愛犬の健康を守るために知っておきたい「犬の膵炎」の全て

皆様の大切な家族である愛犬の健康を守るためには、病気に対する正確な知識が何より重要です。この記事では、特に犬における一般的な病態の一つである「膵炎」について詳しく解説します。犬の膵炎は、正しい知識と対策を持っていれば予防し、早期発見が可能です。それが犬の長寿と快適な生活に繋がると言っても過言ではありません。

この記事では膵炎の原因、症状、検査方法、治療法、そして予防について、獣医師としての専門知識を元に具体的に説明します。あなたがこの記事を読むことで、愛犬が膵炎になった際にすぐにそれを見つけ出し、適切な対策を取れるようになることを願っています。


それでは、愛犬の健康を守るための重要な知識、膵炎について学びましょう。

 

「犬の膵炎」の原因とは?

膵炎は、犬の膵臓に炎症が起こる病気です。この病気の主な原因は、膵臓が生産する消化酵素が早まった活性化により膵臓自体を消化してしまうことにあります。通常、これらの消化酵素は小腸に運ばれてから活性化されるのですが、何らかの理由で膵臓内で活性化されてしまうと、膵炎を引き起こします。

膵炎の原因としては、高脂肪の食事、過食、糖尿病、特定の感染症や腹部の外傷などがあります。また、一部の薬剤が膵炎を引き起こす可能性もあります。その他にも、犬種や遺伝的な要素、年齢、肥満などが膵炎のリスクを高めることが知られています。具体的には、ミニチュア・シュナウザーやヨーキーなどの小型犬種、高齢の犬、肥満の犬は膵炎になりやすいとされています。

このように膵炎の原因は多岐にわたるため、犬の膵炎は個々の犬の生活習慣や体調、生活環境などにより大きく影響を受けます。したがって、愛犬の健康管理には、これらの要素に注意を払うことが重要です。その上で、愛犬が膵炎のリスクを抱えている場合は、さらなる注意が必要となります。

以上が、犬の膵炎の主な原因についての説明です。次に、犬の膵炎がどのような症状を引き起こすのかについて詳しく見ていきましょう。

 

「犬の膵炎」の症状とその識別方法

膵炎を発症した犬の症状は多岐にわたります。まず、最も一般的な症状としては食欲不振や嘔吐、下痢、腹痛が挙げられます。特に腹痛は膵炎の特徴的な症状であり、犬が腹部を守るような姿勢をとったり、触れると痛がる場合は警戒が必要です。また、慢性的な膵炎では、体重の減少や毛並みの乱れなどが見られることもあります。

しかし、これらの症状は他の病気でも見られるため、膵炎であるかの判断は容易ではありません。そのため、愛犬にこれらの症状が現れた場合は、早急に獣医師に相談し、適切な診断を受けることが大切です。

また、犬の膵炎は急性と慢性の2種類があります。急性膵炎は突然強い症状が出現し、短期間で重篤な状態になることがあります。一方、慢性膵炎は長期間にわたり徐々に症状が現れます。慢性膵炎の場合、初期症状が軽微であるために見逃されがちですが、長期間にわたる膵炎は膵臓の持続的なダメージとなり、結果的に膵臓の機能を失う原因となります。

特に、糖尿病と関連が深い膵炎は注意が必要です。膵臓はインスリンというホルモンも分泌し、血糖値の調節に関与しています。膵炎が進行するとインスリンの分泌が低下し、糖尿病を引き起こす可能性があります。したがって、膵炎と同時に糖尿病の症状(過度の飲水・排尿、体重減少など)も観察される場合は、急速に状態が悪化する可能性があるため、迅速な対応が求められます。

ここで説明した症状が現れたときは、まずは獣医師に連絡しましょう。早期発見・早期治療が膵炎の予後を大きく左右します。次に、犬の膵炎の診断について詳しく解説します。

 

「犬の膵炎」の診断方法とその過程

犬の膵炎を診断するためには、獣医師がまず愛犬の全体的な健康状態や病歴を評価します。その上で、臨床症状や身体検査の結果に基づき、必要な追加検査を実施します。

具体的には、血液検査や尿検査、腹部のレントゲン撮影や超音波検査などが行われます。血液検査では、膵臓から分泌される特定の酵素(アミラーゼやリパーゼ)のレベルが通常よりも高いかどうかを確認します。しかし、これらの酵素レベルは他の疾患でも上昇するため、必ずしも膵炎を確定的に診断するものではありません。

より正確な診断を行うためには、特定の膵臓特異的なマーカーを測定する検査が有効です。それらは膵臓炎症のマーカーであるcPLI(canine Pancreatic Lipase Immunoreactivity)などがあります。

また、腹部のレントゲンや超音波検査では、膵臓の形状やサイズ、周囲の組織との関係などを視覚的に確認します。これにより、膵臓に異常があるかどうか、また膵炎の程度を評価します。

しかし、これらの検査結果すべてが膵炎を確定的に診断するものではなく、総合的な評価に基づいて膵炎の診断が下されます。したがって、愛犬が膵炎の症状を示した場合、必ず獣医師に相談し、適切な診断と治療を受けることが重要です。

以上が、犬の膵炎の診断方法についての説明です。次に、犬の膵炎の治療法について詳しく見ていきましょう。


「犬の膵炎」の治療方法とその進行

犬の膵炎の治療は、症状の重さや膵炎の形態(急性、慢性)によりますが、基本的には対症療法が主となります。その目的は、犬が感じる痛みを和らげ、患部の炎症を抑え、さらなる合併症の発生を防ぐことです。

まず、膵炎の痛みを軽減するため、鎮痛剤が使用されます。また、食事制限が必要となることが多いです。膵臓は食物の消化を助ける酵素を分泌する器官なので、食事を抑制することで膵臓への負担を軽減し、体内での酵素の活性化を防ぐことができます。

その後、経口摂取が可能となったら低脂肪の消化しやすい食事へと移行します。高脂肪食は膵臓に負担をかけ、膵炎の再発リスクを高める可能性があるためです。

重症の場合には、入院治療が必要となることもあります。脱水症状を防ぐための輸液治療や、栄養状態の改善、感染症への対策などが行われます。また、膵炎が進行し膵臓の機能が低下した場合には、インスリン注射などの補助治療も必要となることがあります。

治療の過程で重要なことは、愛犬の状態を適切にモニタリングし、治療プランを適宜見直すことです。膵炎は再発しやすい病気なので、一度治療が終了したからといって安心せず、定期的な健康チェックや獣医師とのコミュニケーションが必要です。

以上が、犬の膵炎の治療法についての説明です。次に、犬の膵炎の予防法について詳しく見ていきましょう。


「犬の膵炎」の予防法とその具体的な手順

犬の膵炎は予防が大切な疾患です。膵炎が再発すると、膵臓の傷つきやすさが増し、最悪の場合、生命に影響を及ぼす可能性があります。以下に、犬の膵炎を予防する具体的な手順を紹介します。

1つ目の予防策は、健康的な食事です。高脂肪食や過剰な食事は、膵臓に負担をかけ、膵炎を引き起こす原因となります。そのため、低脂肪で栄養バランスの取れた食事を与えることが大切です。

2つ目は、定期的な健康チェックです。獣医師に定期的に愛犬の健康状態をチェックしてもらうことで、早期に問題を発見し、早期に治療を始めることが可能になります。特に、膵炎は初期症状が目立たないことが多いため、定期的な健康チェックは欠かせません。

3つ目は、体重管理です。肥満は膵炎のリスクを高めます。適切なエクササイズと適量の食事で体重を管理することが重要です。

以上の予防策を日常的に心がけることで、犬の膵炎のリスクを減らすことが可能です。最後に、全体のまとめとして、犬の膵炎についての重要なポイントを再確認していきましょう。

 

まとめ:犬の膵炎についての重要なポイント

本記事を通して、犬の膵炎について深く学びました。その原因、症状、診断方法、治療法、そして予防策について、具体的に理解を深めることができたことと思います。

犬の膵炎は、症状が出るまでに時間がかかることが多く、症状が出た時には既に重症化していることがあります。そのため、早期発見と早期治療が非常に重要であることを覚えておいてください。

また、膵炎は再発しやすい病気であるため、一度治療が終了したとしても定期的な健康チェックと、低脂肪で栄養バランスの取れた食事、適切な運動による体重管理は欠かせません。愛犬の健康状態を常にチェックし、異常が見つかった場合はすぐに獣医師に相談することが大切です。

最後に、犬の膵炎は飼い主の方の注意深さや情報の正確さが大切であることを強調したいと思います。飼い主の皆さまがこの記事を参考に、愛犬の健康管理に役立てていただければ幸いです。

これからも愛犬との健やかな生活を送るために、日々の生活習慣や食事、定期的な健康チェックに注意を払い、愛犬の健康を第一に考えることを心がけてください。それが、犬の膵炎を防ぐ最も確実な方法です。

記事監修
動物病院病院 総長 藤野 洋

アニホック往診専門動物病院獣医師 藤野 洋

日本大学生物資源科学部(旧農獣医学部)獣医学科卒業。
卒業後、約20年にわたり動物病院でペットの治療に従事。
2007年(株)フジフィールド創業。動物病院とトリミングサロンのドミナント多店舗展開を行い、複数店舗の開業/運営を果たす。

日本大学生物資源科学部(旧農獣医学部)獣医学科卒業。
卒業後、約20年にわたり動物病院でペットの治療に従事。
2007年(株)フジフィールド創業。動物病院とトリミングサロンのドミナント多店舗展開を行い、複数店舗の開業/運営を果たす。

【エデュワードプレス(旧インターズー)】・トリミングサービス成功事例セミナー講師・トリミングサービス成功ガイド監修・Live trim2018 マネージメントセミナー講師 【メディア】・ラジオ調布FM ペットオーナー向け番組MC・多摩テレビ 「わんにゃんMAP」番組パーソナリティ・j:comジモトピ「世田谷・調布・狛江」出演