猫伝染性腹膜炎(FIP)の血液検査_タンパク質比率

猫伝染性腹膜炎(FIP)の診断において、血液中のタンパク質比率は重要な指標の一つです。この記事では、FIPの診断における血液中のタンパク質比率の役割、検査方法、およびその他の関連検査について解説ます。私たち獣医師がFIP診断の際にどのような方法で行っていくかをお伝えしてきます。

アニホック往診専門動物病院では、東京都、川崎市、千葉市にて訪問診療による猫伝染性腹膜炎の治療を行っています。詳しくはアニホック往診専門動物病院のページよりご連絡ください。

血液中のタンパク質比率とは?

血液中のタンパク質比率、特にアルブミンとグロブリン(A/G比率)の比率は、猫の健康状態を評価するための重要な指標です。アルブミンは血液中の主要なタンパク質で、体内の液体バランスの維持、栄養素やホルモンの運搬などの役割を果たします。一方、グロブリンは免疫系の機能に重要な役割を果たすタンパク質群です。

FIPでは、炎症によりグロブリンの値が上昇し、アルブミンの値が低下することが一般的です。これにより、A/G比率が異常に低くなることがあり、FIPを疑う重要な手がかりとなります。

血液検査による診断プロセス

初期ステップ

  1. 血球計算検査: 猫の一般的な健康状態を把握し、感染や炎症の兆候を評価します。
  2. 生化学検査: 肝機能、腎機能、および血液中のタンパク質レベルを含む、さまざまな生理的パラメータを評価します。
    タンパク質比率の評価血液生化学検査では、アルブミンとグロブリンの絶対値の測定に加えて、両者の比率(A/G比率)を計算します。FIPを疑う場合、A/G比率の低下は、病気の診断において重要な指標となります。

追加検査

  • 血清蛋白電気泳動: タンパク質の種類をさらに詳細に分析し、炎症性タンパク質の増加を特定します。これはFIPの診断を補強するのに役立ちます。
  • 特異的なFIP検査: PCR検査や抗体検査など、FIPや猫コロナウイルスへの特異的な反応を測定する検査があります。

診断への総合的アプローチ

FIPの診断は、血液中のタンパク質比率の異常だけに基づくものではありません。私たち獣医師は、臨床症状、病歴、血液検査の結果、および必要に応じて行うその他の診断手段(超音波検査、腹腔内液体の分析など)を総合的に評価し、FIPの診断を下します。

飼い主様ができること

飼い主は、猫の健康状態に注意を払い、異常な症状が見られた場合には早期に獣医師に相談することが重要です。FIPは治療が困難な疾患であるため、早期発見と適切な管理が鍵となります。

まとめ

FIPの診断における血液中のタンパク質比率の評価は、総合的な診断プロセスの重要な部分です。アルブミンとグロブリンの比率は、FIPの診断において重要な手がかりを提供することができますが、最終的な診断は、総合的な評価と追加検査に基づいて行われます。飼い主さまは、愛猫の健康に注意を払い、疑わしい症状が見られた場合には迅速に獣医師の診察を受けることが、愛猫の健康を守る上で最も重要です。

 

アニホック往診専門動物病院では、東京都、川崎市、千葉市にて訪問診療による猫伝染性腹膜炎の治療を行っています。詳しくはアニホック往診専門動物病院のページよりご連絡ください。

記事監修
動物病院病院 総長 藤野 洋

アニホック往診専門動物病院獣医師 藤野 洋

日本大学生物資源科学部(旧農獣医学部)獣医学科卒業。
卒業後、約20年にわたり動物病院でペットの治療に従事。
2007年(株)フジフィールド創業。動物病院とトリミングサロンのドミナント多店舗展開を行い、複数店舗の開業/運営を果たす。

日本大学生物資源科学部(旧農獣医学部)獣医学科卒業。
卒業後、約20年にわたり動物病院でペットの治療に従事。
2007年(株)フジフィールド創業。動物病院とトリミングサロンのドミナント多店舗展開を行い、複数店舗の開業/運営を果たす。

【エデュワードプレス(旧インターズー)】・トリミングサービス成功事例セミナー講師・トリミングサービス成功ガイド監修・Live trim2018 マネージメントセミナー講師 【メディア】・ラジオ調布FM ペットオーナー向け番組MC・多摩テレビ 「わんにゃんMAP」番組パーソナリティ・j:comジモトピ「世田谷・調布・狛江」出演