【2024年最新】心臓超音波検査でわかることとその重要性: ペットの健康を守るために

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心臓超音波検査でわかることとその重要性: ペットの健康を守るために


1. はじめに

ペットは私たちの大切な家族の一員です。その健康を守るためには、日々のケアだけでなく、必要に応じた検査や治療が不可欠です。特に心臓の健康状態は、犬や猫の寿命や生活の質に大きく影響を与える重要なポイントです。

心臓疾患は、人間と同様にペットにも発生する重大な健康問題のひとつです。特に高齢のペットや特定の犬種・猫種では心臓疾患のリスクが高くなります。そのため、早期発見と適切な治療が求められます。この早期発見を可能にする手段のひとつが「心臓超音波検査」です。

本記事では、心臓超音波検査とはどのようなものか、具体的にどのようなことがわかるのか、また検査を受けるべきタイミングやその重要性について詳しく解説します。心臓超音波検査を正しく理解することで、ペットの健康管理に役立てていただければ幸いです。

2. 心臓超音波検査とは何か

・心臓超音波検査の概要

心臓超音波検査は、超音波を用いて心臓の構造や機能を可視化する非侵襲的な検査方法です。この検査では、超音波プローブを胸部に当てて心臓の内部構造をリアルタイムで観察します。超音波が体内を通過し、その反射波を画像として表示することで、心臓の動きや血流の状態が明確にわかります。

心臓超音波検査は、心臓病が疑われるペットに対して、非常に有効な診断手段です。例えば、心臓の形態的な異常や血液の流れに問題がある場合、これを視覚的に捉えることができます。また、この検査はレントゲンやCTとは異なり、放射線を使用しないため、ペットに負担が少ない安全な手法として広く利用されています。

・ペットに心臓超音波検査を行う理由

心臓超音波検査を行う主な理由は、心臓の内部状態を詳細に調べることです。一般的な健康診断では発見が難しい心臓の異常を、早期に見つけるためのツールとして活用されます。

たとえば、心臓の弁が正常に機能しているか、心筋が健康に収縮しているか、また血液が逆流しているかどうかといった情報は、他の診断法では得られない場合があります。また、この検査により、症状が出る前の初期段階で心疾患を特定できることもあります。これにより、治療の選択肢を増やし、予後を改善する可能性が高まります。

・検査の流れ

心臓超音波検査の流れは非常にシンプルです。まず、ペットが安心できる環境で横たわり、超音波プローブを胸部に当てます。この際、胸部の被毛が邪魔にならないよう一部を剃ることが一般的です。超音波ゲルを塗布してプローブを動かすことで、心臓の画像がリアルタイムでモニターに表示されます。

検査時間は通常30分から1時間程度で、ペットが動かないよう軽い鎮静剤を使用する場合もあります。ただし、ほとんどのペットはこの検査をリラックスして受けられるため、鎮静剤が不要な場合も多いです。検査後はすぐに通常の状態に戻ることができます。

3. 心臓超音波検査でわかること

・心臓の構造異常

心臓超音波検査では、心臓の形態的な異常を詳細に確認することができます。例えば、心室や心房の形やサイズの異常、心臓壁の厚さなどが明らかになります。これにより、以下のような疾患を特定することが可能です。

  • 心室中隔欠損症: 心室の間に穴が開いている先天性疾患。
  • 僧帽弁閉鎖不全症: 心臓の弁が適切に閉じず、血液が逆流する状態。
  • 心臓腫瘍: 稀に見られる腫瘍の有無を検出。

これらの異常は、レントゲンなどでは検出が難しいため、心臓超音波検査の大きな利点といえます。

・血流の状態

心臓超音波検査では、心臓内を流れる血液の動きも視覚化できます。特に「カラードプラーモード」という技術を使用すると、血液がどの方向に、どの速度で流れているかが色で表されます。これにより、以下のような問題を発見できます。

  • 逆流の確認: 僧帽弁や三尖弁などの弁が適切に閉じない場合、血液が逆流する様子が確認できます。
  • 血流の停滞: 心臓内部や肺に血液が溜まっている兆候を見つけることが可能。
  • 心房細動や不整脈に伴う血栓形成: 血液の流れが悪い部分で血栓が形成されるリスクの把握。

このように、血流の状態を把握することで、心臓のポンプ機能の健全性や、心不全の進行度を評価することができます。

・心臓の機能的評価

心臓の動きやポンプ機能を評価することも心臓超音波検査の重要な役割です。心臓の収縮力や拍出量、拡張時の動きなどを測定することで、心臓が効率的に血液を送り出せているかどうかを確認します。特に以下のような情報が得られます。

  • 心拍出量の測定: 心臓が送り出す血液量を計算し、全身の血液循環に必要な機能を果たしているかを評価。
  • 収縮期機能不全: 心臓が収縮して血液を送り出す力が低下している状態の早期発見。
  • 拡張期機能不全: 心臓が十分に拡張できず、血液を取り込めない状態を確認。

これらのデータにより、治療の必要性や治療方法を選択する上での貴重な情報が得られます。

・肺高血圧症の兆候

心臓超音波検査では、肺高血圧症の初期兆候も検出可能です。肺動脈の圧力を測定することで、肺への血液循環に異常があるかどうかを判断します。肺高血圧症は、進行すると呼吸困難や体液貯留といった深刻な症状を引き起こすため、早期診断が非常に重要です。

・早期発見が可能な病気

心臓超音波検査を受けることで、以下のような病気を初期段階で発見できます。

  • 僧帽弁閉鎖不全症: 特に小型犬で多く見られる疾患。
  • 拡張型心筋症: 心臓が拡張しすぎて機能不全を起こす病気。大型犬や特定の猫種でリスクが高い。
  • 肥大型心筋症: 猫に多く見られる、心筋が異常に厚くなる病気。
  • 肺高血圧症: 心臓と肺の循環系に関連する疾患。

これらの疾患は、症状が現れる前に検査で確認することで、より適切で効果的な治療を始められます。

4. ペットの心臓疾患と治療の選択肢

・よく見られる心臓疾患

ペットにおける心臓疾患は、犬と猫の間で異なる傾向が見られます。特に犬の場合、小型犬と大型犬では異なる病気が発症しやすい特徴があります。

  • 小型犬によく見られる疾患
    小型犬では、僧帽弁閉鎖不全症が最も一般的です。この疾患は、弁が正しく閉じないために血液が逆流し、心臓の負担が増加します。特にキャバリア・キング・チャールズ・スパニエルやトイプードルなどがリスクが高いとされています。
  • 大型犬によく見られる疾患
    大型犬では、拡張型心筋症が主な問題です。この病気は心臓が異常に拡張し、収縮力が低下するため、血液を全身に送る能力が著しく低下します。ドーベルマンやグレートデーンなどで高い発症率が報告されています。
  • 猫特有の疾患
    猫では、肥大型心筋症が代表的な心臓疾患です。この疾患では心筋が厚くなることで心臓内部の容積が減少し、血液循環に支障をきたします。特にメインクーンやラグドールといった特定の猫種が影響を受けやすいとされています。

・治療方法の具体例

心臓疾患の治療法は、病気の種類や進行度によって異なります。以下は主な治療方法の具体例です。

  • 薬物療法
    心臓疾患の治療で最も一般的なのは薬物療法です。以下のような薬が使用されます。
    • 利尿薬: 体内の余分な水分を排出し、心臓への負担を軽減します。
    • ACE阻害薬: 血管を広げて血圧を下げ、心臓の負荷を軽減します。
    • β遮断薬: 心拍数を抑えることで、心臓の酸素消費を減少させます。
  • 外科手術
    僧帽弁閉鎖不全症の重度ケースでは、外科的に弁の修復や人工弁の置換が必要になる場合があります。外科手術は高度な技術を必要とし、費用も高額ですが、根本的な解決が期待できます。
     
  • 生活環境の調整
    ペットの生活環境を改善することも重要です。
    • 適切な運動量の確保(運動のしすぎは避ける)。
    • 塩分を制限した食事の提供。
    • ストレスを最小限に抑えた環境の整備。

・早期発見と予後の改善

心臓疾患の予後は、早期に発見し適切な治療を行うことで大きく改善する可能性があります。例えば、僧帽弁閉鎖不全症の場合、初期段階での薬物療法により症状の進行を抑えられるケースが多いです。また、拡張型心筋症や肥大型心筋症においても、定期的な心臓超音波検査によるモニタリングと治療で寿命を延ばすことが可能です。

心臓超音波検査は、これらの疾患を診断し、治療プランを立てるための重要なツールです。治療が早期に始まるほど、ペットの生活の質を保つことができ、飼い主にとっても安心をもたらします。

5. 検査を受けるべきタイミングと費用

・検査が必要な症状

心臓超音波検査は、以下のような症状が見られる場合に検討されるべきです。

  • 咳や呼吸困難: 特に夜間や運動後に咳が多くなる場合、心臓に負担がかかっている可能性があります。
  • 疲れやすさ: 運動を嫌がる、散歩中にすぐに疲れるといった行動は、心臓の機能低下が原因の場合があります。
  • 食欲の低下や体重減少: 全身の血液循環が悪化すると、エネルギー不足や食欲不振が見られることがあります。
  • お腹が膨れる: 腹水が溜まることでお腹が大きくなる症状は、心不全の可能性を示唆します。

これらの症状が見られたら、早急に動物病院で相談し、必要に応じて心臓超音波検査を受けるべきです。

・定期検診の推奨

心臓疾患の早期発見を目的として、症状がなくてもリスクが高いペットには定期的な心臓超音波検査が推奨されます。

  • 高齢のペット: 心臓疾患の発症率は年齢とともに高まるため、7歳以上の犬や猫には定期検査が必要です。
  • リスクの高い犬種や猫種: 特定の犬種(キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル、ドーベルマンなど)や猫種(メインクーン、ラグドールなど)は、遺伝的に心臓疾患のリスクが高いため、早期の診断が予後を大きく改善します。
  • 過去に心臓の異常が確認された場合: 既往歴があるペットでは、定期的に超音波検査を行い進行をモニタリングすることが重要です。

健康そうに見えるペットでも、リスクを見逃さないために定期的なチェックを怠らないようにしましょう。

・心臓超音波検査の費用

心臓超音波検査の費用は、動物病院や地域によって異なりますが、一般的には以下の範囲内で行われます。

  • 費用の相場: 一般的な心臓超音波検査は、1回あたり1万円〜3万円程度が目安です。高度な専門施設ではこれより高額になる場合があります。
  • 追加検査の必要性: 場合によっては、血液検査やレントゲン撮影が同時に必要になるため、トータルで5万円を超えるケースもあります。
  • ペット保険の活用: 心臓超音波検査は多くのペット保険でカバーされる場合があります。保険加入時に心臓病検査の補償が含まれているか確認しておくことをお勧めします。

心臓超音波検査の費用は一見高額に感じられるかもしれませんが、早期発見による治療コスト削減や、ペットの健康維持という観点から考えると、非常に価値のある投資です。

6. 心臓超音波検査を受ける際の注意点

・検査前の準備

心臓超音波検査を受ける前に、飼い主が注意すべきポイントがあります。これにより、検査がスムーズに進み、正確な結果が得られます。

  1. 食事の制限: 検査の内容によっては、ペットに絶食が求められることがあります。特に鎮静剤を使用する可能性がある場合、食べ物が胃に残っていると吐き戻しのリスクが高まるため、検査の数時間前から食事を控えるよう指示されることがあります。
  2. 落ち着いた状態の維持: ペットが緊張や興奮をすると、心拍数や血圧に影響を与える可能性があります。検査前は、静かな環境で過ごさせることが望ましいです。
  3. 毛のカット: 胸部に毛が多いペットでは、超音波プローブを密着させるために部分的な剃毛が必要になることがあります。これは事前に病院から説明を受ける場合が多いです。

・検査中のリスクはあるのか?

心臓超音波検査は非侵襲的で安全性が非常に高い検査方法です。一般的に、ペットに負担が少なく、痛みを伴うこともありません。しかし、以下の点を理解しておくと安心です。

  • 鎮静剤の使用: 一部のペットでは、鎮静剤を用いてリラックスした状態で検査を行う場合があります。鎮静剤の使用に伴うリスクは極めて低いですが、事前にペットの健康状態を確認しておくことが重要です。
  • ストレスの軽減: 検査室に慣れないペットがストレスを感じることもあります。飼い主がそばにいることが可能であれば、ペットの安心感を高めるために同伴することが推奨されます。

これらの配慮を行うことで、検査を安心して受けられる環境を整えられます。

・検査後のフォローアップ

心臓超音波検査の結果を受けて、必要に応じた治療やケアプランを立てることが重要です。以下の点を確認しておきましょう。

  1. 検査結果の説明: 獣医師から、心臓の状態や今後のリスクについて詳細な説明を受けます。疑問点があれば遠慮なく質問しましょう。
  2. 治療プランの決定: 必要な場合は、薬物療法や食事療法などの具体的な治療プランが提示されます。治療の目的や期待される効果について理解しておくことが重要です。
  3. 定期検査のスケジュール: 心臓疾患は進行性の場合が多いため、定期的な検査が推奨されます。再検査のタイミングや次回の予定についても確認しておくと良いでしょう。

検査後のケアや治療をしっかりと行うことで、ペットの健康を長く守ることができます。

7. 心臓超音波検査で健康を守るために

心臓超音波検査は、ペットの健康を守るために非常に重要な役割を果たします。この検査を定期的に受けることで、飼い主とペットに以下のようなメリットをもたらします。

・検査を通じて得られる安心感

ペットは言葉で体調の異変を伝えることができません。そのため、飼い主が気付かないうちに病気が進行している場合があります。心臓超音波検査は、症状が現れる前に異常を発見するための効果的なツールです。

検査結果が「異常なし」と確認されれば、飼い主としては安心して日々の生活を送ることができます。一方で、万が一異常が見つかった場合でも、早期に対応することで治療の選択肢が広がり、ペットの寿命や生活の質を維持する可能性が高まります。

・ペットのQOL(生活の質)向上への寄与

心臓疾患は、進行するとペットの生活に大きな影響を与えます。運動を嫌がるようになったり、呼吸が苦しそうになったりすることで、活動量が減り、生活の質が低下することがあります。

心臓超音波検査を受け、適切な治療を施すことで、これらの症状を軽減または予防することが可能です。特に、初期段階で治療を始めることで、ペットが元気に走り回り、飼い主と楽しい時間を過ごせる期間を延ばすことができます。

・飼い主としての適切な判断の重要性

飼い主がペットの健康を守るためには、適切なタイミングで検査を受けさせる判断力が求められます。心臓超音波検査は、病気の有無を調べるだけでなく、病気の進行具合をモニタリングするためにも有効です。

ペットが高齢化するにつれて、心臓疾患のリスクは高まります。そのため、定期的な検査を計画し、ペットの健康状態を把握することが飼い主の責任の一環といえます。心臓超音波検査は、その責任を果たすための重要なツールです。

8. まとめ

心臓超音波検査は、ペットの健康を守るために欠かせない検査です。この検査を受けることで、心臓の構造や機能の詳細な情報を得ることができ、早期の異常発見や適切な治療計画の立案に役立ちます。ペットが言葉で症状を伝えることができない分、心臓超音波検査は飼い主にとって非常に重要な判断材料となります。

特に、高齢のペットや心臓疾患のリスクが高い犬種・猫種では、定期的な心臓超音波検査が推奨されます。異常が見つかった場合でも、早期に対応することで治療の選択肢が広がり、ペットの生活の質を向上させることができます。

また、心臓超音波検査は非侵襲的で安全な検査であり、ペットにとっても負担が少ないという点で安心して受けられるものです。検査結果をもとに適切な治療を行い、ペットの健康を守ることが飼い主としての責務といえるでしょう。

ペットの健康管理は、日常的なケアだけでなく、必要に応じた検査を適切に受けさせることで達成されます。心臓超音波検査を通じて、愛するペットとの時間をより充実させ、安心して共に暮らしていけるよう心掛けましょう。

記事監修
動物病院病院 総長 藤野 洋

アニホック往診専門動物病院獣医師 藤野 洋

日本大学生物資源科学部(旧農獣医学部)獣医学科卒業。
卒業後、約20年にわたり動物病院でペットの治療に従事。
2007年(株)フジフィールド創業。動物病院とトリミングサロンのドミナント多店舗展開を行い、複数店舗の開業/運営を果たす。

日本大学生物資源科学部(旧農獣医学部)獣医学科卒業。
卒業後、約20年にわたり動物病院でペットの治療に従事。
2007年(株)フジフィールド創業。動物病院とトリミングサロンのドミナント多店舗展開を行い、複数店舗の開業/運営を果たす。

【エデュワードプレス(旧インターズー)】・トリミングサービス成功事例セミナー講師・トリミングサービス成功ガイド監修・Live trim2018 マネージメントセミナー講師 【メディア】・ラジオ調布FM ペットオーナー向け番組MC・多摩テレビ 「わんにゃんMAP」番組パーソナリティ・j:comジモトピ「世田谷・調布・狛江」出演