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気温が下がり徐々に寒くなる今日このごろ、風邪を引いて咳が止まらなかったり、息苦しくなってしまったりすることはないでしょうか。
猫も咳が止まらなくなってしまったり、息苦しそうになることがあり、これが長い間続くと「慢性気管支炎」を患っている場合があります。
原因によって経過は様々ですが、放っておくと体調が悪くなってしまったり、肺炎になってしまったりすることがある怖い疾患です。
今回は猫の慢性気管支炎についてお話しします。
目次
3週間以上続く咳や速い・荒い呼吸、痰が絡むような呼吸などが見られる場合、慢性気管支炎の可能性が考えられます。
発症する年齢は様々で、若齢であればウイルス性鼻気管炎や猫喘息などが慢性化している可能性が考えられます。
もちろん細菌や真菌などの感染性気管支炎や、気道内異物があり、これが長引くことで慢性気管支炎や肺炎に進行することもあります。
中〜高齢であれば、年齢に伴う気管支の石灰化や粘膜の肥厚、気道粘液の過剰な分泌、腫瘍などで上記の症状が出る場合があるため、鑑別には注意が必要です。
基本的に原因によって治療は様々です。感染性疾患であれば、抗菌薬や抗ウイルス薬の使用を実施します。
猫喘息など感染がなく、アレルギー反応が原因になっている場合はステロイド薬による免疫抑制治療が必要です。場合によっては、人間のようにネブライザーを使用したり、吸入器を使用したりすることもあります。
これらと併用して使用されるのが、気管支拡張薬や去痰薬です。即効性があるお薬ではありませんが、慢性気管支炎の治療に併用されることが比較的多いです。
気道内に異物(ご飯や猫砂、おもちゃのかけらなど様々)が詰まってしまい、それが長期間放置されることで慢性気管支炎を起こしている場合、気管支内視鏡にて摘出しなければならず、手術には全身麻酔が必要です。
しかし、本来気道はものを飲み込む時は閉じているため、気道内異物が慢性気管支炎の原因になることは比較的稀と言えるでしょう。
普段から安静時の呼吸状態を確認しましょう。寝ているときの1分間の呼吸回数が安静時の呼吸回数の目安で1分間に40回前後を基準に考えましょう。
また、咳き込む様子が見られている場合はその頻度と持続時間を確認しましょう。可能であれば、その様子を動画で撮影すると病気の診断に役立つ場合があります。
また、人間と同じでタバコの煙やハウスダストなどに反応して症状が出ることがあるため、自宅では注意してあげてください。
咳き込む様子が見られたり、呼吸が速い・荒い様子が見られた場合は、基本的に様子を見ず、すぐに動物病院を受診しましょう。
今回お話した慢性気管支炎にまで進行してしまうと治療が難航してしまったり、肺炎や気胸などより重度で命の危険がある状態となることもあります。迷った場合は悩まず、すぐに動物病院にご相談ください。