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人と同様、わんちゃんも歳をとっていきますが、そのペースは人とずいぶん異なります。 私たちよりも早く歳をとっていくわんちゃんに合わせて、健康や環境のことを考えてあげることは、飼い主とって大切なサポートの一つです。
そこで今回は、年齢別(ライフステージ別)で、何に気を付けていくべきか、一緒に考えていきましょう。
目次
医療の発達や食事の質の向上によって、わんちゃんの平均寿命は年々長くなっています。 品種や大きさなどによって異なりますが、おおまかな目安として、以下のように報告されています。
これを見ても、わんちゃんは人と比べて何倍ものスピードで月日が流れていくことがわかりますね。では、わんちゃんの場合、どのようなライフステージに分かれているのでしょうか。
※動物の一生における各段階を「ライフステージ」と呼びます。
わんちゃんのライフステージは、細かく見ると以下のように6つに分かれると言われています。その特徴を把握して、飼い主として、何をすべきか考えていきましょう。
※( )は中型犬の場合の大まかな目安です。
人で言えば、赤ちゃんから小学校卒業ぐらいでしょうか?まだ体は完成しておらず、日に日に成長を感じるころです。
好奇心もいっぱいで、スポンジのように様々なことを吸収していきます。
まずは定期的なワクチンで、しっかり感染症から予防をしてあげましょう。 また、体が未熟な分、以下のような突発的な病気やケガが多い時期でもあります。
中には飼い主さんが環境を整えることで防げることも沢山あります。十分に気を付けてあげましょう。
バランスのとれた質の良い食事を与え、健やかな成長を支えてあげましょう。
おやつもついつい与えたくなりますが、まずは主食をしっかりと。おやつはしつけ時など最低限にとどめておきましょう。
社会性を学ぶ大切な時期です。色々な経験をさせてあげてください。ワクチンが完了したら、色々な場所に出かけたり、人や他のわんちゃんと触れ合う機会をつくってあげるのもよいでしょう。
また、正しいしつけは、飼い主とわんちゃんの信頼関係をつくる上でとても大切なことです。感受性の高いこの時期からぜひ始めてあげましょう。
成長のスピードが緩やかになり、性的に成熟する子も出てきます。
まだまだ食べ物かどうかお勉強中の時期。引き続き、「食べてはいけないものを傍にはおかない!」を徹底しましょう。
避妊や去勢手術を検討し始める時期でもあります。それぞれの場合のメリット・デメリットをしっかり把握した上で決断をしましょう。
子犬期はコロコロしているぐらいの方がよいのですが、ここからは成長が緩やかな分、注意が必要です。
「生後半年から1年ぐらいの食事管理で将来が決まる」という説もあるほど、この時期の食事管理は非常に大切です。特に、避妊や去勢をすると、食欲が増す子が多いので、対策された食事(避妊や去勢をした子向けのフードが各社から出ています)を使う等で工夫をしていきましょう。
この時期のわんちゃんは新しいことをどんどん覚えるため、「吠える」「噛む」「とびつく」といった行動も増える傾向があります。一方で、人にとっては困った行動でも、わんちゃんにとっては本能に基づいたものであり、完全に抑制することは難しい場合も多いのです。
わんちゃんの行動に対しては「なぜそうするのだろう」と気持ちに寄り添い、(その行動をさせずに)別の行動をしてもらうよう誘導していくと効果的です。そして、「頑張ったら(成功したら)褒めてもらえるんだ」と、わんちゃんが思ってくれるよう、成功体験を増やしてあげましょう。
心身ともに成熟し、「少し落ち着いてきた」と感じる飼い主さんもいらっしゃるかもしれません。人で言えば働き盛りの時期、一番健康的にも安定している頃ですが、その分、日々の健康管理が大切になってきます。
バランスのよい食事、適度な運動、定期的な健康診断や生活スタイルに応じた予防(ワクチンやフィラリア等)を続けていきましょう。 また、この時期に増えてくる皮膚や胃腸、耳、泌尿器の病気などは、一緒に暮らしている中のちょっとした変化で気づいてあげることができます。
例)
コミュニケーションの一つとして、日々の健康チェックを続けてあげてください。
わんちゃんによっては、内臓の病気、ホルモンの病気、目の病気、歯のトラブルなど今までより長引くトラブルが少しずつ出てくる時期です。
そのSOSを見逃さぬよう、今まで以上に早期発見・早期治療を心がけていきましょう。 健康診断では、一般的な身体検査や血液検査に加えて、より詳しい血液検査をしたり、レントゲン検査(胸部や腹部)や超音波検査を検討されるとさらに安心です。
老化が進む時期です。今までよりも、動く時間が減り、寝る時間が増えてきます。トイレの失敗をするなど、今までと違った行動をとる子も出てきます。認知症のような症状が出る子もいます。
今までたくさんの幸せを与えてくれたわんちゃんが、最後の最後まで幸せでいられるよう、飼い主として愛情を持って接してあげたいですね。
1つの寝場所にいることが増えてきます。また、足腰が弱くなり、つまずいたりすべりやすくもなってきます。段差をなくしたり、毛布、マットやラグなど、上手に使ってあげてください。また、トイレや水飲み場も、数を増やすなどしてあげるとよいでしょう。
視力も衰えてくる子が多いので、角をガードしてあげたり、物の位置をあまり変えないなど、十分に考慮してあげましょう。
今まで以上に、注意が必要なのが食事管理です。消化のよい良質なたんぱく質を含むものを適量与えてあげましょう。
また、体調や気分などで、食欲のムラも出やすいので、どれくらい食べられているのか把握することも大事になります。食欲がないときは温めて匂いを強くしたり、スープなどでふやかして風味やのどごしをよくしてあげると食べやすくなりますので、工夫してあげてくださいね。
小型の高齢のわんちゃんに多くなってくるのが「僧帽弁閉鎖不全症」という病気です。 これは、心臓の左上の部屋と左下の部屋の間に位置する僧帽弁(血液を送り出すために開いたり閉じたりする機能を持つ弁)が、なんらかの原因で変性し、しっかり閉じなくなることで逆流を発生させてしまう病気です。
予防や完治が難しい病気ですが、早期発見によって、進行を遅らせることができる病気なので、定期的な健康診断が大切になってきます。(ある段階まで病態が進むと、聴診で雑音が認められます。)また、おうちでは、運動時の様子(疲れやすくないか?)や舌の色(青紫になっていないか?)などをチェックしてあげましょう。
また、人と同様、腫瘍疾患も多くなります。おかしいなと感じた場合は、あまり長く様子は見ず、早めにかかりつけの先生の診察を受けましょう。
わんちゃんとの生活は、楽しいことが山ほどあります。 一方で、わんちゃんは生き物ですから、時につらいこと(病気やケガ、老いなど)も起こりうることを、私たちは理解しておく必要があります。
その上で、わんちゃんと幸せに暮らしていくためには何ができるのか? 何に気を付けていくべきか?どうしたら防いであげられるのか? そういったことを考えていくのは、飼い主の大切な愛情の一つだと感じます。
健康なときには感じにくいことですが、一緒にいれる時間はあっという間です。 当たり前のことが当たり前ではないときもあります。 だからこそ、一緒に過ごすその瞬間瞬間を大切にしていきたいですね。