持病・既往症や治療中の病気があってもペット保険に加入できる?

ペット保険加入の際に気になるのは、「持病があったり、病歴・既往歴があっても保険に入れるの?」「現在すでに治療中の病気があるんだけど、保険に入れば補償が受けられる?」「保険に加入できないのはどんなとき?」といった点ではないでしょうか。

今回はそれらペット保険の疑問点について、詳しく調べていきたいと思います。

いま治療中の病気やケガがあるんだけど、それって保険に入れば補償されるの?

「ペットが病気になった…」「ケガをしてしまった…」

そうなって初めてペット保険の加入を考えたという方もいるのではないでしょうか。

動物病院で手術や入院をしたところ、かなり高額な診療費を請求されて驚いたという方も少なくないでしょう。そんな時、「ペット保険に入っておけばもう少し安く済んだのに…」と後悔することもあるかと思います。

そこで気になるのが、病気やケガになった後に保険に加入しても、その病気やケガは補償対象になるの?ということだと思います。病気になった後やケガをしてしまった後など、既往歴がある状態でもペット保険に加入し、補償が受けられたらいいですよね。

しかし、答えは残念ながら「補償されない」ということになります。現在治療中の病気やケガは自己負担で治療するほかありません。

ペット保険は原則として、保険に加入した後に患った病気やケガの補償をしてくれるものです。

保険というのは加入者同士が助け合うことで成り立っています。もしも保険加入前の病気に対して補償を受ける人が多数いた場合、保険そのものが成り立たなくなる可能性があるのです。

それを防ぐために、保険加入の際には厳しい審査が存在します。

ペット保険に入る際には「告知義務」というものがあります。告知義務とは、ペットの健康状態を正確に保険会社に伝えなえればならない義務のことです。この中には現在治療中の病気やケガも含まれています。

これは義務ですので、例えば、現在治療中の病気やケガを隠して、保険加入後に保険金を受け取ろうとした場合には、法律で罰せられる可能性があります。

持病や病歴があってもペット保険に入れるの?

告知義務ではペットが過去に患った病気や生まれながらに持っている持病を告知する必要があります。

過去に患ったことのある病気は既往症、生まれながらに持っている持病は先天性疾患と呼ばれています。

ペット保険の加入は基本的に健康であることが原則です。そのため、既往症や先天性疾患があった場合には、保険に加入できないことがあります。

ただし、既往症や先天性疾患にも「一度でもかかったことがあると保険に加入できなくなる病気」と「条件付で保険に加入できる可能性がある病気」という2種類分けることができます。

つまり、持病や病歴があっても条件付で入れる保険があるということです。

どんな病気・病歴を持っていると保険加入が難しいの?

では、「一度でもかかったことがあると保険に加入できなくなる病気」と「条件付で保険に加入できる可能性がある病気」にはどのようなものがあるのでしょうか。

「一度でもかかったことがあると保険に加入できなくなる病気」は主に死に至る可能性のある重度の疾患や他の病気を併発しやすいホルモン分泌系の病気になります。例えば悪性腫瘍や糖尿病などです。

「条件付で保険加入できる可能性のある病気」には、再発性の高い病気やワクチンで防止できる病気などが主に当てはまります。例えば、膝蓋骨脱臼(パテラ)や犬糸状虫症(フィラリア)などです。

ただし、保険会社によって審査基準というものは異なってくるため、上記の「条件付で保険に加入できる可能性がある病気」に当てはまる病気でも保険に加入できないことがあります。

持病や病歴があっても入りやすい保険って?保険会社7社を比較!

それでは、ペット保険7社の加入条件などを比較していきます。

アイペット損害保険株式会社

  • 一度でもかかったことがあると保険に加入できなくなる病気

心疾患(心不全、弁膜症、心筋症、狭心症、心内膜炎、先天性心疾患、不整脈、心肥大・拡大、心雑音など)、腎疾患(腎不全、腎結石、水腎症、腎のう胞、腎炎(腎う腎炎)、ネフローゼ、先天性腎疾患(腎低形成)など)、副腎疾患(副腎皮質機能低下症(アジソン病)、副腎皮質機能亢進症(クッシング症)など)、肝胆疾患(肝不全、肝硬変、肝機能障害、肝炎、胆のう炎、胆肝炎、胆泥症、胆石症、胆のう粘液嚢腫など)、糖尿病(糖尿病、糖尿病性ケトアシドーシスなど)、フィラリア感染症(フィラリア症、大静脈症候群など)、悪性腫瘍(癌、腫瘍(良性を除く)など)、脳・神経系疾患(脳炎、髄膜炎、脳梗塞、前庭疾患、椎間板脊椎炎、変性性脊髄症、肝性脳症、先天性脳、神経疾患(水頭症、キアリ様奇形)、神経症状など)、甲状腺疾患(甲状腺機能低下症・亢進症、上皮小体機能低下症・亢進症など)、ホルネル症候群、猫伝染性腹膜炎(FIP)、猫免疫不全ウイルス感染症(猫エイズ、FIV)、猫白血病ウイルス感染症(FeLV)、バベシア症、ヘモプラズマ症(旧:ヘモバルトネラ)

  • 条件付で保険に加入できる可能性がある病気

皮膚炎(アレルギー性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、細菌性皮膚炎、膿皮症、マラセチア性皮膚炎、皮膚糸状菌症、脂漏症、乾皮症など)、外耳炎(細菌性外耳炎、マラセチア性外耳炎、ミミダニ感染)、良性腫瘍(脂肪腫、乳頭腫(イボ)、組織球腫、皮膚腺腫など)、歯周病(歯肉炎、歯周病、歯石、歯槽膿漏、歯根膿瘍など)、尿石症・膀胱炎(尿路結石、膀胱結石、尿道結石、ストラバイト結晶、シュウ酸カルシウム結晶、猫下部尿路疾患(FLUTD)など)、眼科疾患(白内障、緑内障、角結膜炎、角膜潰瘍(目の傷)、チェリーアイ、乾性角結膜炎(ドライアイ)、水晶体脱臼、網膜剥離、膵疾患(膵炎、膵膿瘍、膵外分泌不全など)、自己免疫疾患(免疫介在性血小板減少症、免疫介在性溶血性貧血、免疫機構の障害、リウマチ、全身性エリテマトーデス、後天性重症筋無力症、免疫介在性筋炎など)、血液検査数値の異常(肝数値の異常(ALP、ALT、ASTなど)、腎数値の異常(BUN、Creなど)、血糖値の異常など)、てんかん(てんかん発作、突発性てんかん、症候性てんかんなど)、椎間板ヘルニア(頚・胸・腰部)、環軸不安定症(環椎軸不安定症、環軸亜脱臼など)、先天性異常(股関節形成不全、先天性網膜萎縮症、奇形、口蓋裂など)、膝蓋骨脱臼(パテラ)(膝蓋骨内方脱臼、膝蓋骨外方脱臼など)、門脈シャント(門脈シャント(肝内、肝外)、門脈体循環シャント、奇静脈シャントなど)

au損害保険株式会社

  • 一度でもかかったことがあると保険に加入できなくなる病気

心疾患(僧帽弁閉鎖不全症など)、免疫介在性溶血性貧血(IMHA)、免疫介在性血小板減少症、巨大食道症、膵外分泌不全、肝硬変、門脈シャント、腎疾患(腎不全など)、脳神経疾患(水頭症を含む)、てんかん様発作・けいれん発作、椎間板ヘルニア、甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、糖尿病、副腎皮質機能低下症(アジソン病)、副腎皮質機能亢進症(クッシング病)、フィラリア症、猫後天性免疫不全症候群(FIV)、猫伝染性腹膜炎(FIP)、猫白血病(FeLV)、悪性腫瘍

  • 条件付で保険に加入できる可能性がある病気

股関節形成不全、レッグペルテス(大腿骨頭壊死症)、膝蓋骨脱臼(パテラ)、緑内障、白内障、尿石症(尿結晶)、膀胱炎、アレルギー性・アトピー性皮膚炎、再発性または慢性の皮膚疾患、外耳炎、乾性角結膜炎(ドライアイ)、気管虚脱、胆泥症、胆石症、巨大結腸症

SBIいきいき少額短期保険株式会社

  • 一度でもかかったことがあると保険に加入できなくなる病気

悪性腫瘍、心疾患、腎不全、糖尿病、肝不全、肝硬変、緑内障、白内障、巨大結腸症、副腎皮質機能低下症(アジソン病)、副腎皮質機能亢進症(クッシング病)、甲状腺機能低下症・亢進症、免疫介在性溶血性貧血(IMHA)、自己免疫性疾患、巨大食道症(食道拡張症)、膵外分泌不全(EPI)、犬糸状虫症(フィラリア症)、猫伝染性腹膜炎(FIP)、猫白血病ウィルス感染症(FeLV)、猫免疫不全ウィルス感染症(猫エイズ)、てんかん(突発性てんかんを含む)、水頭症、脳炎

  • 条件付で保険に加入できる可能性がある病気

股関節形成不全、レッグペルテス(大腿骨頭壊死症)、妊娠、良性腫瘍・腫瘤(皮膚のできものなど。現在消失しているものを除く)、再発性または慢性外耳炎、再発性または慢性皮膚疾患、アレルギー性疾患、ドライアイ(乾性角結膜炎)、チェリーアイ(第三眼瞼腺脱出)、横隔膜ヘルニア、その他のヘルニア(鼠径ヘルニア、臍ヘルニアを除く)、気管虚脱、膀胱炎、尿路結石(腎結石、尿管結石、膀胱結石、尿道結石)、猫下部尿路疾患(FLUTD)、骨折、猫コロナウイルス感染症

日本アニマル倶楽部株式会社

  • 一度でもかかったことがあると保険に加入できなくなる病気

てんかん、水頭症、ジステンバー、小脳障害、前庭疾患、その他の脳の疾患、免疫介在性溶血性貧血、心不全、僧帽弁閉鎖不全、心雑音、心肥大、動脈管開存症、その他の心臓の疾患、変形性脊椎症、リューマチ性関節炎、靭帯断裂、ヘモバルトネラ症、バベシア症、猫エイズウイルス感染症、猫白血病ウイルス感染症、アリューシャン病、肝不全、慢性肝炎、膵炎、膵外分泌不全、巨大食道症、巨大結腸症、門脈体循環シャント、インスリノーマ、気管虚脱、肺水腫、肺気腫、気胸、軟口蓋過長、慢性腎不全、慢性腎炎、糖尿病、尿崩症、副腎皮質機能低下症(アジソン病)、副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)、甲状腺機能低下症、悪性腫瘍(ガン)、膝蓋骨打球、股関節脱臼、股関節形成不全、レッグペルテス(大腿骨頭壊死症)、椎間板ヘルニア、臍ヘルニア、そけいヘルニア、会陰ヘルニア、四肢や臓器の欠損または身体の一部に障害や後遺症がある場合

  • 条件付で保険に加入できる可能性がある病気

記載なし。

ペットメディカルサポート株式会社(PS保険)

  • 一度でもかかったことがあると保険に加入できなくなる病気

心疾患、犬糸状虫症(フィラリア症)、気管虚脱、横隔膜ヘルニア、巨大結腸症、巨大食道症、炎症性腸疾患(原因問わずリンパ球形質細胞性腸炎、淡白漏出性腸症などを含む)、肝不全(肝硬変、肝繊維症を含む)、慢性肝炎、門脈シャント、門脈低形成、膵外分泌不全、慢性膵炎、腎不全、尿路結石症、尿結晶症、水頭症、脳炎、脳神経炎、てんかん(突発性てんかんを含む)、緑内障、白内障、免疫介在性溶血性貧血、免疫介在性血小板減少症、甲状腺疾患、副腎皮質機能亢進症(クッシング症)、副腎皮質機能低下症(アジソン病)、糖尿病、猫白血病ウイルス感染症、猫免疫不全ウイルス感染症(猫エイズ、FIV)、猫伝染性腹膜炎(FIP)、悪性腫瘍(肥満細胞腫を含む)、自己免疫性疾患(多発性関節炎、リウマチ、天疱瘡、全身性エリテマトーデスなど)

  • 条件付で保険に加入できる可能性がある病気

膝蓋骨脱臼(「膝が外れやすい、ゆるい」などと獣医師から言われた場合も含む)、股関節形成不全、その他の骨格・関節の疾病、レッグペルテス(大腿骨頭壊死症)、椎間板ヘルニア、ドライアイ、チェリーアイ、停留睾丸、良性腫瘍・腫瘤(できもの・しこり)、アレルギー性疾患、再発性または慢性の外耳炎、再発性または慢性の皮膚疾患、そけいヘルニア、臍ヘルニア、会陰ヘルニア、その他のヘルニア

ペット&ファミリー少額短期保険株式会社

  • 一度でもかかったことがあると保険に加入できなくなる病気

悪性腫瘍(ガン)、腎不全、糖尿病、肝不全、肝硬変、副腎皮質機能低下症(アジソン病)、副腎皮質機能亢進症(クッシング症)、甲状腺機能低下症・亢進症、免疫介在性溶血性貧血(IMHA)、巨大食道症(食道拡張症)、膵外分泌不全(EPI)、猫伝染性腹膜炎(FIP)、猫白血病ウイルス感染症(FeLV)、猫免疫不全ウイルス感染症(猫エイズ)、特発性てんかん、水頭症

  • 条件付で保険に加入できる可能性がある病気

心疾患(弁膜症、不整脈、雑音、先天性心奇形など)、椎間板ヘルニアなど、股関節形成不全、膝蓋骨脱臼、犬糸状虫症(フィラリア症)、レッグペルテス(大腿骨頭壊死症)、巨大結腸症、白内症、緑内症、妊娠、良性の腫瘍・腫瘤(皮膚のできものなど。現在消失しているものを除く)

楽天少額短期保険株式会社(あんしんペット保険)

  • 一度でもかかったことがあると保険に加入できなくなる病気

脳炎、水頭症、免疫介在性結晶板減少症、免疫介在性溶血性貧血、心疾患(弁膜症、不整脈、雑音、先天性心奇形など)、リンパ管拡張症、猫白血病ウイルス感染症(FeLV)、猫免疫不全ウイルス感染症(猫エイズ(FIV)、犬糸状虫症(フィラリア)、肝不全、肝硬変、膵外分泌不全(EPI)、巨大結腸賞、巨大食道症(食道拡張症)、猫伝染性腹膜炎(FIP)、腎不全、糖尿病、副腎皮質機能低下症(アジソン病)、副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)、甲状腺疾患、悪性腫瘍

  • 条件付で保険に加入できる可能性がある病気

アレルギー性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、外耳炎、膀胱炎、尿結石、尿結晶、毛苞虫症(ニキビダニ、アカラス)、痙攣発作、乾性角結膜炎(ドライアイ)、緑内障や白内障などの眼科疾患、椎間板ヘルニア、歯周病(歯肉炎、歯槽膿漏)、胆泥症、膝蓋骨脱臼、股関節形成不全、レッグペルテス(大腿骨頭壊死症)

「条件付で保険に加入できる可能性がある病気」に当てはまっていても、病気の進行度や症状によっては保険に加入できないことがあります。加入できるかどうかは保険会社の判断によるので、少しでも気になる保険が見つかったら、とりあえず申請してみるのがおすすめです。

持病や病歴があっても保険に加入できるかどうかは審査次第!

上記で示した「一度でもかかったことがあると保険に加入できなくなる病気」以外の病気ならば、保険会社の審査次第で持病や病歴があったとしても保険に加入できることがあります。

「この病気にかかったことあるけど、保険に入れるかな?」と疑問に思ったら、とりあえず申請してみましょう。

ペットは年を取ればとるほど病気にかかるリスクが高まります。

「この病気にかかっちゃったから保険に入れない…」などという失敗をしないためにも、なるべく早い時期から保険に入っておくことが重要です。

記事監修
動物病院病院 総長 藤野 洋

アニホック往診専門動物病院獣医師 藤野 洋

日本大学生物資源科学部(旧農獣医学部)獣医学科卒業。
卒業後、約20年にわたり動物病院でペットの治療に従事。
2007年(株)フジフィールド創業。動物病院とトリミングサロンのドミナント多店舗展開を行い、複数店舗の開業/運営を果たす。

日本大学生物資源科学部(旧農獣医学部)獣医学科卒業。
卒業後、約20年にわたり動物病院でペットの治療に従事。
2007年(株)フジフィールド創業。動物病院とトリミングサロンのドミナント多店舗展開を行い、複数店舗の開業/運営を果たす。

【エデュワードプレス(旧インターズー)】・トリミングサービス成功事例セミナー講師・トリミングサービス成功ガイド監修・Live trim2018 マネージメントセミナー講師 【メディア】・ラジオ調布FM ペットオーナー向け番組MC・多摩テレビ 「わんにゃんMAP」番組パーソナリティ・j:comジモトピ「世田谷・調布・狛江」出演