アビシニアンの寿命ってどれくらい?長生きの秘訣とは?

アビシニアンってどんな犬種?

アビシニアンは体重3~5kg程度の大きさで、色はレッド、ブルー、フォーン、ルディの4種類があります。被毛は一見すると単一色に見えますが、非常に細かく色が変化する縞模様が隠れています。

体格は小型~中型でしっぽや足は長く筋肉質で、一見するとシャープな印象を持たれる猫です。頭は小さめでアーモンド型の大きな目も特徴です。

性格は非常に活発で、仔猫の時にはおそらくじっとしている時間帯はないと言っても良いでしょう。好奇心旺盛なため人間と遊ぶことも大好きで、また仔猫の頃から慣らせば犬や他のペットとも仲良く遊ぶことができます。

環境の変化に対しては敏感で、動物病院に連れてこられると非常に攻撃的になる場合がほとんどです。身体能力が高いため、アビシニアンは獣医師からすると非常に扱いにくい患者です。引っ掻く、咬むなどの攻撃をするため採血やその他の処置をなかなかスムーズに出来ない場合が多いです。

購入する場合の値段は、ペットショップであれば15~20万円が最も多いです。個人のブリーダーから購入する場合には値段に大きな幅があり、親猫の血統証明書や予防関係をきちんとしているかによって異なります。

アビシニアンの寿命ってどれくらい?他の猫種より短い?

きちんとした統計は存在しませんが、他の猫種よりも特別に寿命が短いということはなく、10~15歳とされています。

動物病院で診る印象としては、7歳より前に大きな病気にかからないアビシニアンは長生きをして15歳前後まで普通に生活できるように思います。飼い主さんの献身的な介護が必要になるほど長生きする猫種は、雑種以外ではアビシニアンが比較的多い印象があります。

アビシニアンの長生きの秘訣は?

アビシニアンの長生きの秘訣は、生活スタイルに合った食事、思い切り遊べるスペース、安心してぐっすりと眠ること、そして飼い主さんとのコミュニケーションです。

アビシニアンは非常に活発で、運動能力の高い猫種です。仔猫の頃からたくさん遊びよく食べ、そしてよく眠ることで骨格や筋肉の成長が促され、しなやかで健康な体を作ることができます。

長生きの秘訣①ライフステージと食事

仔猫~老猫までのライフステージに合った食事を選びましょう。成長期にある仔猫は、成猫とは必要な栄養バランスが異なります。また不妊手術を受けた猫は太りやすいため、きちんとそれぞれに合ったフードを与える必要があります。

猫は真性肉食動物といって、雑食動物である人間や犬とは違います。成長に重要なのは肉に代表されるタンパク質で、犬などよりもタンパク質を多く必要とします。犬は猫のフードでも問題は出ませんが、猫は犬のフードでは体調が悪くなり成長にも悪影響が出るのです。

仔猫のために作られたキャットフードは消化性を高めたタンパク質を豊富に含んでいて、仔猫の成長を促します。12ヶ月齢を過ぎるまでは仔猫用のフードを与えることをお勧めします。ただし、避妊手術や去勢手術を受けた場合には、手術以降は他のフードに切り替える必要があります。

室内で飼育されている猫のほとんどは去勢手術や避妊手術を受けます。不用意な交配で増えてしまうと、最終的に可哀想な野良猫を増やすことにもつながりますので、仔猫も自分できちんと飼育をする覚悟がない場合には、6ヶ月月齢を超えた頃に不妊手術を受けさせましょう。

不妊手術をした猫としていない猫では、した猫の方が長生きであることが統計的に分かっています。しかし不妊手術を受けると太りやすくなることも分かっているため、食事管理が重要になるのです。

猫たちは自分で冷蔵庫を開けて物を勝手に食べたりしません。そのため、太らせないためには飼い主さんが食事をコントロールするだけで肥満を回避できます。

仔猫用フードは少量でもきちんと必要な栄養素が取れるようにしている分、たくさん食べると太ります。不妊手術を受けて体質が変わった後も仔猫用フードを食べ続けると太ってしまうため、不妊手術後用のフードに切り替えるか、早めに成猫用のフードに切り替えましょう。

1歳を超えた猫が成猫用フードを食べていて問題なく、健康診断などでも大きな以上も見られない場合にはそこから変更する必要はありません。しかし健康診断などは定期的に受けておくと良いでしょう。

ただし持病などがなく健康状態に問題がなくても、アビシニアンが10歳を迎えたら、高齢猫用のフードに切り替えることをお勧めします。高齢猫用フードは、食べやすいように小粒で、少量でも必要なカロリーが取れるようにタンパク質と脂質の配分を変化させています。

健康診断で何か問題が見つかった場合には、それらの治療に専念し、食事については獣医師に確認しながらその時の状態に合ったものを選びましょう。

どのライフステージでもアビシニアンは食欲が旺盛な場合が多く、あげたらあげた分だけ食べて太ってしまいますので、与える量は決めておきましょう。

長生きの秘訣②遊ぶ

活発で高い所にもどんどん登って、走り回るのが大好きです。そういった十分な運動をするとお腹が空くので食事もきちんと食べてくれます。そして運動欲求が満たされると精神的にも安定するため、毛艶も良く胃腸などの内臓も良いコンディションを保てます。

長生きの秘訣③よく寝る

猫はよく眠る動物です。肉食動物特有の瞬発力を発揮するには、脳も身体も休むことが重要です。よく眠り、よく遊ぶことでご飯が美味しく食べられるのです。睡眠によってストレスを解消し、また身体の全てを休ませます。

静かな部屋や、自分のお気に入りの場所があると猫はよく眠れます。

お気に入りの場所は猫によって様々で、キャットタワーの一番上が落ち着く猫もいれば、押入れの中が好きな猫もいます。その猫にとって1番のお気に入りの場所は人間はあまり手をつけず、譲ってあげましょう。

長生きの秘訣④飼い主さんとのコミュニケーション

活発で良く遊ぶアビシニアンですが、非常に甘えたがりな面もあります。犬のように飼い主さんに甘えたりもするので、名前を呼び、膝に乗せ、撫でてあげると喜ぶでしょう。

日常的に撫でたり名前を呼んでスキンシップをしていると、体の変化にも気付きやすくなります。体の表面に腫瘍のようなできものができていたり、毛艶が悪くなっていないかなどもわかります。

そしてコミュニケーションをよくとっていて、いつも飼い主さんに甘えさせてもらっているアビシニアンは、体調不良を隠したりせずにきちんと教えてくれるようになります。

動物は体調不良を隠します。でも飼い主さんが大好きで、甘えることができる猫なら体調不良を教えてくれるため、飼い主さんが病気を早期発見できるのです。これが長生きにつながることもあるのです。

アビシニアンのかかりやすい病気は?

アビシニアンがかかりやすい病気を挙げてみると、肥満、関節痛、尿管結石、腎臓病、心臓病、腫瘍などがあります。肥満は厳密には病気ではありませんが、食欲旺盛なために太りやすく、いちど太ってしまうと糖尿病などのリスクも高まるため注意が必要です。

アビシニアンのかかりやすい病気①肥満とその合併症

活発で運動量が多いアビシニアンは、食欲も旺盛であることが多いです。欲しがるままに食事を与えてしまうと肥満になってしまいます。

運動量が多く遊ぶことが好きとはいえ、肥満になってしまうと寝ていることが増え、さらに太りやすくなってしまうのがアビシニアンの特徴です。そして、太ると関節に負担がかかり、関節炎などを引き起こします。

関節炎になると痛みがあるのでさらに動かなくなり太る、といった悪循環に陥ります。肥満のまま高齢期を迎えて一番問題になるのは糖尿病です。糖尿病になってしまうと一生涯インスリンの注射を自宅で行う必要が生じ、アビシニアンにも飼い主さんにも負担となります。

肥満は万病の元、と言われるのは猫も同じですので、食事の管理は飼い主さんが徹底して行うようにしましょう。

アビシニアンのかかりやすい病気②尿管結石

猫では泌尿器にできる結石が問題にあることが非常に多いです。その泌尿器とは、腎臓、腎臓から膀胱の間の尿管、膀胱、膀胱から外界へつながる尿道、の4つがあります。その中で有名なのは尿道結石なのですが、実は尿管結石もアビシニアンでは多く見られます。

腎臓や膀胱に結石が出来ただけでは症状はないことも多いですが、尿管もしくは尿道に結石が詰まると急に症状が出ます。尿道結石ではいきんでも尿が出ない、という症状です。尿管結石は症状があまり特徴的ではなく、急に元気や食欲がなくなり吐くといった症状です。

腎臓内で出来た結石が尿管に流れてくることで問題になるのですが、結石ができる根本的な原因は、体質と食事内容ということ以外は分かっていません。この病気を予防するには、食事内容に注意する必要があります。

尿管に詰まる結石の成分で最も多いのはシュウ酸カルシウムと言われるものです。食事中に含まれるカルシウム量が重要であるため、キャットフード以外に煮干やかつを節をあげるのは非常に危険です。

キャットフードには必要なカルシウムなどは含まれているため、そこに追加してしまうとカルシウム過剰です。体質が関与しているのでカルシウムを過剰に摂取していなくても結石が出来てしまう猫もいますが、与えるのは控えた方が良いでしょう。

アビシニアンのかかりやすい病気③腎臓病

アビシニアンに限らず、猫が高齢になると腎臓の機能が低下する慢性腎臓病になります。純血種では思っている以上に早くにこの慢性腎臓病になることがあるため、若いから大丈夫と思っていては手遅れになることもあります。

慢性腎臓病は治すことはできず、進行性の病気です。進行を遅らせるためには食事療法や内服といった治療が必要で、早くにこの治療を始められれば長く付き合っていくことのできる病気です。

早期発見にはとにかく健康診断が必要です。どのような病気も、症状が出た時には病状はかなり進行しているからです。

血液検査を受けるだけで健康診断を受けた気になるのは間違っていて、特に腎臓病については血液検査よりも尿検査の方が早期発見に適しています。アビシニアンが1歳を超えたら、5歳までは年1回、6歳以上からは年2回は健康診断を受けることをお勧めします。

もし動物病院が苦手で、健康診断を受けるのが難しい場合には動物病院と相談して、自宅で採取した尿の尿検査だけをお願いすることもできます。病院が嫌い、ストレスかけるのは可哀想、と言って避けていると病気の発見が遅れてしまうでしょう。

アビシニアンのかかりやすい病気④心臓病

犬でも高齢になると心臓病が多く見られますが、猫でも実は心臓病はあります。そしてアビシニアンやアメリカンショートヘアなど、純血種の猫で多いと言われています。

アビシニアンで見られる心臓病は肥大型心筋症が多く、心臓の筋肉が分厚くなってしまう病気で原因は分かっていません。そしてやはり症状が出るのは病状が末期的な時で、早期発見には心臓をターゲットにした検査を受けるしかありません。

最近ではこういった心臓病の早期発見のための血液検査(バイオマーカー)も開発されているので、健康診断に組み込んでもらうと早期発見の手助けとなるでしょう。

もしこの心臓病であることがわかったら、定期的に検査を受けながら飲み薬などで症状が出るのを抑えていきます。病状が進むと、肺に水が溜まる肺水腫や、急に後ろ足が麻痺する大動脈血栓塞栓症などを発症します。呼吸が苦しい、後ろ足が立たない、などの症状には注意が必要です。

アビシニアンのかかりやすい病気⑤腫瘍

高齢になったら最も警戒しなければいけないのは腫瘍です。体の様々な部位にできる可能性のある腫瘍ですが、体の表面や症状が見えやすい腫瘍は飼い主さんが早く気づくことができます。しかし症状がすぐには現れない腫瘍もあることを理解しておきましょう。

発生率が高く、しかし意外に発見が遅れてしまうのは腸管の腫瘍です。腸に腫瘍などの異変があったら下痢や嘔吐の症状がすぐに出るように思うかも知れません。しかし猫は元々よく嘔吐する動物ですので、飼い主さんも見過ごしがちです。

腸管に腫瘍ができても、それは一部に過ぎず正常な腸管も十分な長さがありますので、下痢の症状が出るのは末期的な状況だけです。アビシニアンは食欲も旺盛なため、多少の不調では食欲が落ちず、飼い主さんが猫の体調不良を見極めることが遅れやすいのです。

しかし、早期発見が難しいとはいえ、それが出来るのは飼い主さんだけです。一緒に暮らす飼い主さんの観察眼によって体調不良を見抜ければ、動物病院で検査を受け早期発見することが出来るでしょう。

腸管にできる腫瘍は早期に治療を開始すれば完治することもあり、高齢であっても手術などを受けた方が良い場合も多くあります。とにかく、嘔吐の回数が増えた、ご飯をがっつく様子が少し弱まった、などの小さな異変も無視せずに早期発見できるようにしましょう。

アビシニアンの最高齢は何歳?

猫の世界最高齢は38歳とされており、これ以外にも公式な記録として残っていない長寿猫も複数いるようです。一般的に雑種の方が長生きだと言われていますが、ギネス記録に乗っている長寿猫は純血種でした。

アビシニアンなど特定の猫種に関する最高齢公式記録は存在していません。私が仕事で今まで遭遇したことのある最高齢猫は雑種の28歳の猫です。動物病院で働く若いスタッフよりも長く生きている事実に驚きました。

アビシニアンに限定すると、今まで出会った中では19歳が最高齢でした。最近では15歳を超える猫は多くいて、毛艶も問題なく元気にご飯を食べているご長寿猫も多くいます。

猫も高齢になると環境の変化に強いストレスを感じるようになります。飼っている猫が10歳を超えてきたら、新しい仔猫を迎えたり、引越しを繰り返したり、模様替えを頻繁にしたりせず、猫が快適に暮らせるように静かな暮らしを心がけてあげてください。

記事監修
動物病院病院 総長 藤野 洋

アニホック往診専門動物病院獣医師 藤野 洋

日本大学生物資源科学部(旧農獣医学部)獣医学科卒業。
卒業後、約20年にわたり動物病院でペットの治療に従事。
2007年(株)フジフィールド創業。動物病院とトリミングサロンのドミナント多店舗展開を行い、複数店舗の開業/運営を果たす。

日本大学生物資源科学部(旧農獣医学部)獣医学科卒業。
卒業後、約20年にわたり動物病院でペットの治療に従事。
2007年(株)フジフィールド創業。動物病院とトリミングサロンのドミナント多店舗展開を行い、複数店舗の開業/運営を果たす。

【エデュワードプレス(旧インターズー)】・トリミングサービス成功事例セミナー講師・トリミングサービス成功ガイド監修・Live trim2018 マネージメントセミナー講師 【メディア】・ラジオ調布FM ペットオーナー向け番組MC・多摩テレビ 「わんにゃんMAP」番組パーソナリティ・j:comジモトピ「世田谷・調布・狛江」出演