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犬の尿路結石は、頻尿や排尿困難、血尿などの症状以外に、命に関わる病態を引き起こす可能性があります。尿路結石が疑われる症状と、どのような症状が緊急性を要するのか知っておくことは、愛犬の命を守るためにも非常に大切です。
目次
腎臓で作られた尿は、尿管の蠕動運動で膀胱に向かい、尿道を通って体外に排出されます。
尿路とは、腎臓、尿管、膀胱、尿道で構成される尿の通り道のことで、尿路結石とはこの4つの器官のどこかに結石ができることをいいます。
犬の尿路結石は、上部尿路(腎臓・尿管)よりも下部尿路(膀胱・尿道)にできる場合が圧倒的に多いと言われています。
尿路結石の種類は主成分により命名されており、犬ではリン酸アンモニウムマグネシウム(ストルバイト)とシュウ酸カルシウムが非常に多く、この2つにシスチン、尿酸アンモニウム、リン酸カルシウムを併せた合計5種が主なものです。
犬の下部尿路(膀胱・尿道)結石の主な症状は、頻尿、排尿困難、血尿です。
命に関わるのは、完全に尿路閉塞を起こした場合です。
排尿姿勢をしても尿が全く出ていない、嘔吐や元気消失、腹痛などの症状が表れた場合はすぐに動物病院を受診しましょう。
上部尿路(腎臓・尿管)結石の発生は比較的少なく、急性期には腰部の痛みや嘔吐が見られることがありますが、明らかな症状が見られない場合もあります。
そのため、他の目的で撮影したレントゲン検査などで偶然発見されることが多く、発見されるまでに腎臓のダメージが進行してしまうことがあり注意が必要です。
尿路結石ができる原因は、遺伝性や体質によるもの、ミネラル分が多い食事の過剰摂取、飲水量の不足、細菌感染、代謝障害など様々です。
尿道が完全に閉塞している場合は、カテーテル等を用いて尿閉を解除し、必要に応じて点滴治療を行います。
緊急性がない場合は、抗生物質や消炎剤の投薬・食事療法等の内科療法を行い、状況に応じて結石を取り除くために、膀胱切開などの外科療法を行うことが一般的です。
また、尿路結石の発生には複数の要因があると考えられているため、治療を行っても再発する場合があります。
尿路結石を完全に予防する方法はありませんが、ミネラル分の多い食事を与えない、水分を十分に与える、適度な運動により肥満を防止することで、ある程度は予防が可能です。
また、血液検査や尿検査、レントゲン検査などの健康診断を定期的に行うことで、症状がわかりにくい上部尿路結石の早期発見が可能です。
犬の尿路結石の原因は様々で、治療しても再発する場合が多く、継続的な治療が必要です。
水分をしっかり与えてミネラル分の多い食事に気をつけることや定期的な健康診断が、尿路結石の予防と早期発見につながります。
尿が全くでない場合は命に関わるのですぐに病院を受診しましょう。