院長・獣医師 濱田 宇広

どのような経緯で獣医師を目指すことになりましたか?

幼い頃からいろいろな動物と触れ合いながら育ってきました。特に犬とは多くの時間を過ごし、友だち同士のような深い絆を感じながら育ちました。
具体的に獣医師になろうと目指したのは高校生になってからのことです。
当時、将来の進路を考え始めていた頃、ニュースで環境問題や野生動物の絶滅危惧について取り上げられることが増えていて、動物との関わり方に対して何かできることはないかと考えるようになりました。
そんな経験などから直接野生動物に関与するわけではないけれども、人間と動物の関係の中で重要な役割を担う獣医師という職業を目指すようになりました。

学生時代からその後の経歴、そして院長になるまでの経緯について教えてください。

学生時代は臨床の獣医師になることを目指していたので、大学病院の仕事をよく見ることができる研究室に所属し、心臓病の研究で卒論を書きました。勉強以外の活動としては、軟式テニスのサークルを立ち上げ、仲間たちと市民大会に参加するなどしていました。阪神大震災の被災地でのボランティア活動に参加していた時もあります。約1ヵ月間、現地で被災した動物たちのケアに携わっていて、飼えなくなった動物の里親マッチングなどもしました。(獣医師になってからも、里親探しに関する相談やアドバイスをさせていただくことがあります。)

卒業後は、同じ研究室の先輩が院長を務める動物病院で修行をし、ハンドリングやひととおりの医療技術を教わりました。その後、町田市の動物病院で院長を務めたり、併せて約20年間にわたって多くのペットの診療に携わってきました。この春から家庭の事情もあり、自宅からの勤務に都合の良いながつたペットクリニックでの院長としてお世話になることになりました。

動物への配慮はどのように実践していますか?

動物のさわり方、特にハンドリングにおいては、細かい部分まで気を配っています。この考え方は私が初めて勤めた動物病院の院長や先輩たちから教わりました。動物はさわり方だけで大きく反応が変わります。例えば、経験の浅いマッサージ師と熟練したマッサージ師では、触られた瞬間の違いが感じられると思います。経験がもたらす自信が態度に表れ、安心感を感じさせることができる場合があります。動物たちも鋭敏にその違いを察知し、ハンドリングに自信があるかどうかがすぐに伝わるようです。20年間獣医師として務めてきた中で、レントゲンや通常の治療の際に鎮静剤を使うことは稀です。他の病院では警戒したり怒ったりする動物も、当院では安心して身をゆだねていると言われると、非常に嬉しいです。

診療方針についてはどのようにお考えですか?

犬や猫の治療においては飼い主さんが主役で、私たち獣医師は治療のサポート役と考えています。通院治療の場合、基本的に私たちが検査や治療を行えるのは病院での限られた時間のみだからです。そのため、飼い主様にペットの様子を観察し、変化に気づいてもらうことが大切だと思います。

また、ペットの治療は病院での診察だけで終わりではありません。飼い主様が自宅で薬を与えたり、食事管理を適切に行ったりすることが必要です。飼い主様が治療に対するモチベーションを維持し、積極的に治療に取り組むことがペットの回復に非常に重要だと考えています。私たち獣医師の役割は、飼い主様がペットの変化に気づくのに役立つ情報を提供すること、治療内容やその必要性をわかりやすく説明することです。また、治療方法のコツや注意点をお伝えし、飼い主様と共にチームとして治療に取り組むことが大切だと考えています。

飼い主様に対して心掛けていることは何ですか?

飼い主様への説明には十分な時間を割くことを心掛けています。また、飼い主様と一緒に、どこまで治療に取り組めるか、どのような方法が適切かを話し合います。各家庭には様々な事情があり、仕事の忙しさ、高齢者や子供の世話、そして治療費の負担などが考慮するべき点がたくさんあります。治療には時間、手間、費用がかかりますので、それらの状況や飼い主さんの意向を十分に踏まえて、治療の範囲や方針を相談して決定します。

同じ病気であっても、飼い主さんの状況や考え方によって治療の選択肢は異なるので、可能な限りの選択肢を提示し、飼い主さんが納得できる形で治療を進めることを心掛けています。また、飼い主さんには治療の過程で生じる疑問や不安に対して、適切な情報提供やアドバイスをして、サポートしていくことが大切だと考えています。

場合によっては、より専門性の高い病院であれば別の選択肢が存在することを伝え、紹介することもあります。

休日はどのようにお過ごしでしょうか?

共働きなので、休みの日は料理担当です。大したものは作れませんが、冷蔵庫にあるもので作るなんちゃってです。

以前は仕事後にスカッシュなどもしていましたが、ずいぶん長い間できていません。

今、カメラが趣味のメインなので、子供とのお出かけの時にはカメラを持って行き、写真も撮っていることが多いです。写真のワークショップに参加することもあります。カメラやスカッシュがお好きな方は声をかけていただければ嬉しいです。