「犬の椎間板ヘルニア徹底解説:原因から予防まで、飼い主が知るべき全て」

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愛犬が健康で楽しく暮らせるように、飼い主として知っておきたいのがさまざまな病気についての情報です。特に、犬に多く見られる疾患である「椎間板ヘルニア」については、早期発見・早期治療がとても重要です。この記事では、犬の椎間板ヘルニアについて詳しく解説します。原因から症状、検査方法、治療法、そして予防まで、飼い主の皆様が知っておくべき全てをお伝えします。

本記事を読んで、愛犬の健康管理に活かしていただければ幸いです。また、犬の椎間板ヘルニアについて深く理解することで、飼い主の皆様が獣医師とより良いコミュニケーションをとる手助けになればと思います。

この記事を通じて、愛犬の健康維持に役立つ情報を提供できることを目指しています。私たちが掲げるのは、「病気の早期発見・早期治療」です。そのための第一歩として、飼い主の皆様が病気の知識を深めることが大切だと考えています。それでは、犬の椎間板ヘルニアについて一緒に学びましょう。

「犬の椎間板ヘルニアの原因:なぜ起こるのか」

椎間板ヘルニアは、犬の脊柱(背骨)に発生する病気です。椎骨(背骨の一部)の間に存在する椎間板というクッションの役割を果たす組織が、何らかの原因で変性し、破壊されます。その結果、椎間板から出た組織が脊髄を圧迫し、神経症状を引き起こすのが椎間板ヘルニアです。

では、犬の椎間板ヘルニアの主な原因は何でしょうか。大きく分けて二つあります。一つ目は遺伝的要素です。特に、短足犬種(ダックスフント、シーズー、フレンチ・ブルドッグなど)では、遺伝的に椎間板の変性が起こりやすい体質を持っています。そのため、これらの犬種では椎間板ヘルニアの発症率が高いと言われています。

二つ目の原因は環境的要素です。高い場所からの転落や、急な運動、肥満などが原因で椎間板に過度の負荷がかかり、それがヘルニアの発症につながることがあります。特に肥満は、椎間板への負荷を日常的に増大させるため、椎間板ヘルニアの重要なリスクファクターとなります。

このように、犬の椎間板ヘルニアの原因は遺伝的要素と環境的要素が絡み合うことで発症します。特に短足犬種の飼い主の方は、ヘルニア発症のリスクが高いことを理解し、日頃から愛犬の健康管理に気をつけていただくことが大切です。また、肥満防止や無理な運動の制限も、ヘルニアの予防に繋がるため重要です。


「犬の椎間板ヘルニアの症状:何を見つけたら注意が必要か」

犬の椎間板ヘルニアの症状は多岐にわたりますが、一番初めに現れるのは通常、疼痛です。飼い主の方がその痛みを見つけるのは難しいかもしれません。しかし、愛犬の行動をよく観察することで、普段とは違う様子を察知することが可能です。具体的には、ふつうは元気に動き回るのに突然落ち着かなくなったり、逆にいつも以上に元気がないといった変化が見られます。

また、以下のような症状が現れることもあります:体を反らせる、首を上げられない、歩き方がおかしい、後ろ足が弱っている、排尿や排便がうまくできないなどです。中でも、後ろ足が弱っている、または麻痺している状態は重度のヘルニアを示す警告信号であり、急いで獣医師に連絡する必要があります。

犬は飼い主の目から見て痛みを隠す傾向があります。しかし、椎間板ヘルニアの場合、痛みは時とともに増すため、症状が進行するにつれて愛犬の行動の変化は顕著になります。そのため、愛犬の日常の行動や様子をよく観察し、何か異常が見られたら早めに獣医師に相談することが大切です。

症状が重度化すると、脊髄へのダメージが大きくなるため、早期発見・早期治療が非常に重要となります。飼い主の皆様におかれましては、普段から愛犬の様子をよく観察し、何か異変を感じたらすぐに獣医師に連絡することをお勧めします。


「犬の椎間板ヘルニアの検査:どのように診断するのか」

犬の椎間板ヘルニアを診断するためには、まず獣医師が病歴を聞き、体格検査を行います。その際、症状の程度や発症部位、犬種などから椎間板ヘルニアの可能性を疑います。

しかし、確定診断にはより詳細な検査が必要です。現在、椎間板ヘルニアの診断には主に2つの方法が用いられます。一つ目はレントゲン撮影、二つ目はMRI(磁気共鳴画像法)です。

レントゲン撮影は、椎間板ヘルニアの可能性を見つける初期段階の検査としてよく用いられます。しかし、レントゲンだけでは椎間板の変性や脊髄の圧迫を直接観察することは難しいです。

そのため、より詳しい画像が必要な場合や、手術を検討する際にはMRIが使用されます。MRIでは、脊髄や椎間板の詳細な画像を得られるため、どの部位の椎間板がどれだけ脊髄を圧迫しているのかを正確に把握することができます。

これらの検査結果と症状を総合的に評価し、椎間板ヘルニアの診断と治療法の選択を行います。ただし、これらの検査には専門的な技術と設備が必要であるため、全ての獣医療機関で行えるわけではありません。そのため、症状が見つかった場合は早急に専門的な治療が可能な病院へ連絡をすることが大切です。


「犬の椎間板ヘルニアの治療:どのように進めるのか」

犬の椎間板ヘルニアの治療法は、症状の重さや進行具合によって大きく分けて2つに分かれます。一つは非外科的治療、もう一つは外科的治療です。

非外科的治療とは、安静に保ち、必要に応じて薬物療法を行う方法です。これは症状が軽度で、犬が自力で歩くことができ、痛みも管理可能な範囲の場合に選択されます。また、獣医師から指導された特別な運動療法を併用することもあります。この治療法の目的は、脊髄への圧迫を減少させ、神経症状を改善することです。

一方、症状が重度で神経障害が進行している場合、または非外科的治療で症状が改善しない場合には、外科的治療が選択されます。外科的治療は一般的には、ヘルニアによる脊髄圧迫を解消するために、椎間板組織を取り除く手術を行います。

どちらの治療法も、その犬の状況により選択されます。そして、その選択は獣医師と飼い主の綿密な相談によって決定されます。治療を選択する際には、愛犬の全般的な健康状態、年齢、症状の重さなど、多くの要素を考慮する必要があります。椎間板ヘルニアの診断を受けた場合、適切な治療法を選ぶために、信頼できる獣医師としっかりと話し合うことが大切です。


「犬の椎間板ヘルニアの予防:どうすれば発症を避けられるのか」

椎間板ヘルニアは一度発症すると犬の生活に大きな影響を及ぼすため、予防が非常に重要です。以下に、飼い主の皆様ができる予防策をいくつかご紹介します。

まず、最も重要なのは、愛犬の体重管理です。適切な体重を維持することで、脊椎への負担を減らし、椎間板の変性やヘルニアのリスクを軽減できます。また、バランスの良い食事と適度な運動は愛犬の全般的な健康を維持し、体重管理にも役立ちます。

次に、適切な運動も重要な予防策となります。犬は本能的に走り回ることを好みますが、急な動きやジャンプは脊椎に大きな負担をかけ、椎間板ヘルニアのリスクを高めます。特に、ヘルニアのリスクが高い犬種では、これらの活動を制限することが推奨されます。

また、定期的な健康診断も予防に役立ちます。獣医師が早期に問題を発見することで、適切な治療を始めることができ、病状の進行を遅らせることが可能です。

しかし、すべての椎間板ヘルニアが予防できるわけではありません。特に遺伝的な要素が関与する犬種では、飼い主の努力にもかかわらずヘルニアが発症することがあります。だからこそ、愛犬の日常生活をよく観察し、異常を早期に察知することが重要となります。そして、何か異常を感じたら遠慮せずにすぐに獣医師に連絡することが大切です。

「まとめ:犬の椎間板ヘルニアを理解し、適切に対応する」

本記事では、犬の椎間板ヘルニアについて詳しく説明しました。ヘルニアは犬の生活を大きく制限する病気であり、そのための理解と適切な対応が必要です。

まず、ヘルニアの原因を理解することで、なぜ愛犬がこのような病気になるのか、その理由が明確になります。症状を正確に把握することは、早期発見と早期治療につながります。そして、診断のプロセスを理解することで、何が愛犬の健康を取り戻すために必要かを知ることができます。

治療方法について学ぶことは、病気に対する不安を軽減し、愛犬と一緒に闘う力を与えてくれます。また、予防策を知ることで、椎間板ヘルニアのリスクを最小限に抑えることが可能になります。

しかし、最も重要なのは、愛犬の様子を観察し、何か異常を感じたらすぐに専門的な意見を求めることです。犬は私たちが思っている以上に強く、しっかりとした治療とケアを受ければ、この病気を乗り越えることができます。

本記事が、椎間板ヘルニアに直面した皆様にとって参考になれば幸いです。愛犬の健康を守るために、一緒に学び、一緒に戦いましょう。これが私たちの目指す、真の愛犬家の姿ではないでしょうか。これからも愛犬との素晴らしい日々を心から願っています。

記事監修
動物病院病院 総長 藤野 洋

アニホック往診専門動物病院獣医師 藤野 洋

日本大学生物資源科学部(旧農獣医学部)獣医学科卒業。
卒業後、約20年にわたり動物病院でペットの治療に従事。
2007年(株)フジフィールド創業。動物病院とトリミングサロンのドミナント多店舗展開を行い、複数店舗の開業/運営を果たす。

日本大学生物資源科学部(旧農獣医学部)獣医学科卒業。
卒業後、約20年にわたり動物病院でペットの治療に従事。
2007年(株)フジフィールド創業。動物病院とトリミングサロンのドミナント多店舗展開を行い、複数店舗の開業/運営を果たす。

【エデュワードプレス(旧インターズー)】・トリミングサービス成功事例セミナー講師・トリミングサービス成功ガイド監修・Live trim2018 マネージメントセミナー講師 【メディア】・ラジオ調布FM ペットオーナー向け番組MC・多摩テレビ 「わんにゃんMAP」番組パーソナリティ・j:comジモトピ「世田谷・調布・狛江」出演