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犬が唸るのには理由があり、威嚇、要求、体調不良、恐怖、縄張りの主張、優位性の誇示など多岐に渡ります。
狩猟犬として活躍していたプードル系の犬種ではオモチャを取り上げられそうになると拒んで唸る事もあり、時には噛みつかれたりする事もあります。
愛犬に唸られるのは飼い主にとってショックを受ける出来事かもしれませんが、気をつけて欲しいのは唸る事を改善しなければ優位性が愛犬よりも下に見られたり、わがままに育って手に負えなくなってしまう事です。
特に頭の良いトイプードルは1度間違った躾をしてしまうと修正が難しくなってしまいます。
この行動の原因には必ず何らかのストレスや生活習慣が関係しているため、体調不良や運動不足などの見逃しを愛犬が訴えている事にも気付かなければなりません。
トイプードルが上目遣いで調子が悪そうに唸っていたら病気のサインかもしれません。
人とは違って体調不良を言葉で表せない犬は唸る事で見分ける事が出来ますが、望ましくない対応をしてしまうと噛まれてしまう事もあるため、早めに動物病院に連れて行ってあげましょう。
また、免疫力が低下している高齢犬では病気や怪我が原因で吠える機会が増えるため、環境の改善や生活習慣を見直す必要があります。
上目遣いで堪えるように唸っている場合は脱臼や骨折などの目に見えない怪我のサインです。
普段、活発で反抗的な態度を取らない場合でも、様子がおかしい場合には無理に触ろうとすると噛まれてしまう事があります。
特に関節が弱く、骨が細いトイプードルはソファーやベッドからの飛び降りで脱臼や骨折をしてしまうケースが多発します。
早急に動物病院で検査を受けて治療を行ない、高低差がある場所に登らないように躾をして予防しましょう。
被毛が多く垂れ耳のトイプードルは耳の掃除を定期的に行わなければ、耳に汚れや雑菌が蓄積する事によって耳の病気の原因になります。
ここでは主に耳に痛みを伴う2つの症状と予防法や治療について解説します。
耳の病気で犬が発症する病気の1つに外耳炎があります。
特に垂れ耳で通気性が悪いトイプードルは梅雨の湿気が多い時期に雑菌が繁殖して炎症を起こします。
主にマラセチア真菌の感染が原因になりますが、アトピー性皮膚炎、異物混入、腫瘍、食物アレルギーが原因になる事もあり、耳の掃除だけでは防げない場合もあります。
軽度の場合は耳を掻いたり頭を振るなどの行動や、匂いがして耳が赤いなど目視で症状を発見する事も出来ます。
外耳炎が重症化する事によって痛みを訴えるように唸る事がありますが、頭や耳に触ると痛みが増してしまい、噛まれる事もあるので自宅で治療しようとせずに病院で適切な治療を行なってください。
耳垢が溜まる事でマラセチア真菌の他に耳ダニが繁殖してしまうケースがあります。
耳ダニの糞によって耳垢の色が黒くカサカサしたものになり、外耳炎や中耳炎を併発させて痛みを与える事があります。
耳ダニは治療を行なった後もベッドやソファー、おもちゃなど生活空間に幼虫や卵が付着しているため、殺虫剤の使用や洗濯をして処理しなければなりません。
動物病院の処置は耳の中の洗浄を行なった後、ダニの殺虫剤を3週間投与する事で治療します。
耳の病気が原因で愛犬に負担をかけないために日頃からホームケアをして予防する事が出来ます。
まず、犬用のイヤークリーナーを使って耳の中に液を注入します、この際に犬がびっくりしたり頭を振ろうとする事があるので頭をしっかりおさえます。
液を注入したら耳の付け根を優しく持ち、音を立てながら揉んで汚れを浮かび上がらせます。
汚れをコットンなどの柔らかい生地で優しく拭きます。耳毛が邪魔で手入れがしにくい場合は耳毛をカットしましょう。
外耳炎になりやすいトイプードルは耳掃除の頻度は週に1回、梅雨では週に2回がベストです。やりすぎは耳の薄い皮膚を痛めて逆効果になるので注意してください。
耳の掃除に慣れていない場合は獣医やトリマーに耳の掃除を依頼してアドバイスをもらいましょう。
動物病院の相場は1500円〜2000円程、トリミングサロンの場合は500円〜1000円程でコースの料金に含まれている事もあります。
老犬になると人と同じように認知症になる事があります。
食事を与えたのに食べた事を覚えていないため、それが原因で唸ったり、食べすぎて消化不良が原因で唸ったりと認知症になると唸る機会も増えてしまいます。
認知症の予防法として散歩のコースを変えたり、ドッグランで他の犬と遊ばせるなど脳に刺激を与えるように促しましょう。
普段コミュニケーションが取れているトイプードルと遊んでいる時に唸る事があった場合は戸惑う事もあるかもしれませんが、決して嫌になっているわけではありません。
頭を撫でられて小声で唸るのは撫でられた場所が気持ち良く、甘えた声を出している時です。
威嚇している時と違い、シワが無く表情が穏やかになっている事で分かります。
お腹は犬の弱点になる場所で、それを見せる事は相手の事を十分に信頼している証拠です。
甘えたい事とお腹を撫でられる事で唸るのは十分にコミュニケーションが取れている良好な関係を表すサインで犬にとって最高の状態と言えます。
過度のスキンシップでストレスを与えてしまうと威嚇として鼻にシワを作ったり歯を見せながら唸る事があるので注意してください。
原因がわからず急に唸りだすのは様々な原因があります。
理由もなく唸る事は無いので、その時の状況に応じて気持ちを理解してあげる事が先決です。
神経質なトイプードルはチャイムや玄関の物音で誰かが訪問した事がわかると吠えたり唸る事があります。
家族や知っている人であれば、すぐに止めて出迎えてくれますが見知らぬ人の訪問の場合、唸り続けたり警戒してしまう事が多くあります。
人見知りや問題行動を改善したい場合は生後4〜13週齢の社会化期に家族以外の他人や他の犬と過ごしたり、ハンドリングを行う事で予防出来ます。
唸っているのが母犬の場合、子供を守ろうと神経質になっている時期があります。
ホルモンバランスが原因の1つとして挙げられるので落ち着くまではそっとしてあげましょう。
白内障によって暗い空間を認識が出来ない時に飼い主に甘えて唸る事があります。
眼球が白く変色している事で白内障の発見は出来ますが、老化によって視力が落ちて壁や家具に当たってしまう事もあります。
部屋の照明は明るくする事と家具の配置を変えない事で怪我の予防や甘えからの唸りを予防する事が出来ます。
与えているフードの量が少ないのはトイプードルにとってストレスです。
食事中や空腹の時は不機嫌になっている唸りなので機嫌が悪いと噛まれてしまう事もあります。
シニア期の運動量が減る時期は量を調整する方法ではなく、シニアフードに切り替えて肥満を予防しましょう。
トイレを我慢している時に辛くなって唸る場合には粗相をして怒ってしまうと逆効果になってしまいます。
粗相をした事に対して怒られている事を認識出来ないため、排尿をする事がいけない事と判断してしまう事で我慢して唸ってしまいます。
この事が原因で排尿を我慢してしまい、膀胱炎を引き起こしてしまう事もあるためトイレを覚えさせる事と躾を早い段階で覚えさせてあげましょう。
散歩がしたい、ご飯が欲しいと要求する際に唸る事がありますが、適切な状態ではなく過剰な量を要求してしまう事があります。
要求を通してしまうと唸れば要求が解決すると判断するようになってしまうため注意しなければなりません。
甘やかしてしまうとわがままになったり、問題行動にも発展してしまうため強引に唸ったり吠えても無駄だという事を愛犬に理解させなければなりません。
要求の唸りの原因は上下関係もあるため、わがままを通さずに厳しい態度を取る事で優位性の改善を行い、今後の生活に良好な関係を築きましょう。
もし、愛犬が子供に唸っていたら威嚇のサインかもしれません。
穏やかな個体の場合は好んで子供と遊ぶ事が出来ますが、子供が一方的に遊ぼうとしている場合は犬にとって望ましくない状況になる事があります。
子供と愛犬が遊ぶ際には見守っていないと思わぬ事故につながります。
愛犬が子供に唸る理由として、優位性が愛犬の方が上位だと認識している場合があります。
強く叱らずに上下関係を考えずに行動するため、子供を下だと判断してしまうためです。
愛犬に指示が出来る子供ならおやつを使って、優位性を認識させましょう。
小さな子供は初めて見る物や生き物に興味を示す事があり、愛犬もその対象になります。
特に小さなトイプードルは子供にとって魅力的な存在で過剰にスキンシップを取ろうとしますが、力の加減やタイミングを無視して行うため子供の行動はストレスになります。
自分のパーソナルスペースや体調を無視して接してくる子供は邪魔な存在として認識するようになり、威嚇するために唸って噛んでしまう事があるため危険です。
子供に犬が嫌がっている事を伝えて、興味の対象をおもちゃや人に移るように遠ざけましょう。
主に威嚇のために唸ると判断されがちですが、嬉しい時に唸る事もあります。
おもちゃを使って遊んでいる際に楽しくなって唸る事もありますが、わがままだったり優位性が下だと思われてしまった場合にはおもちゃの所有を渡さないために怒っている事も考えられます。
遊びに夢中になって興奮しているのは愛犬には良い刺激になりますが、こういった場面は主従関係の見直しが必要になる事があります。
活発なトイプードルは飼い主や他の犬と戯れ合って遊ぶ時に唸る事があります。
狩猟本能が刺激される事によって、興奮している状態で愛犬が唸ったり吠えたりするのは楽しくなっている証拠です。
しかし、おもちゃを使って遊んでいる時に注意する点は渡したくない一心の状態で唸っている事があり、おもちゃ以外の物で遊んでいる場合に取り上げると噛み付かれてしまう事もあります。
もし、遊んでいる物を引き離したいのであれば他の物で注意を引いてから取り上げましょう。
おもちゃ以外の物を引き離して唸っている場合は飼い主と愛犬の主従関係を改善しなければなりません。
他の犬と遊んでいる時に嬉しくなって唸る一方で、多頭飼いの場合は上下関係の確認のために唸りながらケンカをする事もあります。
甘噛みの加減が分からない場合は怪我につながってしまうため、戯れ合っている時に高い鳴き声が聞こえた時は引き離してあげましょう。
愛犬の表情を観察していて鼻にシワが寄っていたり、歯がむき出しになっている時は怒っている時なので止めてください。
愛犬が攻撃的になるのには様々な理由がありますが、愛犬の性格が問題ではなく社会化期(社会的に適切な行動や経験を身に付ける時期)の躾やコミュニケーションの不足など飼い主が問題に関わっているケースが報告されています。
また、飼い主の情緒不安定な性格や一貫性の無い対応が愛犬に反映されて、攻撃や破壊などの問題行動を起こします。
飼い主の性格が愛犬に反映される事が調査によって判明していて、情緒不安定や暴力行為によって不健全で攻撃的な犬に育ってしまう事があります。
溺愛する事は犬にとって嬉しい事ですが、過剰な溺愛によってわがままに育ってしまい手がつけられなくなる事もあるため、上下関係を明確にして過ごす事で解決する事が出来ます。
特に社会化期にハンドリングや他の犬と遊んでいない場合は神経質になり、生活に支障が出るため必ず子犬の時にコミュニケーションを取るように努めてください。
愛犬の体調や感情によって攻撃的になる事もありますが、一時的に何かを訴えているサインです。
体調不良、ホルモンバランス、過剰なスキンシップなど愛犬が一時的にストレスを抱えている状態ですが、原因を解決すれば攻撃的な唸りや行動は自然に無くなります。
攻撃的になるのには理由があるため良く観察して適切に対処してあげましょう。
唸っている時におやつやフードを与えてしまうと唸り癖がついてしまい改善する事が出来なくなってしまうため与えてはいけません。
躾は基本的に唸っている事を止める事が出来たらご褒美をあげる学習の反復になります。
唸る事がいけない事と認識させるのは、止める事でご褒美がもらえる正の強化が効果的です。
いけない事をして罰を与える負の強化の場合は正の強化と組み合わせる事で効果を発揮する事が出来ますが、慣れていない場合は強いストレスを与えてしまうリスクにつながるため、使わない事が賢明です。
集中力は10〜15分が限界になるので長い時間をかけずに回数を重ねましょう。
要求以外に吠えている時は体調不良や育児中で神経質になっているサインになるので状況に応じて子犬から離れるか、病院に連れて行くなど状況に応じて行動しましょう。
愛犬が唸っているのは何かを解決してほしいサインになるため、飼い主は理解して行動しなければなりません。
唸る事が慢性化してしまうと病気やストレスの発見を見落としたり、無駄吠えや噛み癖などの問題行動につながってしまうので適切な対処が必要です。
溺愛をする事は良い事ですが、上下関係を認識させる事を忘れずに唸る事を止める事で良い事があるという認識をさせてあげましょう。
健全にトイプードルが過ごすためには飼い主は日々、努力しなければなりません。