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マンチカンは1995年にTICA(The International Cat Association)に血統登録されてから、常時人気猫種ランキングの上位に入るほどファンがついています。
その理由として、短足でありながら、好奇心旺盛で良く動き回るので、一生懸命動いている姿に加え、愛嬌も抜群なので魅了される人も多いのではないでしょうか。
しかし、「マンチカン=短足」と思われがちですが、実は短足と長足がいて、短足はマンチカン全体の2割ほどしかいません。長足でもTICAでは血統登録をしてくれるようですし、性格も短足と長足で全く変わりません。
長足は普通の猫と体型はほぼ変わりませんが、短足は、足が短い分小柄です。長足と短足の適正体重を以下にまとめました。
月齢 | マンチカン(短足) | マンチカン(長足) |
生後3ヶ月 | 1~1.3kg | 1~1.5kg |
生後6ヶ月 | 1.7~2.0kg | 2.5~3.0kg |
生後9ヶ月 | 2.6~2.9kg | 3.0~3.5kg |
生後12ヶ月 | 3.0~3.4kg | 3.5~4.5kg |
生後12ヶ月目までは子猫であり、代謝が良く動きも活発で、無駄な脂肪がつかず、太りにくいと言われています。12ヶ月目は人間で言うと約20歳であり、人間がその頃から代謝が落ちるのと同様、猫も代謝が落ち始めます。
マンチカンは太りやすい猫種と言われています。普通の猫と同じように育てていたらいつの間にか肥満になっていた、ということもあり得ます。
また猫種に関わらず、避妊・去勢をしている猫は太りやすいと言われています。避妊・去勢は生後6ヶ月目以降、体重2kg以上で可能になってきます。
マンチカンが代謝の良い12ヶ月目より前から去勢・避妊したら、代謝の良い時期から動きが穏やかになり、なおさら太りやすくなります。
マンチカンは、短足・長足に関わらず、生後12ヶ月目の体重を生涯の適正な体重として健康管理していくのが良いでしょう。
マンチカンの短足、長足の適正体重をご紹介しましたが、マンチカンも親同士の様々なかけ合わせで体格や体重も変化してきます。
マンチカンの成り立ちとしては突然変異と言われており、短足と健康を保持するために多種との交配を重ねてきたので、毛や目の色も多種多様です。もちろん適正体重に当てはまらないこともあると思います。
そこでマンチカンが肥満か痩せすぎかを判断する基準として、参考になるものがあります。自分でできる測定法をご紹介します。
人間が肥満度を調べるための簡易的なツールとして、BMI(体格指数)があります。その猫版がBCSです。数ある測定方法のなかで一番簡単に測定でき、且つ正確性も兼ね揃えた測定法です。
猫の体重と視覚・触覚的に判断するもので、5段階(9段階もあります)に分類されますが、判定が境界でわからない場合は獣医師に診てもらいましょう。
BCS | 肥満度 | 理想体重との比(%) | 体脂肪 (%) | 体型 | その他 |
1 | 削痩 | ≦85 | ≦5 | 肋骨:はっきり見える 腰のくびれ:著しい 腹部のへこみ:著しい | ・筋肉・脂肪がほぼ無い ・骨格が著しく見える |
2 | 体重不足 | 86~94 | 6~14 | 肋骨:見える 腰のくびれ:明らか 腹部のへこみ:明らか | ・腹部にごくわずかの脂肪があるが、肋骨や腰骨を容易に触知できる |
3 | 適正体重 | 95~106 | 15~24 | 肋骨:触ることができる 腰のくびれ:有 腹部のへこみ:ややある | ・肋骨等、骨格は見えない ・適度な脂肪がついている |
4 | 体重過剰 | 107~122 | 25~34 | 肋骨:触ることが困難 腰のくびれ:ほとんど無 腹部のへこみ:ほぼ無 | ・全体的に丸みを帯びていて、猫を上から見ると横に広がっている |
5 | 肥満 | 123≦ | 35≦ | 肋骨:触ることが非常に困難 腰のくびれ:無 腹部のへこみ:無 | ・非常に厚い弾力のある脂肪に全身覆われている ・腹部の脂肪が垂れている |
上記表中にある体脂肪の測定方法も人間と違い特殊です。以下の計算式になります。
計算式 体脂肪率=(1.54 × 胴回り※1) - (1.58 × 後ろ足の長さ※2)-8.67
※1:第9肋骨あたりを一周(猫は肋骨が13本ありますが、尾に近い4本はわかりづらいので、肋骨で触れる一番後ろらへんと覚えておくと良いでしょう)
※2:膝からかかとまで
膝からかかとまでは、成猫になるまでは変化すると思いますので測定が必要ですが、猫が動いてしまうので、難しかったら獣医師に診てもらいましょう。
マンチカンは普通以上に肥満にならないように気を付けなければいけない猫種なのですが、どのように食生活を注意したらよいか迷うと思います。そこで、餌の量を含めた食生活の注意点をあげていきます。
餌の量は、生涯同じではなく、年齢・猫種・体重・行動量によって少しずつ変化させた方がよりその時々の健康状態に合わせられると思います。
子猫は代謝が高く行動力も多いです。また成長段階にあるので、成猫よりカロリーは高めに設定します。
餌の量=100~200キロカロリー×体重/日
生後2ヶ月までは、体重当たり200キロカロリーとハイカロリーを保ちますが、徐々に減らして行きます。子猫は1年で成猫となるので、月ごとにカロリーを徐々に落としていく方が良いです。
現在は子猫専用のハイカロリー餌も販売しています。また、餌の脂質・たんぱくの割合でもカロリーは変化してきます。買った餌の袋に成分、餌量の目安となる表が記載されていますので、参考にしてください。
マンチカンは太りやすいので、子猫用のハイカロリー餌をあげているのであれば、BCSで体型チェックを行い、適正体重以上になりそうだったら成猫用の餌に早めに切り替えるか、量を減らしていきましょう。
12ヶ月を過ぎるともう成猫なので、体重の変化が無いようにしていきましょう。
餌の量=70~80キロカロリー×体重/日
BCSでの体型チェックは欠かさず行い、適正体重と体重過剰の境界に来るようだったら餌量と運動量の見直しが必要です。
体重過剰になったら、ダイエットは必須です。人間は食事を少し抜いても何ともないのですが、猫にとっては致命傷です。急激なダイエット、食事抜きは脂肪肝という病気を引き起こす可能性があります。
ダイエットであれば「30~40キロカロリー×理想体重」を目標に落としていきましょう。あくまで一気ではなく、毎日徐々に落として行きます。
例えば、5kgのマンチカンであれば、80キロカロリー×5kg=400キロカロリー/日のところを、徐々に落とし、40キロカロリー×5kg=200キロカロリー/日(約半分)に落とします。
落としていくうえで痩せていき、理想体重に近づいたら少しずつ増加させ、運動量も加味してちょうど良い量を見つけましょう。
7歳以上になると、代謝も落ちてきて、動きも緩慢になります。成猫と同じカロリーを摂取しているとさらに太る可能性があります。老猫は筋肉も落ち、骨も弱くなってくるので、ちょっとしたジャンプでも骨折等しかねません。
身体の組織(臓器・骨・皮膚)を作り維持するために、高たんぱく・低カロリー食が良いでしょう。
シニア用の餌が販売されていますので、その活用も行いつつ、以下のカロリーにしていきます。
餌の量=60キロカロリー×体重/日
消化力も落ちてくるので、消化の良いものを与えましょう。
去勢・避妊するとおとなしくなる傾向が多く、行動量も若干低下します。マンチカンが去勢・避妊したらその時から行動量を注意して観察し、餌の調節を行いましょう。
去勢・避妊は6ヶ月目、体重2kg以上から可能です。例えば6ヶ月目で避妊して、行動量が低下しても、子猫なのでハイカロリーの餌を普通に与えていたら太ってくる可能性があります。
去勢・避妊後は体重や体型チェックを怠らないようにしましょう。
妊娠中・授乳中の母猫は子供に栄養を分け与えるため、カロリーを多く摂取する必要があります。
あくまで目安です。おなかに子供がいるので、BCS、体脂肪率が測定しづらいので、定期的に体型的に太ってきたのか、子供が成長しているためか判別しづらい場合は、獣医師に診てもらいましょう。
マンチカンが肥満になったら健康や寿命に影響するのでしょうか。また肥満になるとどういう症状や病気が発現するのでしょうか。そこでここでは肥満の危険性について解説します。
短足のマンチカンは普通の猫並みの胴を支えるので、足や背骨、膝の関節に負担がかかります。長足のマンチカンはそれほどではありません。
子猫時色々動き回り、普通のキャットウォーク等を登れずに落ちたり、高いところからジャンプ時足に負担がかかったりして脱臼・骨折します。
また老猫になると、背骨の間にある椎間板も摩耗します。そこで起こってくるのが椎間板ヘルニアです。この症状として痛みが出てくるので、足を引きずって歩く、または歩けなくなってきたら早めに獣医師に見てもらいましょう。
太りやすいマンチカンは糖尿病になりやすいです。糖尿病初期はなかなか症状がでてきません。体調が悪いなと気づいたときには重症になっていることが多いです。
皮膚症状、腎機能障害、神経障害(手足の感覚鈍麻)、視力低下など、悪化してやっとわかるケースも多いので気をつけましょう。
人間の脂肪肝と違う、猫特有の脂肪肝です。猫が肥満になったからと言って急激なダイエットをする、様々な理由でご飯が食べられない状態になると起こります。
空腹になると体中の脂肪がエネルギーに変換するため肝臓に集まってきます。脂肪が集まってくる速さにエネルギー変換が追い付けず、脂肪が肝臓に蓄積し、脂肪肝となります。
何となく動きが悪くだるそう、食欲が落ちた、黄疸(白目が黄色い)という症状があると獣医師に診てもらった方が良いです。致命傷となることもあります。
肥満になり、体型が大きくなると、大きくなった分、体中に酸素を送らなければいけなくなります。血液を全身に送り込むため心臓が頑張ると、高血圧になるケースもあります。
肥満の猫は便秘・下痢になることが多いです。また排尿の回数も減るので尿結石、膀胱炎も起きたりします。
マンチカンが太りやすいのは前述通りで十分な管理が必要です。また短足なのであまり動かないのではと思われがちですが、実際は驚くほど活発で好奇心旺盛です。食事管理と運動を十分行えば、長く一緒に暮らせるでしょう。
BCSを使用し、体重と体格、行動量のチェックをまめに行い、餌やおやつの量を調節しましょう。去勢や避妊をしていたら特に気を付けて適正カロリーより少なめの量をあげるか、遊ぶ量を増やす等工夫しましょう。
マンチカンは愛嬌も良く、短足もかわいいので、ついつい餌やお菓子を多めに上げる飼い主さんも多いのですが、ここはぐっと我慢して体重管理していきましょう。
好奇心旺盛なので、猫じゃらし、ボール、キャットウォーク等、動く・登れるものが好きです。また猫の特性として、横移動より、縦の動き(ジャンプ等)の方を好むので、猫じゃらしを高くもってジャンプさせましょう。
キャットウォークやキャットタワーは登れますが、落ちるのが怖いので、低いソファーや箱で練習させ、ジャンプ力がついたら登らせてあげましょう。
高低差も少なめにし、2~3段くらいにとどめ、落ちて骨折等しないように注意しましょう。落下した時のためにキャットウォーク、タワーの下にクッションを置いておくのも良いでしょう。
低くて狭いところにも入っていくので、低めの家具やソファーの下側にバネ等危険なものがついていたら取り払うことも必要です。