アフガンハウンドの病気・ケガ・性格を解説

アフガンハウンドがかかりやすい病気やケガから、性格や体の特徴なども確認していきましょう。

アフガンハウンドの特徴

アフガンハウンドの歴史

アフガンハウンドはその名の通り、アフガニスタンを原産とする犬種です。

アフガンハウンドは現存するあらゆる犬種の中で最も古い犬とされており、その成立は紀元前4000年とも5000年とも言われているほどです。古代エジプト領の聖地モーゼ山の麓に生息していた、ノアの方舟に乗せられていたなどの言い伝えも残っています。紀元前3000~4000年頃には、ピラミッドをはじめとする王族貴族の墓やパピルス、土石など歴史的な記録物にも、アフガンハウンドらしい犬の存在が認められています。

当時から猟犬として存在し、アフガニスタンの険しい山岳地帯や砂漠にも対応するように手足の裏は大きく発達し、朝晩の気温差50℃にもなる土地に順応するために、通気性と保温性を併せ持つ独特のコートに発達してきたと考えられています。

人や動物の出入りが少なく交雑の起こりにくい山岳地帯で、歴史敵に長い時間をかけて純粋な犬種として成立したアフガンハウンドは、18世紀になってアングロ・アフガン戦争に勝利したイギリスへ持ち込まれ、サイト・ハウンド犬種として他犬種との交配が始まりました。

現在のアフガンハウンドの基礎となった系統のは2種類あり、第一の系統は1920年代にスコットランドに持ち込まれた「ベルマレイ(Bell-Murray)」と呼ばれる草原タイプの系統で、薄めの被毛を特徴としています。第二の系統は、1925年にイギリスに持ち込まれた「ガーズニ(Ghazni)」と呼ばれる山岳タイプの系統で、厚めの被毛を特徴としています。現在よく見かけるアフガンハウンドの容姿は、後者の「ガーズニ」系統に近いものです。

イギリスに持ち込まれたアフガンハウンドは、ペルシャ・ハウンド、バルグジー・ハウンド(バルキーとも言う=この犬種を独占していたバルクジーという貴族の名に由来)などと呼ばれるようになります。

また、優雅で威厳のあるスタイルと美しい被毛は、イギリス貴族階級で人気を博し、やがて20世紀の初めころから、イギリスをはじめ世界のドッグショーに出展されるようになり、世界の富裕層を中心に広がりました。

イギリスへ持ち込まれる以前から存在し、現在のアフガンハウンドの元種となった犬は、現在もアフガニスタンの山岳地帯に生息しています。歴史的な存在意義のある古代犬であり、猟犬または作業犬として保存されていますが、近年は個体数の減少が著しく、絶滅の恐れがあるとされています。

アフガンハウンドの大きさ・見た目

アフガンハウンドは大型犬としては珍しく、引きずるほどの長毛です。

視覚に獲物を捕らえて狩りをするサイト・ハウンドらしく、首を上げ遠くを見る姿に威厳があります。

長もに隠された脚は強く足裏は広くしっかりしており、険しい路面を踏みしめてかなりのスピードで走るだけの脚力を備えています。

アフガンハウンドのしなやかな体躯と広い指趾は、獲物が急に方向転換した際に、反射的に自身も方向転換が可能になるための構造だと考えられています。

また、典型的な視覚ハウンドであるアフガンハウンドは、頭蓋の幅が広く、目が頭の側面に位置するため、視野も270度にも及びます。距離感も的確で、1㎞先で動くものさえ見えるそうです。

垂れ耳なのは、視野や嗅覚に神経を集中させるための犬種改良の結果だと考えられます。また、全体を覆う長い絹糸状の被毛は、山岳地帯の慣例から身を守るものためのものです。

アフガンハウンドはあらゆる色が認められるとされています。ブラック、ブラックにシルバーやタンが入ったもの、ブルー(銀灰)、クリーム、ブリンドル、レッドなどがあります。顔の中心にあるマスクやドミノも認められています。

体高はオス68~73cm、メス63~68cm、体重はオス25~27㎏、メス20~23㎏、平均寿命は12歳~14歳ほどです。

アフガンハウンドの性格

アフガンハウンドは独立心が強い犬種です。これは、サイト・ハウンドの特徴でもあり、狩猟の際、人が追い付かないほどのスピードで走り続けて獲物を追い詰める力があるため、自分の判断で猟を進める必要があり、良い結果を導くことで主人に喜ばれ信頼を得てきたためです。

この性質は猟犬としての長い歴史により固定され、アフガンハウンドの個性として尊ばれるようになりましたが、家庭内においては人間に容易く振り回されないマイペースな性質となって表れるため、猫のような性格といわれることもあります。

また、アフガンハウンドは猟欲が強く残る個体も多く、散歩中など戸外では飼い主がリーダーシップを持って接しないと、小動物や小さな追うことがあるので注意が必要となります。

アフガンハウンドを飼うときの注意点

厚い被毛を持っているため、暑さに弱く、適切な運動量を確保できるようであれば室内飼育をしてあげてください。

とにかく走ることが大好きな犬種なので、朝夕に1時間程度の散歩に加え、短距離を思い切り走らせるなど、十分な運動をさせてあげてください。

また、ストレスがたまると猟をするスイッチが入りやすくなるので、ドッグランなどの囲いのある場所で自由に運動ができる環境を定期的に作りましょう。

散歩中にリードを離してしまうと、狩猟犬としての本能から満足するまで走ってしまい、戻ってこないことがありますので、併せて注意をしましょう。

垂れ耳のため、外耳炎を含む耳の病気になりやすいので、2週間に1回程度、脱脂綿にイヤーローションをつけて耳掃除をしてあげましょう。

また、高温多湿な日本では被毛が蒸れやすいので定期的にケアをして皮膚病の予防をしてあげるのもオススメです。

長毛種ですが無理なブラッシングは禁物です。理由はコートが汚れた状態では逆に痛めてしまうからで、毛が長く揃うまでは頻繁にブラッシングをしてださい。怠るとすぐにもつれてしまうので注意しましょう。家庭犬の場合は汚れの具合にもよりますが、毎日10~15分ほどのブラッシングと1ヵ月に一回程度のシャンプーでコートを維持することができます。

日頃の手入れが難しい場合、無理にコートを伸ばそうとせず、適度な長さにカットしてお手入れしやすくする方法もあります。

アフガンハウンドはプライドが高く、プロのトレーナーすらしつけは大変で「世界一頭の悪い犬種」とまでいわれてきましたが、実際には頭が悪いのではなく、納得できない命令には絶対に従わないという意思が強い犬種なのです。

子犬からアフガンハウンドをしつけるのはかなりハードルが高く、服従訓練は時間と労力をかけて行いましょう。独立心の強さから我儘な面がみられますが、感受性が強い面も持っているので、神経質に叱りつけず、おおらかに育てていきましょう。

また、アフガンハウンドのブリーダーは、幼少期から家庭犬として飼われることを前提に専門のブリーディングを行っています。子犬のアフガンハウンドでも、飼い主さんの言うことを理解するようにしつけられているので、そこまでしつけに苦戦することは少なくなりました。

ただ、狩猟犬時代のアフガンハウンドの遺伝子は受け継がれているので、しつけは難しい犬種だということは覚悟しておきましょう。

しつけに自信がないという場合は、信頼できるトレーナーを探しておくことをオススメします。

記事監修
動物病院病院 総長 藤野 洋

アニホック往診専門動物病院獣医師 藤野 洋

日本大学生物資源科学部(旧農獣医学部)獣医学科卒業。
卒業後、約20年にわたり動物病院でペットの治療に従事。
2007年(株)フジフィールド創業。動物病院とトリミングサロンのドミナント多店舗展開を行い、複数店舗の開業/運営を果たす。

日本大学生物資源科学部(旧農獣医学部)獣医学科卒業。
卒業後、約20年にわたり動物病院でペットの治療に従事。
2007年(株)フジフィールド創業。動物病院とトリミングサロンのドミナント多店舗展開を行い、複数店舗の開業/運営を果たす。

【エデュワードプレス(旧インターズー)】・トリミングサービス成功事例セミナー講師・トリミングサービス成功ガイド監修・Live trim2018 マネージメントセミナー講師 【メディア】・ラジオ調布FM ペットオーナー向け番組MC・多摩テレビ 「わんにゃんMAP」番組パーソナリティ・j:comジモトピ「世田谷・調布・狛江」出演