ペキニーズの病気・ケガ・性格を解説

ペキニーズがかかりやすい病気やケガから、性格や体の特徴なども確認していきましょう。

ペキニーズの特徴

ペキニーズの歴史

中国原産のペキニーズとは、中国語では「ジンパ(京巴)」と呼ばれています。

チベタン・スパニエルが祖先と考えられており、ペキニーズの最古の記録は8世紀頃になりますが、犬種としての成り立ちはそれよりはるかにさかのぼる紀元前と伝聞されています。

祖先犬のチベタン・スパニエルは、仏教への進行が厚いチベット原産の犬で、チベット寺院で僧侶によって繁殖、飼育されてきた犬です。「釈迦はその偉大な力により、どう猛な獅子をも服従させる」と考えていた仏教、ラマ教は、獅子に似た犬となるよう改良したペキニーズを獅子犬とし、諸国宮廷への献上物として秦の始皇帝ほか、歴代の皇帝に贈られてきました。この神聖な獅子犬は、皇帝と皇族以外による飼育を禁じられ、禁を犯して持ち出した者は死刑になったとも伝えられています。

そうしてペキニーズは宮廷外への門外不出として大切に扱われ、西太后が定めたとされるスタンダード(犬種標準)に沿って、宮廷内のみで繁殖が行われていました。

門外不出のペキニーズは歴代宮廷内においてのみ飼育され、8世紀の唐の時代には、既にこの犬種に関する記述があり、宋(10~13世紀)や元(13~14世紀)の時代の飼育記録も残っているので、少なくとも1000年以上の歴史があると考えられています。

しかし、1860年アヘン戦争に負けた西太后は、5頭のペキニーズを残し宮殿を離れることとなりました。それをイギリスの軍人が持ち帰り、ビクトリア女王に献上したとされ、犬好きで知られたビクトリア女王はこれを繁殖し、最初はイギリス国内で王族や貴族にだけ飼われていました。そして1893年に初めてドッグショーに出陳、鼻が低く愛嬌のある姿が人気となり、やがて世界に広がることとなりました。

犬名は原産国である中国の都市「北京」が由来です。現在は「Beijing」というスペルですが、かつては「Peking」という綴りだったことから「ペキニーズ(Pekingese)」となりました。

愛称は「ピーク(Peke)」で、鼻ぺちゃ顔の動物を「ピークフェイス(Peke Fafe)」と称するのは、この犬種にちなんでのことです。

ペキニーズの大きさ・見た目

ペキニーズはがっちりした前足と細めの後ろ脚、ずんぐりした首回りですが、全身を覆う長毛のおかげでボリューム感のある、まるで獅子のような貫禄ある堂々とした姿をしています。

古い時代から大きな変化がないのが特徴で、18世紀の宮廷画に見られるペキニーズの姿は、現在のペキニーズとほとんど同じものです。ライオンを思わせる先細りの体型、赤みがかった金色の被毛、袖に入るサイズとウェイトなどの特徴から、かつては「獅子犬」・「太陽犬」・「袖犬」などとも呼ばれており、被毛はクリーム、ゴールド、レッド、ブラック、ホワイト、サーブル、ブラック&タン、グレイなど多彩です。

よたよたと歩く独特の動き方は、宮廷内から脱走しないよう、選択的に作られたものではないかと推測されています。

体高はオス19~21cm、メス18~20cm、体重はオス3~7㎏、メス2.5㎏~6㎏。

平均寿命は12歳~15歳ほどです。

ペキニーズの性格

ペキニーズは独立心が旺盛で、時に頑固、飼い主に依存することはありません。そのため、愛玩犬なのに人間の膝に抱かれるのを好まない個体も多いようです。この面からまるで猫のような犬と評価されることもあります。

人見知りをするため、家族以外にはなかなか懐かず、だれにでもフレンドリーに振る舞うことはあまりありません。

ペキニーズは勇敢で負けず嫌い、喧嘩になっても決して引かない面があります。しかし他の犬へわざわざ喧嘩を売りに行くようなことはしない、誇り高い一面が見られます。

ペキニーズを飼うときの注意点

ペキニーズはダブルコートの犬の中でも、特に下毛の量が多く、換毛期には大変な量の抜け毛があります。通期により皮膚の健康を保つためにも、毎日のブラッシングが欠かせません。ブラッシングを怠るとたちまち毛玉になり、フェルト状になって、ますます手入れのしづらい毛になってしまします。

活発な性質ではないため、散歩は気分転換程度の短い時間で十分です。暑さに弱く、呼吸困難になりやすいため、夏は散歩に行かない方が良い場合があります。夏場は屋内でエアコンをつけ、熱中症にならないように気を付けましょう。

運動不足になりやすいうえ、太りやすいという体質があるので、食事の量や質は管理が必要です。

顔のしわには汚れがたまりやすく、放置すると皮膚糸状菌などにより皮膚病になって炎症を起こすことがありますので、特に食事の後など汚れがわかりやすくついてるときを含め、しわの間まできれいに拭き取ってあげましょう。

ペキニーズは長い毛に隠れて見えにくくなっていますが、体型は胴長で脚は短めな体型をしているため、ソファなどから飛び降りたりすると、背中や腰に負担がかかります。活発な犬種ではないので、特に高齢になってきたら、休む場所は低い位置に作ってあげるようにしましょう。

ペキニーズは性格的に気位が高く、マイペースで、気に入らないことをされると歯を当てて抵抗することがあります。

猫のような性質と頑固さがあるため、しつけがやや入りにくい面があり、飼いやすくはない犬種ですが、信頼関係が出来上がり、飼い主を主人と認めると愛情豊かに振る舞い、素直で遊び好きの面を出します。

愛くるしい子犬時代に犬の起源を取りすぎないよう、けじめをつけた飼育をしましょう。

記事監修
動物病院病院 総長 藤野 洋

アニホック往診専門動物病院獣医師 藤野 洋

日本大学生物資源科学部(旧農獣医学部)獣医学科卒業。
卒業後、約20年にわたり動物病院でペットの治療に従事。
2007年(株)フジフィールド創業。動物病院とトリミングサロンのドミナント多店舗展開を行い、複数店舗の開業/運営を果たす。

日本大学生物資源科学部(旧農獣医学部)獣医学科卒業。
卒業後、約20年にわたり動物病院でペットの治療に従事。
2007年(株)フジフィールド創業。動物病院とトリミングサロンのドミナント多店舗展開を行い、複数店舗の開業/運営を果たす。

【エデュワードプレス(旧インターズー)】・トリミングサービス成功事例セミナー講師・トリミングサービス成功ガイド監修・Live trim2018 マネージメントセミナー講師 【メディア】・ラジオ調布FM ペットオーナー向け番組MC・多摩テレビ 「わんにゃんMAP」番組パーソナリティ・j:comジモトピ「世田谷・調布・狛江」出演