ロシアンブルー特有の病気とは?目の異常に注意?

ロシアンブルーってどんな猫?

ロシアンブルーはその名の通り、ロシアの猫が祖先で、小さな顔と大きく綺麗なエメラルドグリーンの目、凛とした表情や体格、ブルー(灰色)一色の美しい毛が人気の種類です。

誰にでも懐く性格ではなく、家族の中でも好き嫌いがありますが、信頼関係を結んだ相手には忠誠心の強い、クールな猫ちゃんが多いようです。

平均寿命は11〜12歳で、他の種類より少し短いですが、もちろん長生きする猫もいます。

ロシアンブルーは猫の頃は運動量が多く活発ですので、家の中で飼う場合にはキャットタワーやおもちゃを用意してあげるなど、たくさん体を動かせるように用意してあげる必要があります。

また、ロシアンブルーは短毛種ですが、ダブルコートと呼ばれるタイプの毛を持ちます。

これは、直射日光から皮膚を守るオーバーコートと、保温の役割を果たすアンダーコートの二種類の毛でできており、特に換毛期にはアンダーコートがたくさん抜けるため、ブラッシングをこまめに行う必要があります。

さまざまな特徴を持つロシアンブルーですが、病気にはなりやすいのか、どんな病気になるのか、気になりますよね。健康に過ごしてもらうために、病気に関する特徴をみていきましょう。

ロシアンブルーは病気に強いって本当?

「ロシアンブルーは病気になりにくい」という話を聞いたことがある飼い主さんは多いと思います。その理由はなぜなのか、ご存知ですか?

大きな理由として、遺伝病が報告されていないということがあげられます。生き物は、種によって違う性質を決めるための遺伝子をそれぞれ持っていますが、この遺伝子が原因で起こる病気のことを遺伝病といいます。

例えば、短い足と愛くるしい顔で人気のマンチカンは、短い足であるがゆえに腰に負担がかかりやすく、椎間板ヘルニアという骨の病気にかかりやすいです。

このように、種ごとにかかる可能性が高い病気が報告されているのですが、ロシアンブルーについては遺伝病が無く、比較的健康な個体が多い種だと言われています。

だから病気になりにくいと言われているのですね!

ロシアンブルーがかかりやすい病気とは?特有の病気はある?

遺伝病がないと言われているロシアンブルーですが、もちろん遺伝病ではなくてもかかりやすい病気があります。今回は、そのうちのいくつかをご紹介します!

目の病気

目の病気としてあげられるのは、結膜炎です。

結膜炎とは、眼球の白目からまぶたの裏側を覆っている膜に炎症が発生した状態で、症状としては痒がったり白目が充血したりします。

結膜炎は急性・慢性の、カタル性・化膿性に分かれており、軽度であるカタル性では水のようにサラサラした液体が出ますが、重症化し化膿性になると、黄緑色の膿を排出するようになります。

さらに重症化すると上下の瞼が腫れてくっついてしまい、結膜は凹凸状に変形し、自力で眼を開けることが難しくなります。

膵臓の病気

主なものに、糖尿病が挙げられます。

糖尿病とは、インスリンという膵臓から分泌されるホルモンがなんらかの異常で分泌されず、その結果血液中のグルコースという糖分を細胞内に取り込めず、血糖値が高く表示されてしまう病気です。

猫の場合は肥満が主な原因となり、人で言えば2型のものが多いです。糖尿病から糖尿病性ケトアシドーシスという状態に陥ると、食欲不振や衰弱、嘔吐などを示します。

猫の糖尿病は肝リピドーシス(脂肪の肝臓への蓄積や脳での障害)や末梢神経障害(手や足など体の末端の機能障害)を併発しやすく、注意が必要です。

お腹の病気

お腹の中の病気の代表として、FIP(猫伝染性腹膜炎)が挙げられます。

猫伝染性腹膜炎は、コロナウイルスによる全身性の感染症で、発熱や食欲不振、体重減少から始まり、神経が障害されると、発作や歩行障害などが見られます。

腹膜炎とありますが、マクロファージといいう血液内の成分に感染するため、血流に乗って全身にウイルスが運ばれ、重篤な症状を引き起こします。

ウイルスが体内から抜けると治りますが、神経症状が起こってしまう病気なので、見た目にも衝撃を受けてしまうかもしれません。重症化すると命に関わる危険もある感染症です。

泌尿器の病気

ここでは尿石症をご紹介します。

尿石症とは、膀胱や尿道などの尿の通り道である尿路に結石が形成され、粘膜の炎症や尿路閉塞を引き起こす状態のことを言います。

原因としては、食中に含まれる塩類のバランスや摂取量が崩れた場合や、飲水量が少ない場合が挙げられます。また、塩類の再吸収を行う尿細管の機能が低下した場合にも起こる可能性があります。

症状としては、トイレに行く回数が増え、1回に出す尿の量が減ることが確認されています。重症化すると血尿が見られ、排泄時に痛がるようにます。

尿路閉塞が起こると体内から尿が出て行かず、毒素が体内に溜まってしまうため、早期のうちに治療を行う必要があります。

関節の病気

多く見られるものとして、股関節形成不全と膝蓋骨脱臼が挙げられます。

股関節形成不全は生まれつきの病気で、寛骨・大腿骨の発育不全によって股関節がうまく噛み合わず、痛みと歩行困難が起こります。

膝蓋骨脱臼は、膝の皿の部分である膝蓋骨が太ももの骨からずれてしまう病気で、こちらも後ろ足を引きずって歩いたり痛がったりする症状が起こります。

両方とも手術で骨の位置を治すことで治療しますが、股関節形成不全はそもそもの骨の形が本来と異なってしまっていることが多く、完治は難しいです。

免疫の病気

有名なものとして、猫エイズ(猫免疫不全ウイルス)が挙げられます。

このウイルスは、喧嘩などによる咬み傷によって猫から猫へと伝染し、免疫力の低下が起こります。

それにより、健康な猫では問題にならない常在菌に対して症状が出る日和見感染症にかかりやすくなり、口腔内や皮膚に炎症が起きやすくなります。

このように、比較的健康な種と言われているロシアンブルーですが、さまざまな病気にかかる可能性があります。ロシアンブルーに限らず猫のかかりやすい病気を知っておく必要があります。

ロシアンブルーの初期症状、サインとは?目の異常に注意?

ロシアンブルーがかかりやすい病気の中で、初期症状が最も分かりやすいのは目の病変です。

今まで出ていなかった目ヤニが突然出るようになった場合、結膜炎やその他目の疾患の初期症状である場合があります。注意深く観察し、目ヤニの色や粘土をチェックしましょう。

特に濁った目ヤニが出ている場合は要注意です。すぐに動物病院へ行って検査を受ける事をお勧めします。

また、その他の疾患の初期症状としては、食欲の低下と元気消失が共通して見られます。餌を食べたがらなくなった、遊びの誘いに乗らないなど、普段と違う様子が見られたら注意してください。

もちろんロシアンブルーはいつでも懐っこい性格ではありませんので、ただ気分が乗らないこともあります。

しかし、何日間か経っても続く場合は体に異変が起こっている可能性が高いので、動物病院へ連れていきましょう。

また、ウイルス性の疾患である猫伝染性腹膜炎は、急性症状として、急な運動障害が見られるため、いきなり歩行がおかしくなったなどの異常が見られた場合、その前に猫との喧嘩の跡がなかったか記録し、獣医師に相談しましょう。

全ての病気に共通して言えることは、早い発見がその後の病気の進行に直結するということです。早く発見してあげれば治療も早く始められ、根治にも繋がります。

毎日猫ちゃんの様子を見ていれば、ちょっとした変化にもすぐ気づいてあげる事ができますので、日々のコミュニケーションの中でその性格をしっかり把握しておくことが大切ですね!

ロシアンブルーが病気にかからない為の飼い方、注意点とは?

ここでは、ロシアンブルーが病気にかからないためにできることを説明していきます。

目の病気

ロシアンブルーの目の病気に対する予防法として、目ヤニがでたらこまめにとってあげることがあげられます。

猫は基本的に自分で自分の体を拭く「グルーミング」という行為で定期的に体を洗っていますが、目ヤニを綺麗に拭い取ることはできません。

また、目ヤニが溜まって痒くなると顔を掻いてしまい、結果目の中に目ヤニが入って炎症を起こしてしまうこともあります。放置して目ヤニが固まってしまうと、目が開けられなくなります。

飼い主さんがこまめに目ヤニを取り除き、清潔な状態を保ってあげる事が大切です。しかし、いくつか注意点があります。

濡らしたガーゼやティッシュ、コットンを使いましょう。乾いたもので拭くと目や周りを傷つけることになりますし、猫ちゃんにとっても痛いです。

また、目ヤニが固まっている時には、少しふやかしてから取ってあげましょう。固まったまま無理やり剥がそうとすると、目ヤニと一緒に皮膚が剥がれてしまう事があり、かえって傷つけることになってしまいます。

目は、粘膜があり非常に敏感な部分ですので、触れる際には優しくしてあげましょう。

その他体の中の病気

体の中の病気の予防は、基本的に適切な食事と運動がポイントになります。

運動量が多く細身の猫であるロシアンブルーは、不適切な餌を使うと肥満になりやすく、普段の食事から高タンパクで低脂肪・低カロリーなものを使うことをおすすめします。

また、尿石症を防ぐために、餌の中に入っている塩分の量が多すぎないかチェックすることも大切です。

猫ちゃんは飼い主さんから与えられたものを食べますので、ロシアンブルーの特性に合わせたご飯をしっかり用意してあげて、食事のコントロールをしてあげましょう。

また、運動も肥満予防や免疫力アップに欠かせません。ロシアンブルーはその気の強い性格のため、外飼いすると喧嘩をしやすいため、家飼いの方が多いと思います。

家の中でも運動量が不足しないよう、遊び道具を用意したり猫の運動通路を作ってあげたりして、工夫を凝らしてあげましょう。

また、猫伝染性腹膜炎については残念ながらワクチンがまだ開発されておらず、予防が難しいです。他の猫との喧嘩を回避し、感染の機会を減らせるよう注意してあげましょう。

もちろん定期的に動物病院へ行って健康診断も欠かさず行いましょう。病気になってしまった場合は、早期発見できるかがその後の運命を大きく変えます。

大切な猫ちゃんと、少しでも長い期間を一緒に過ごしたいものです。ロシアンブルーの特徴をしっかり理解し、飼い主さんにできる予防を行なって、幸せに暮らせるようにしていきましょう。

記事監修
動物病院病院 総長 藤野 洋

アニホック往診専門動物病院獣医師 藤野 洋

日本大学生物資源科学部(旧農獣医学部)獣医学科卒業。
卒業後、約20年にわたり動物病院でペットの治療に従事。
2007年(株)フジフィールド創業。動物病院とトリミングサロンのドミナント多店舗展開を行い、複数店舗の開業/運営を果たす。

日本大学生物資源科学部(旧農獣医学部)獣医学科卒業。
卒業後、約20年にわたり動物病院でペットの治療に従事。
2007年(株)フジフィールド創業。動物病院とトリミングサロンのドミナント多店舗展開を行い、複数店舗の開業/運営を果たす。

【エデュワードプレス(旧インターズー)】・トリミングサービス成功事例セミナー講師・トリミングサービス成功ガイド監修・Live trim2018 マネージメントセミナー講師 【メディア】・ラジオ調布FM ペットオーナー向け番組MC・多摩テレビ 「わんにゃんMAP」番組パーソナリティ・j:comジモトピ「世田谷・調布・狛江」出演