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犬や猫も肺炎にかかります。
肺炎の原因は様々ですが、適切な治療が行われないと症状が悪化するだけでなく、呼吸困難で致命的になる可能性がある疾病です。
目次
肺炎は主に、病原体(細菌・ウイルス・真菌・マイコプラズマ・寄生虫)が肺に感染し、炎症を起こす病気です。
病原体の感染以外ではアレルギーが原因となる場合のほかに、食べ物や液体などを飲み込む際や嘔吐した際に誤嚥(読み方:ごえん、飲食物や唾液を、誤って食道ではなく気道に飲み込むこと)して起こる誤嚥性肺炎があります。
また、若齢の犬や猫の肺炎は、慣れない飼育環境でのストレスや病原体への抵抗力が弱いことで重症化する場合もあります。
よく見られる症状は咳や呼吸音の異常です。
他には発熱、鼻水、食欲の低下、症状が重い場合は開口呼吸や呼吸困難が見られることがあります。特に誤嚥性肺炎は敗血症になるリスクが高く、命に関わる場合が多いため注意が必要です。
肺炎を診断するためには、主に血液検査とレントゲン検査を行います。
血液検査では、身体の中で炎症が起きていないか
呼吸器症状により身体を消耗させない様に、なるべく早く治療を始めることが大切です。
原因や症状に応じて抗生剤や鎮咳剤、気管支拡張剤、ステロイドなどの投薬、薬剤を霧状にして吸入させるネブライザー療法を行います。
また、症状が重い場合は、呼吸困難の治療としてICU(集中治療室)での酸素吸入や点滴治療を行うこともあります。
肺炎を完全に予防することは不可能ですが、以下のことを心がけることである程度予防が可能です。
・ワクチン接種を定期的に行う
肺炎の原因になる病原菌に対してワクチン接種は有効な予防法の一つです。特に若齢の時期は、免疫力獲得に重要なものですので、2回ないし3回のワクチン接種を行いましょう。
・飼育環境をきれいに保つ
アレルギーによる肺炎は、ハウスダストやカビなどが原因になることがあります。ハウスダストやカビなどは完全になくすことは出来ませんが掃除を行い、飼育環境をきれいに保つことで症状を軽減することができます。
・食事の内容を工夫する
飲み込む力が弱っているシニアの犬猫や食道の機能障害などがある場合は、やわらかくて飲み込みやすいフードやスープ状のものを与える、飲み込みやすい様に小さくお団子状にするなど食事の内容を工夫しましょう。
・食器の位置を食べやすい高さにする
食器の位置を少し高くする、立位で食事をさせるなど食べる姿勢を変えることも誤嚥を防ぐためには大切です。
肺炎は適切な治療が行われなければ、重症化のリスクが高く命に関わる疾病です。
ワクチン接種や寄生虫予防、食事の仕方の工夫、飼育環境を整えるなどできることは行い、少しでも呼吸がおかしいなと思ったらすぐに診察を受ける様に心がけましょう。