ジャーマン・シェパード・ドッグの病気・ケガ・性格を解説

ジャーマン・シェパード・ドッグがかかりやすい病気やケガから、性格や体の特徴なども確認していきましょう。

ジャーマン・シェパード・ドッグの特徴

ジャーマン・シェパード・ドッグの歴史

警察犬として有名なジャーマン・シェパード・ドッグですが、現在のジャーマン・シェパード・ドッグが作出されたのは19世紀末から20世紀初頭にかけて、第一次世界大戦の少し前のことでした。

この犬種を作出するにあたり、世界中の優秀な使役犬が候補となりましたが、基礎犬として選ばれたのは、ドイツの農家で古くから飼育されてきた牧羊犬でした。現在のジャーマン・シェパード・ドッグと区別するために、原種を意味するオールドを冠して「オールド・ジャーマン・シェパード」と呼ばれるこの牧羊犬は、牛と羊の牧畜管理はもちろんのこと、荷物を引いたり、番犬となったり、物を回収したりと多様な動きを見せます。その知的能力と運動能力の高さに目を付けたドイツの軍人ステファニッツ氏により繁殖計画がなされ、新しい犬種の作出が始まりました。徹底的な作業の向上と訓練性能の向上を目的に交配を繰り返した結果、生まれたのが現在のジャーマン・シェパードです。

1899年、ドイツにジャーマン・シェパード・ドッグ協会の初の総会において、作出者ステファニッツ氏の主導により、最初のスタンダード(犬種標準)が作られました。

ジャーマン・シェパード・ドッグ協会はスタンダードを厳重に管理し、繁殖に際して厳しいルールを与え、より優秀な固体が選択交配されることで、短い間に能力が向上することになりました。

そして、第一次大戦以降、戦時下では優秀な軍用犬として働き、第二次大戦時は世界中で20万頭ものジャーマン・シェパード・ドッグ協が働いていたという記録もあるようです。日本に入ってきたのもこの頃で、軍用犬として入ってきましたが、きちんとした訓練があるため、犬の訓練所もこの頃から盛んになったという歴史があります。

戦争が終わると、ナチス・ドイツの軍用犬であったというイメージから、原産国のドイツではジャーマン・シェパード・ドッグの虐殺すら行われたと伝えられています。しかし、軍用犬として海外に渡っていたシェパードシェパードたちは、優秀で多彩な能力を生かして警察犬や番犬などに少しずつ「転職」していきました。

怖そうに見える外見ですが、実は服従心と忍耐力が強く、きちんと訓練すれば家庭犬としても素晴らしいパートナーとなるため、20世紀になるとアメリカでは、ストロングハートとリンティティンという名のシェパードが映画に登場して人気を集め、一時はAKCの登録数1位になるほど沢山しいくされていました。

現在のジャーマン・シェパード・ドッグは、なんでもできる「ユーティリティ・ドッグ」として、様々な分野で活躍しています。優れた嗅覚と洞察力を生かして、警察犬や麻薬探知犬など犯罪捜査の現場や、災害救助の現場で働い、盲導犬としても使われます。

訓練競技会の場では近年、ボーダー・コリーやラブラドール・レトリーバーが増えていますが、常に上位を独占するのはやはりジャーマン・シェパード・ドッグで、犬のプロである訓練士を育成する時にも欠かせない存在です。

ジャーマン・シェパード・ドッグの犬名は「羊飼い(shepherd)」から付けられています。イギリスでは「アルザシャン・ウルフ・ドッグ(アルザスのオオカミ犬)」と呼ばれていたこともありますが、これは第一次大戦中、イギリスとドイツとは敵対関係にあったため、敵国の作り出した優秀な犬種を自国のものとしたかったからのようです。

ジャーマン・シェパード・ドッグの大きさ・見た目

ジャーマン・シェパード・ドッグは体高より体長が長く、腰の下がった体型をした、立ち耳の大型犬です。筋肉質で、しっかりとした足腰を持ち、大型犬としてはコンパクトな部類に入ります。

体型や骨格は最高度に洗練されており、力学的な無駄がなく、最小のエネルギーによって最大限の活動ができるといいます。しかし、近年は、過剰繁殖による後肢の短足化が問題視されています。

ジャーマン・シェパード・ドッグの毛色は、単色でブラックまたはグレー、またブラックの他にブラウン系やグレー系、イエローなどのタン・マーキングが入ったものがあります。

いずれの場合も鼻を中心としてマスクと呼ばれる黒い差し毛が広がっていることが必須となります。

短毛と長毛がいますが、長毛の方はスタンダードで認められていない国が多いようです。

近年ホワイトのシェパードが増えてきていますが、この犬種は純血のジャーマン・シェパード・ドッグから生まれる白い毛色で、スタンダードから外れるために淘汰されてきました。毛色が白なだけで何も問題は無いため、アメリカとカナダの繁殖家が差別に反対する意志で、1930年頃に固定化しました。

その後、スイスにわたって更に改良が重ねられ、現在はアメリカ・カナダ系・スイス系、もともとのジャーマン・シェパード・ドッグから生まれたホワイトの3つの系統が存在しています。性格的にも能力的にもジャーマン・シェパード・ドッグと変わりなく、サイズはやや大きい個体が多いようです。

体高はオス60~65cm、メス55~60cm、体重はオス33~38㎏、メス26~31㎏、平均寿命は9歳~13歳ほどです。

ジャーマン・シェパード・ドッグの性格

ジャーマン・シェパード・ドッグは非常に知的・精神的に能力の高い犬です。

活発であるのに落ち着いており、洞察力があって、自分で考える力を持っています。しかし、服従心が強く、勇敢でありながら辛抱強い面もあります。

命令に最後まで従おうとする責任感の強さと、家族や親しい相手を守ろうとする愛情深さがあります。

ジャーマン・シェパード・ドッグを飼うときの注意点

ジャーマン・シェパード・ドッグは家庭犬として敷くする場合、屋内で人間のそばで生活させるのがオススメになります。家庭の中にいることで、自分の役割を考えて行動し、家族の一員に溶け込むようになります。

屋外で飼育する場合は、精神的な緊張から警戒心が強く不安定な性格になりやすくなるため、必ずコミュニケーションを取る時間を作りましょう。

目的に沿った飼育方法を行うこと、支持を与える人間とは訓練により強い信頼関係を築くことが、シェパードには一番大切です。

朝晩1時間の散歩だけではなく、ボール拾いや運動器を使った運動など心と体の両方に刺激を与える運動が効果的で、牧羊犬が先祖にあたるので、命令して「何かを追わせる」といった運動がオススメです。

しつけは子犬の頃から服従訓練を繰り返し行いましょう。これによって主従関係を知り、主人の望みを自ら行うようになります。

良好な主従関係を作れずに飼い主が自分より格下と判断すると、まったく指示を聞かなくなり、時には問題行動に発展することも。

購入時に既に訓練された個体を選ぶか、ドッグトレーナーにトレーニングしてもらうのが良いでしょう。

主従関係が上手く作れれば、新しい事柄もよく理解して吸収するしつけやすい犬種です。

現在多くのジャーマン・シェパード・ドッグは短毛で、換毛期の手入れも長毛種に比べて簡単です。

しかし、寒い国が原産のダブルコートのため、抜け毛は多く、少なくとも週に1、2回程度のブラッシングが必要です、

特に気温が高い時期は徹底した温度管理と皮膚病などになってないか、被毛のチェックをしていきましょう。

記事監修
動物病院病院 総長 藤野 洋

アニホック往診専門動物病院獣医師 藤野 洋

日本大学生物資源科学部(旧農獣医学部)獣医学科卒業。
卒業後、約20年にわたり動物病院でペットの治療に従事。
2007年(株)フジフィールド創業。動物病院とトリミングサロンのドミナント多店舗展開を行い、複数店舗の開業/運営を果たす。

日本大学生物資源科学部(旧農獣医学部)獣医学科卒業。
卒業後、約20年にわたり動物病院でペットの治療に従事。
2007年(株)フジフィールド創業。動物病院とトリミングサロンのドミナント多店舗展開を行い、複数店舗の開業/運営を果たす。

【エデュワードプレス(旧インターズー)】・トリミングサービス成功事例セミナー講師・トリミングサービス成功ガイド監修・Live trim2018 マネージメントセミナー講師 【メディア】・ラジオ調布FM ペットオーナー向け番組MC・多摩テレビ 「わんにゃんMAP」番組パーソナリティ・j:comジモトピ「世田谷・調布・狛江」出演