トイプードルの目やに、涙、腫れ、異常な色、臭いの原因とは?

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トイプードルはその可愛らしい外見と愛らしい性格で多くの家庭で愛されていますが、目の健康には注意が必要です。目やに、涙、腫れ、異常な色や臭いといった症状は、目に何らかの問題が生じているサインです。これらの症状を見逃すと、深刻な健康問題に発展する可能性があります。

今回は、トイプードルの目に関するさまざまな問題の原因と対策について解説します。

目の基本構造と機能

目は角膜、瞳孔、水晶体、網膜などから構成されており、それぞれが異なる役割を果たしています。角膜は目の表面を覆い、外部からの異物を防ぎます。瞳孔は光の量を調節し、水晶体は光を屈折させて網膜に像を結びます。網膜は光を神経信号に変換し、脳に送ることで視覚情報を処理します。

特にトイプードルの目は非常にデリケートであり、ちょっとした異常でも大きな影響を及ぼすことがあります。飼い主様は、日常的に目の状態をチェックし、異常を早期に発見することが重要です。

目やにの原因と対策

〈通常の目やにと異常な目やにの違い〉

目やには通常、目の自浄作用の一部として分泌されますが、異常な量や色の場合は注意が必要です。通常の目やには、透明または薄い黄色で、少量です。しかし、異常な目やには、緑色や濃い黄色、大量に出る場合があります。

〈異常な目やにの原因〉

・アレルギー

アレルギーは、目やにの一般的な原因の一つです。花粉やホコリ、食品などがアレルゲンとなり、目の粘膜が刺激されて目やにが増加します。

・感染症

細菌やウイルスによる感染症も目やにの原因となります。感染症の場合、目やにが粘り気を持ち、悪臭を放つことがあります。

・異物の混入

目に異物が入った場合、目やにが増えることがあります。異物が原因で目が炎症を起こし、目やにが多くなります。

〈自宅でできる対策〉

目やにが軽度である場合、温かく濡らしたタオルを目の周りに当てることで症状を和らげることができます。また、目を清潔に保つために専用の目薬を使用することも有効です。

〈受診すべきタイミング〉

目やにが長期間続く場合や、色が異常である場合は、獣医師に相談することが重要です。適切な診断と治療を受けることで、症状を悪化させずに治療することができます。

涙の過剰分泌の原因と対策

〈通常の涙と異常な涙の違い〉

涙は目を潤すために分泌されますが、異常な量の涙が出る場合は注意が必要です。通常の涙は透明で、少量です。しかし、異常な涙は目の周りが濡れるほど大量に分泌される場合もあります。

〈涙の過剰分泌の原因〉

・涙管の閉塞

涙管が閉塞すると涙が正常に排出されず、目からあふれ出ることがあります。涙管の閉塞は先天的な場合もあれば、後天的に発生することもあります。

・アレルギー

アレルギーは涙の過剰分泌の原因にもなります。アレルゲンが目に入ることで、目が刺激され、涙が大量に分泌されます。

・感染症

細菌やウイルスによる感染症も、涙の過剰分泌を引き起こすことがあります。感染症の場合には、涙が濁っていたり、悪臭がすることがあります。

〈自宅でできる対策〉

軽度の涙の過剰分泌の場合、目の周りを清潔に保ち、温かい濡れタオルを当てることで症状を緩和することができます。また、アレルギー対策として、アレルゲンを避けることも重要です。

〈受診すべきタイミング〉

涙の過剰分泌が長期間続く場合や、異常な色や臭いがする場合は、獣医師に相談することが必要です。適切な診断と治療を受けることで、症状を改善することができます。

目の腫れの原因と対策

〈通常の目の状態と腫れの違い〉

目の腫れは、通常の目の状態とは異なり、目の周りが膨らんでいる状態です。腫れは目の周りだけでなく、まぶたや眼球自体にも影響を及ぼすことがあります。

〈目の腫れの原因〉

・アレルギー

アレルギー反応により、目が腫れることがあります。アレルゲンが目に入ることで、目の粘膜が炎症を起こし、腫れが生じます。

・感染症

細菌やウイルスによる感染症も目の腫れの原因となります。感染症の場合、目が赤くなり、痛みを伴うことがあります。

・外傷

目に外傷を負った場合、目が腫れることがあります。外傷は、他の動物とのケンカや事故によって引き起こされることがあります。

〈自宅でできる対策〉

軽度の腫れの場合には、冷たい濡れタオルを当てることで症状を緩和することができます。また、アレルギー対策として、アレルゲンを避けることが重要です。

〈受診すべきタイミング〉

目の腫れが長期間続く場合や、痛みを伴う場合は、獣医師に相談することが必要です。適切な診断と治療を受けることで、症状を改善することができます。

目の異常な色の原因と対策

〈通常の目の色と異常な色の違い〉

目の色が通常とは異なる場合、目に何らかの問題が起きていることが疑われます。通常の目の色は透明で、白目は白く、虹彩の色はそれぞれの犬種や個体によって異なります。

目の異常な色を引き起こす原因には次のようなものがあります。

〈目の異常な色の原因〉

・黄疸

黄疸は、肝臓の問題や血液の異常によって引き起こされます。目の白目が黄色くなるのが特徴です。

・感染症

細菌やウイルスによる感染症も目の色の異常を引き起こすことがあります。感染症の場合、目が赤くなることがあります。

〈自宅でできる対策〉

軽度である場合には、目を清潔に保つことが重要です。また、日頃から栄養バランスの取れたドッグフードを与えることも、目の健康を維持するためには大切です。

〈受診すべきタイミング〉

目の色が長期間異常な状態である場合や、他の症状が伴う場合には、動物病院を受診しましょう。

目の異常な臭いの原因と対策

〈通常の目の臭いと異常な臭いの違い〉

通常、目にはほとんど臭いがありません。しかし、異常な臭いがする場合は、感染症や炎症が疑われます。

〈目の異常な臭いの原因〉

細菌やウイルスによる感染症は、目の異常な臭いの主な原因です。

感染症が原因の場合、目やにが増え、目の周りが赤くなったり、腫れたりすることがあります。感染症の種類によっては、目から出る分泌物が緑色や黄色になることがあります。

これらの症状が見られる場合は、早急に獣医師の診察を受けることが重要です。

〈自宅でできる対策〉

臭いがする場合、まずは目の周りを清潔に保つことが重要です。以下の方法を試してみてください。

目を清潔に保つ:温かい水で湿らせた柔らかい布で目の周りを優しく拭き取ります。これにより、目やにや分泌物を取り除くことができます。

専用の目薬を使用する:獣医師の診断の下、専用の目薬を使用することが効果的です。抗生物質の目薬は感染を抑え、症状を和らげる効果があります。

食事と環境の改善:栄養バランスの取れたフードを与え、清潔な環境を整えることで、免疫力を高めることができます。

〈受診すべきタイミング〉

目の異常な臭いが長期間続く場合や、他の症状(目の腫れ、赤み、目やにの増加など)が見られる場合は、獣医師に相談する必要があります。特に以下の症状が見られる場合は、直ちに動物病院を受診してください。

目の臭いが数日以上続く:異常な臭いが数日以上続く場合、感染症の可能性が高いため、早急に診察を受けることが重要です。

目の分泌物が異常な色をしている:緑色や黄色の目やにが出る場合、細菌感染の可能性があるため、獣医師に相談してください。

目の周りが赤く腫れている:炎症や感染の兆候であるため、直ちに治療が必要です。

獣医師による適切な治療を受けることが、愛犬の目の健康を守り、早期に問題を解決するためには重要です。

診断と治療

〈診断〉

トイプードルの目に異常が見られる場合、獣医師による適切な診断が不可欠です。診察の際には、主に以下のような手順が取られます。

・視診と触診

目の状態を視覚的に確認し、触診によって異常な部分や痛みの有無を確認します。

・細菌培養・薬剤感受性試験

目やにのサンプルを採取し、感染の有無を確認するための検査を行います。

・涙液量検査

シルマーティアテスト(STT)を用いて、涙の分泌量を測定します。

・眼圧測定

緑内障などの眼圧異常を確認するために、眼圧を測定します。

・画像診断

必要に応じて超音波検査を行い、目の内部の状態を詳細に調べます。

〈治療〉

治療法は診断結果に基づいて決定されます。一般的な治療法は以下の通りです。

・抗生物質の投与

細菌感染が確認された場合、抗生物質の目薬や内服薬が処方されます。

・抗ウイルス薬の投与

ウイルス感染の場合、抗ウイルス薬が用いられます。

・抗アレルギー薬の使用

アレルギーが原因の場合、抗アレルギー薬や抗炎症薬が処方されます。

・鼻涙管洗浄

鼻涙管の閉塞が原因の場合、鼻涙管を洗浄して通りを良くする治療が行われます。

・外科的処置

外傷や深刻な感染症の場合には、手術が必要になることもあります。

自宅でのケアと予防法

自宅でのケアもトイプードルの目の健康維持において非常に重要です。以下の方法を実践することで、目のトラブルを未然に防ぐことができます。

目の清潔を保つ:目の周りを常に清潔に保つことが重要です。目やにが溜まっている場合は、温かい水で湿らせた柔らかい布で優しく拭き取りましょう。

適切な食事を与える:栄養バランスの取れた食事を与えることで、全身の健康を維持し、免疫力を高めることができます。特にビタミンAやオメガ-3脂肪酸を含む食品は目の健康にも良いです。

定期的な目のチェック:毎日目の状態をチェックし、異常がないか確認します。異常が見られた場合は、早期に獣医師に相談しましょう。

アレルゲンの除去:ペットがアレルギーを持っている場合、アレルゲンをできるだけ除去するよう努めましょう。例えば、家の中を清潔に保ち、花粉やホコリを取り除くことが重要です。

定期的な健康診断:獣医師による定期的な健康診断を受けることで、早期に問題を発見し、適切な対策を講じることができます。

定期的な健康チェックの重要性

トイプードルの目の健康を維持するためには、定期的な健康診断が欠かせません。健康診断では、目だけでなく全身の状態を確認し、潜在的な健康問題を早期に発見することができます。

獣医師による定期的な検診を受けることで、目の異常を早期に発見し、適切な治療を受けることが可能になります。また、飼い主様自身も日常的にペットの目の状態を観察し、異常が見られた場合にはすぐに獣医師に相談する習慣を身につけることが大切です。

まとめ

愛犬の目の健康管理は、ペットの全体的な健康や生活の質にも直結します。

目やに、涙、腫れ、異常な色、臭いなどの症状は、目に何らかの問題があることを示すサインです。これらの以上が見られた場合には、早急に受診し適切な治療を受けることが大切です。

また、動物病院での定期的な健康診断とご自宅での日常的なケアを怠らず、トイプードルの目の健康を守りましょう。

記事監修
動物病院病院 総長 藤野 洋

アニホック往診専門動物病院獣医師 藤野 洋

日本大学生物資源科学部(旧農獣医学部)獣医学科卒業。
卒業後、約20年にわたり動物病院でペットの治療に従事。
2007年(株)フジフィールド創業。動物病院とトリミングサロンのドミナント多店舗展開を行い、複数店舗の開業/運営を果たす。

日本大学生物資源科学部(旧農獣医学部)獣医学科卒業。
卒業後、約20年にわたり動物病院でペットの治療に従事。
2007年(株)フジフィールド創業。動物病院とトリミングサロンのドミナント多店舗展開を行い、複数店舗の開業/運営を果たす。

【エデュワードプレス(旧インターズー)】・トリミングサービス成功事例セミナー講師・トリミングサービス成功ガイド監修・Live trim2018 マネージメントセミナー講師 【メディア】・ラジオ調布FM ペットオーナー向け番組MC・多摩テレビ 「わんにゃんMAP」番組パーソナリティ・j:comジモトピ「世田谷・調布・狛江」出演