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トイプードルをはじめ犬の呼吸器は人間と同じ作りになっており、人間のように咳き込むことがあります。
けれども体の小さいトイプードルが咳き込んでしまうと、苦しそうで何かしてあげられることはないかと心配になる飼い主も多いようです。
トイプードルが咳き込んだときに考えられる原因をいくつかご説明します。
人間も、ホコリの多く舞う場所で空気とともにホコリを吸い込んでしまったり、急に冷たい空気をたくさん吸ってしまうと咳き込むことがありますよね。
トイプードルも同じく、冷気やホコリを吸い込んでしまった時に咳き込むことがあります。喉や気管が過度に反応してしまうためです。
このような時には環境を変えてあげたり、部屋の温度を整えてあげることで咳は改善するでしょう。
人間でもある現象ですが、水などを飲む際に急いでがぶ飲みをしてしまうと、水が食道でなく気管に入ってしまうことで激しい咳が出てしまう場合があります。急いでフードやおやつを食べた時も同様です。
これは気管が異物を外に出そうとする反射で生理的現象なので、問題はありません。咳をしているうちに多くの場合は異物が排出され、咳き込むことも無くなるでしょう。
しかし何らかの原因で多量の水が気管に入ってしまった場合は、誤嚥性肺炎という病気になってしまう可能性があるため注意が必要です。
元気なトイプードルが、散歩などで嬉しくてリードを引っ張ってしまうと直後に咳き込むことがあります。
これは一時的にリードで首が絞まってしまうために起こる咳で、短時間で治まる咳であれば問題はありません。もし苦しそうにしているようであれば、喉元を優しく撫でてあげると落ち着くことが多いでしょう。
しかしずっと咳き込みが止まらなかったり、血を吐いてしまったりする場合は気管が傷ついてしまっている可能性がありますので早急に動物病院を受診しましょう。
トイプードルの咳が一時的なものでなく長い間続いてしまったり、他の症状も見られる場合には病気のサインである可能性があります。
では咳が止まらない場合、どのような病気が考えられるのでしょうか?可能性のある病気をいくつかご紹介します。
ケンネルとは犬舎、コフは咳のことを指し、名前の通りペットショップやブリーダーなど、多頭飼育しているところで流行しやすい病気です。ウイルスや細菌類など様々なものが原因となります。
全年齢で感染しますが、生後6週~半年までの子犬に最も感染しやすいと言われています。そのためペットショップなどから購入し、自宅に来て初めて症状が出ることも多くあります。
コンコンと乾いた咳が連続して出るのが特徴で、重症化してくると食欲が落ちたり下痢や嘔吐など、消化器症状が出始め、体力のない子犬は命に関わることもある病気です。
ケンネルコフを発症したら、軽度の場合はインターフェロンや咳止めなどの内服薬や点滴、咳の様子でネブライザーなども使用しながら治療します。適切な治療を行えば、約2週間で症状は回復してくるでしょう。
犬は心臓が悪くても咳をします。トイプードルをはじめ小型犬のシニアに心臓病は多く発症しますので、老齢期を迎えてから咳が多くなってきた場合は注意が必要です。
トイプードルは心臓病の中でも僧房弁閉鎖不全症(そうぼうべんへいさふぜんしょう)になることが多いと言われています。
僧房弁閉鎖不全症は、心臓の中の弁がしっかりと閉鎖することが出来なくなり、血液が逆流してしまう病気です。逆流してしまうために心臓に大きな負担がかかり、全身に影響が出てしまいます。
心臓病からの咳はガハガハと痰が絡むような咳が出ることが多く、咳き込んでいる間に舌の色が青くなるチアノーゼを引き起こすこともあります。
その際は早急に治療を開始しないと酸素をうまく取り込めず命に関わることがあるため、すぐに動物病院を受診しましょう。
また僧房弁閉鎖不全症は初期の段階では無症状のことが多く、咳が出始めるころにはある程度病気が進行してしまっていることもあります。しかし聴診器では初期の段階でも雑音が聞こえたり超音波検査で逆流が見られます。
そのため常日頃からの健康診断での早期での発見が大事になりますので、定期的に受診するようにしましょう。
犬の咳は人間の咳と違いが分かりにくく、咳なのかくしゃみなのか判断が難しい場合も多くあるでしょう。また獣医に咳の様子を見せたくても、診察室でも咳が出るとは限りません。
そのため咳で動物病院を受診する場合は、携帯の動画などで咳の様子を録画しておくと良いでしょう。それが咳なのかくしゃみなのか、獣医師に見てもらうことが出来ます。
また下記にトイプードルが咳をしている動画を載せますので、受診の際の参考にしてください。
犬も人間と同じくくしゃみをします。鼻の中の神経が何らかの原因によって刺激され、反射的にくしゃみが出るのです。
ではトイプードルがくしゃみをした時に考えられる原因は何があるのでしょうか?対処法とともにいくつかご紹介します。
散歩中に粒子の細かい砂を鼻から吸い込んでしまったり、家の中でホコリを吸ってしまった場合は異物を排出しようとくしゃみが出る場合があります。
原因がはっきりとしていて、一過性のくしゃみであればそのまま様子を見て大丈夫でしょう。
しかし家の中のホコリに過度に反応してしまっている場合はハウスダストなどのアレルギーである可能性もありますので、くしゃみが連日出るようでしたら動物病院の診察を受けましょう。
たばこの煙や香水、殺虫剤などを犬が吸ってしまうと、刺激が強く反射的にくしゃみをすることがあります。またたばこの煙などは吸い終わった飼い主の服などにも付着しており、それを吸い込みくしゃみが出ることもあります。
トイプードルがいる部屋では香水などを吹きかけない、たばこを吸わないのはもちろん、吸った後すぐに抱っこするのも注意した方が良いでしょう。
また空気清浄器を設置し、常に空気を清潔に保ってあげるのも良いでしょう。
トイプードルがくしゃみをする際は、生理的な反射で出るくしゃみだけでなく、病気が原因でくしゃみが出ている可能性もあります。
その際はくしゃみの他に、鼻水が出たり目が充血したりといった症状が出ることが多くあります。
ではどのような病気の可能性があるのでしょうか?
トイプードルは顎が長く、口の中に唾液が溜まりにくいため歯周病になりやすい犬種です。特に6歳以上のシニア期に多く見られます。
軽度の歯周病であれば口臭くらいしか症状は出ませんが、重度の歯周病になると歯の根っこの部分が細菌感染を起こし穴が開いてしまうため、鼻腔にも影響が出てくしゃみが頻回に出ます。
歯周病の治療は主に全身麻酔での歯科治療になりますが、年齢や病歴によって麻酔をかけるリスクが高い場合がありますので、必ず担当の獣医とよく相談してから決めるようにしましょう。
人間も花粉症で苦しむ方が多くいるように、犬も花粉やハウスダストなどのアレルギーの際にはくしゃみをします。
くしゃみをするのが一定の時期であり、また散歩時などに特にひどくなるようなら一度アレルギー検査を行った方が良いでしょう。
アレルギー体質の犬は花粉等のほかに、食べ物などにもアレルギーを持つことが多くあります。一度検査をしておけば避けた方が良い食べ物や植物などが分かるため、アレルギー症状が出るのを抑えられます。
鼻腔とは鼻の穴のことです。鼻腔内に良性または悪性の腫瘍が出来てしまうことにより穴を塞いでしまうと鼻水やくしゃみなどの症状が出ます。
腫瘍が小さく初期の段階であればくしゃみや鼻水のみの症状ですが、進行し腫瘍が増大すると鼻の中から腫瘍が盛り上がってくるため、鼻の形が変形してしまうことがあります。
鼻腔腫瘍はほとんどが悪性と言われており、抗がん剤や放射線などの治療が行われます。
予防法はありませんが、早期に治療を開始すれば完治することもある腫瘍になるため、少しでもくしゃみなどの症状が表れた際は動物病院を受診しましょう。
犬は人に比べると嘔吐することが多い動物です。また個体差があり、嘔吐しやすい犬としにくい犬がいます。
では犬が嘔吐した時の原因と対処法には何があるのでしょうか?
人間と同じように、犬も餌を一気に食べ過ぎたり水をがぶ飲みしたりすると一過性の嘔吐をすることがあります。夏の散歩や運動後などに多く見られる現象で、吐いた後に元気にケロッとしているようでしたら問題はありません。
対処法としては少しずつ餌を与えるようにしたり、水を与える際に食器を少し高くしてあげると嘔吐することは減ってくるでしょう。
特に小型犬に多いのですが、犬も車酔いで嘔吐することがあります。長時間のドライブや、犬によっては通院などの短時間のドライブでもヨダレを出したり嘔吐したり車酔いの症状を引き起こすこともあります。
車酔いをする犬に対しては、乗車する前に餌や水を控えることで症状が良くなる場合があります。それでも改善しない場合には動物病院で車酔い用の薬を処方してもらえますので、あらかじめ常備しておくと良いでしょう。
嘔吐の症状が出る犬の病気は非常に多くあります。吐いたものや吐く回数、そのほかの症状の有無などを合わせて注意深く見てあげましょう。
嘔吐から考えられる病気の中でも、代表的な病気をいくつかご紹介します。
細菌やウイルス、寄生虫などの感染など、様々な原因から胃腸炎を引き起こします。多くの胃腸炎の場合は嘔吐とともに下痢などの消化器症状を伴います。
原因となるものに対しての治療や吐き気止めの投薬が行われ、適切な治療をすれば数日から1週間程度で回復してきます。
激しい嘔吐が続く時に疑われる病気に膵炎(すいえん)があります。膵炎の原因は様々で、肥満やストレスからも発症することもあり常に注意が必要です。
膵炎は嘔吐とともに激しい腹痛を引き起こし、重症化するとショック症状になってしまうこともあり、合併症などを引き起こすと命に関わることもあります。
初期症状として嘔吐が起こりますので、いつもと違う様子だったり頻回の嘔吐を繰り返す際には早急に動物病院を受診しましょう。
犬は異物摂取をすることが多い動物です。
靴下やボールなどで遊んでいてそのまま飲み込んでしまったり、焼き鳥などを串ごと飲み込んでしまったりと異物になるものは多種多様です。
異物を摂取すると胃内や腸管内を刺激し、頻回の嘔吐をするようになり、組織を傷つけてしまっている際には嘔吐物の中に血液が混ざる場合もあります。
異物を除去するには異物の種類にもよりますが、催吐処置をして吐かせたり麻酔をかけて内視鏡で摘出します。腸管内に流れてしまっていたり異物の形状によっては胃切開や腸切開を行う場合もあります。
一度異物摂取歴がある犬は再度異物摂取する可能性が高いため、異物になりそうなもので遊ばせないなど注意が必要です。