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炒め物や鍋など、我々の生活の中でも食材として食べる機会が多いきのこですが、もし愛犬が欲しがった場合、与えることは可能なのでしょうか。
結論から言いますと、我々が普段食べている食用のきのこに関しては与えて問題はありません。
しかし、我々同様に一般的に毒のあるきのこを与えることは危険だとされています。
では具体的にどのようなことがダメなのか、調べていきましょう。
まず、きのこを与えるメリットと危険性についてから知っていきましょう。
犬に食べられるきのこを与えて得られるメリットはその栄養素にあります。
「β‐グルカン」はきのこや酵母、大麦に含まれている食物繊維の一種です。きのこの種類ではシイタケ、マイタケ、スエヒロタケ等に含まれています。
また、「β-グルカン」はリンパ球などの免疫細胞を活性化させる免疫賦活(めんえきふかつ)成分として注目されている成分でもあります。
※免疫賦活とは動物や人の体が病気の原因になる細菌やウイルスに接触した際、それらを排除したり殺す機能(自然免疫)を活性化して、抵抗力を増強する物質のこと。
「ビタミンB1」は、別名チアミンとも呼ばれ、炭水化物を糖質に変換する際に必要な水溶性の必須ビタミンです。
ビタミンB1は神経機能を正常に保つ働きがあり、欠乏した場合は食欲不振・嘔吐・発育障害などに陥ります。
また、症状が進行すると歩行困難になったり痙攣を起こしたりなどの症状が見られますが、ドッグフードを食べている限りは欠乏症になる心配はありません。
「ビタミンB2」は、別名リボフラビンとも呼ばれており、皮膚の健康維持および被毛の質を高める効果のほか、死亡からのエネルギー生成やアミノ酸の異化、細胞内のエネルギー製造所の活動などの多くの生化学反応に関与する水溶性の必須ビタミンです。
欠乏すると眼の周囲や腹部の皮膚・被毛に限局した乾皮症や、光線過敏症などが引き起ります。
「ビタミンD」はカルシウムやリンの代謝の調節をする上で重要な役割を果たす栄養素です。
イワシやマグロなどの脂肪分の多い魚やレバーに多く含まれており、肉類や野菜にはほとんど含まれていません。
人や草食動物は、紫外線を浴びることでビタミンDを生合成することができますが、犬や猫ではこれができないため、食事からでしかビタミンDを補給することはできません。
また、腸管におけるカルシウムやリンの吸収を促進するほか、尿中への排泄を減少させ、骨から血中へカルシウムの放出を促進して血中のカルシウム濃度を高める効果もあります。
食物繊維は消化されないため、体内で栄養にはなりませんが、整腸作用を持つ栄養素です。
適量の食物繊維をバランスよく含むことで、腸内通過時間が適度に保たれますが、この通過時間が遅すぎると便秘を起こしてしまいます。
また、食物繊維にも様々な種類があるため、その整腸作用のメカニズムや働きは様々です。
犬の場合、人ほど沢山の量が必要になることはありませんが、ある程度の食物繊維は必要とされるので、きのこなどである程度摂取できれば適量といえるでしょう。
また、犬に与えて良いとされるきのこは下記になります。
舞茸のβ‐グルカンの量は他のきのこに比べ、圧倒的な量を誇っています。さらにリンパ球などの免疫細胞を活性化する作用上がると報告されており、期待される成分として注目を集めています。
しめじはβ‐グルカンやビタミンB群などを豊富に含んでおり、食物繊維はさつまいもと同じ量であるといわれています。
また、紫外線を浴びることで、ビタミンDに変化する「エルゴステロール」という成分も含んでいます。
人が食べるきのこの中でも最もポピュラーな種類のきのこであり、ビタミンDや食物繊維が豊富に含まれています。
独特なぬるぬる成分から犬に与えることができるのか疑問に思う方もいるかもしれませんが、なめこのぬるぬるの正体は「ムチン」という糖たんぱく質の一種なので問題なく与えることが可能です。
マッシュルームには食物繊維やビタミンB2、パントテン酸やカリウムなど様々な栄養成分が含まれており、きのこのうまみ成分である「グアニル酸」は椎茸の3倍の量含まれています。
エリンギには「ナイアシン」と呼ばれる皮膚や粘膜の炎症を抑え、代謝に深く関わる成分が含まれているほか、きのこ類の中でもエリンギには食物繊維が多く含まれているため、便秘の犬にはおすすめのきのこです。
高級なきのことして有名ですが、栄養価については他のきのこと大差ありません。人においては松茸の香りは食欲を向上したり消化の手助けをするといわれていますが、犬においてその効果は確認されていない状況です。
木耳は色によって白木耳と黒木耳の2種類に分類され、白木耳は稀少価値が高く、水溶性の食物繊維が豊富で便秘に効果的だといわれています。
また、黒木耳は鉄分を多く含んでいるため、貧血予防に効果的であると考えられています。
「黒木耳(くろきくらげ)」には、ビタミンDやカルシウム、食物繊維が多いので便秘に悩んでいる愛犬に食べさせたいきのこの種類のひとつです。
次に、きのこを与える危険性についてです。
犬の食事は基本的に、炭水化物とたんぱく質がメインです。
人の食べる主食やおかずなどの考え方とは摂取する量が異なるため、与える際には適量を与えるようにしましょう。
特に、初めてきのこを与えた際にはお腹の調子が不安定になりやすく、下痢をしてしまう可能性もあります。
様子を見ながら与える量を調整して、無理をさせないペースえ与えるようにし、消化不良を起こさせないためにも、食べさせ過ぎないようにすることと、一口サイズに切って与えるようにすることを心掛けましょう。
基本的に与えても問題が無いので、症状が出ることはないのですが、注意点として、極まれにアレルギーを持っている場合があるため、気を付けなくてはなりません。
アレルギーの場合は皮膚炎や嘔吐など様々な症状が現れるため、速やかに動物病院へ連れていくようにしてください。
食べても問題が無いといわれているだけに、危険を伴う量は定まってはいません。
ですが、食べ過ぎてしまうと前述した通り、下痢を起こしてしまう場合がありますので、基本的には適量を与えるようにしましょう。
与えても問題ないきのこを与えた場合は特に対処することはありません。
ですが、もし毒性のあるきのこを食べてしまった場合は即動物病院へ連絡し、連れて行くようにしましょう。
見た目だけでは毒があるかないかはわかりにくいため、散歩中は基本的に拾い食いをしないように見張りながら散歩をすることが大切になりますが、それでも万が一その辺に生えていたきのこを食べてしまった時は様子を見つつ、少しでもおかしいと感じたら動物病院に連絡し、獣医師さんに相談をするようにしてください。
いかがでしたでしょうか。
きのこ自体は基本的に我々が食べている範囲内のものであれば、愛犬に共有することが可能です。
しかし、与え過ぎには注意をしなくてはなりませんし、万が一アレルギー反応が出てしまった場合は即刻食べさせるのを辞めなくてはなりません。
散歩ルートの途中で道端にきのこが生えていることがあっても、決して食べないようにきちんとしつけをし、健康的なペットライフを送れるようにしましょう。