが無くなる上、日々のトレーニング不足も解消されるので、おすすめです。
こういった子犬の社会化に取り組んでいる催しがあれば、積極的に参加してみるのも良いでしょう。
チワワは最も小さい犬種ですが、賢く勇敢な性格のため、威嚇吠えをすることがあります。しかし、威嚇吠えは飼い主さんのしつけや対応次第で制限することが可能です。
筆者が飼育しているチワワは、新居で威嚇吠えをしたことがありましたが、厳しい態度と一貫した指示により、1週間程度で改善されました。
チワワに限らず、犬は人間の指示を待っている生き物なので、飼い主さんは愛犬への態度を決めておくとしつけがしやすくなるのでおすすめです。