メインクーンは遺伝性の病気にかかりやすい?突然死の危険性も?

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メインクーンがかかりやすい病気とは?

猫の一般的な平均寿命が約15年であることに対し、メインクーンの平均寿命は約12~14歳となっていることから、メインクーンは他の猫種に比べて短命であることが分かります。

そこには、メインクーンのかかりやすい病気や遺伝的疾患が関連しているとも言われています。では、その病気にはどのようなものがあるのでしょうか?

メインクーンの遺伝的疾患には「脊髄性筋委縮症」「肥大性心筋症」「多発性嚢胞腎」が挙げられます。

また遺伝的疾患ではありませんが、メインクーンがかかりやすい病気としてあげられる病気に「毛球症」「熱中症」があります。

平均寿命が短いからこそ、メインクーンがかかりやすい病気を知り気を付けてあげることが重要です。予防が出来るものは予防をして、日々の健康管理に気を配ってあげることが長生きの道のりだと言えるでしょう。

メインクーンがかかりやすい病気の症状や治療法とは?

では上記で挙げた病気の症状や治療法をご説明していきたいと思います。

脊髄性筋委縮症(せきずいせいきんいしゅくしょう)

脊髄性筋委縮症はメインクーンには称する遺伝性疾患で、両親がこの疾患に罹患していると100%発症します。

しかし両親のどちらかが脊髄性筋委縮症のねこでもう片方が健康な猫であった場合は、この病気のキャリアにはなりますが発症はしません。

脊髄性筋委縮症は猫の胴体や足を動かす脊髄の神経が消失する病気で、筋力の低下や筋肉の委縮が伴います。この病気は発症する前でも、遺伝子検査で異常を見つけることが出来ます。

脊髄性筋委縮症の症状

脊髄性筋委縮症の症状としては、まず生後3~4ヶ月で後ろ足の力が弱くなり、かすかな震えが現れます。

その後筋肉が弱くなり、ジャンプが出来なくなってしまったり歩行時に後ろ足が揺れるなどの症状が現れ、膝で立ち上がるような仕草が見られることもあるでしょう。

また筋力の低下によって長時間歩行することが出来ず、すぐに座り込んでしまったり寝てしまったりという症状が出ます。

脊髄性筋委縮症の治療

残念ながら、脊髄性筋委縮症の有効な治療法は現在ではありません。症状を安定させるための対症療法が中心となり、投薬やサプリメントなどを使用します。

完治は難しい病気になるため、悪化しないように上手にコントロールしていくことが大事です。

肥大性心筋症(ひだいせいしんきんしょう)

肥大性心筋症は6歳を越えたシニア期以降のメインクーンに発症することが多く、心臓の筋肉が肥大してしまい全身への血流が悪くなってしまう病気です。発症してしまうと心不全や突然死などの可能性が高くなります。

メインクーン全体の約3割が肥大性心筋症を引き起こす遺伝子を持っていると言われています。

肥大性心筋症の症状

肥大型心筋症を発症すると、初期では元気がなくなったり食欲がなくなったりという症状が出ます。運動を嫌がることも多く、安静にしているときに口を開けて呼吸をすることもあるでしょう。

症状が進行していくと肺や胸の中に水が溜まってしまい、肺が十分に膨らむことが出来ずに呼吸困難を引き起こします。

また肥大型心筋症を発症すると血栓症にもなりやすく、血栓症になってしまった際は後ろ足の麻痺などの症状が現れます。

血栓症は早期に治療をしないと血栓が心臓の血管に詰まってしまい、ショック症状を引き起こすため非常に危険です。

肥大性心筋症の治療

肥大型心筋症を治す治療法はありませんので、一度発症したらそれ以上症状を悪化させないような投薬治療が基本になります。

また発症している症状に合わせての治療が行われます。肺や胸に水が溜まってしまっている場合には呼吸が楽になるように水を抜き、血栓が詰まってしまっている場合には血栓を溶かす薬を投与します。

投薬は生涯に渡って必要になることが多く、症状が改善しても投薬治療を続けていくことが何より大事な治療法になるでしょう。

多発性嚢胞腎(たはつせいのうほうじん)

多発性嚢胞腎は、腎臓に多くの嚢胞(液体が溜まった袋状のもの)が出来てしまい、腎臓の機能が徐々に弱っていく病気です。ペルシャ猫に多いとされていますが、メインクーンも遺伝的にかかりやすいと言われています。

この病気で出来た嚢胞は加齢とともに数を増やしながら大きくなっていき、徐々に腎臓も腫大し腎不全を引き起こします。

多発性嚢胞腎の症状

多発性嚢胞腎を発症すると、主に多飲多尿・食欲不振など慢性腎不全と同様の症状が出ます。症状が進行してくると嘔吐や脱水、貧血を引き起こし、尿毒症になってしまうこともあります。

多発性嚢胞腎によって腎不全となった猫は、大抵の場合3~10歳の間にこれらの症状が出ます。

多発性嚢胞腎の治療

残念ながら現在では多発性嚢胞腎を完治させる治療法はありません。多発性嚢胞腎によって起こっている腎不全の治療が主になるでしょう。

内科的な治療として血管内や皮下に点滴を行い水分補給をし脱水を改善します。また投薬治療ではリン吸着剤や血圧降下剤、制吐剤を使用し、腎機能の温存を目的とした治療を行います。

毛球症

メインクーンは基本的に長毛種であるため、毛球症になりやすい猫種と言えるでしょう。

毛球症は毛づくろい等で飲み込んだ被毛が上手く排出されずに、消化管内に詰まってしまうことで起こります。日々のブラッシング不足や、高齢などが原因になります。

毛球症の症状

毛球症になると嘔吐や下痢などの主に消化器症状が表れます。また吐こうとしても吐けなかったり、食欲が落ちたりすることもあり、重症になってしまうと腸閉塞などを引き起こすこともあります。

腸閉塞になってしまうと開腹手術が必要になることもあり、早期に発見し治療を行うことが大事です。

毛球症の治療

軽度の毛球症の場合は毛球除去剤を投薬し毛玉を溶かす治療が行われます。またその後の再発予防のために、定期的に毛球除去剤を投与することも重要です。

上記のとおり胃の出口や腸に毛玉が詰まってしまった場合には外科的に手術を行い除去します。その際は開腹手術になるため数日間の入院が必要になるでしょう。

熱中症

長毛種であり、北アメリカ原産のメインクーンは寒さには強い猫種ですが暑さに弱い傾向があります。そのため真夏などは熱中症に注意が必要です。

またトリミング後の長時間のドライヤーなどでも熱中症の危険がありますので注意しましょう。

熱中症の症状

熱中症になると元気がなくなりぐったりとしてしまいます。また体温が急激に上昇し、通常約38度の体温が40度以上になります。

熱中症が進行すると呼吸が荒くなり嘔吐等の症状がみられ、次第に意識が無くなり非常に危険な状態に陥ることもあります。

熱中症の治療

熱中症になってしまった場合は、まず体を冷やします。冷風を当てたり点滴で体内から冷やしていき、体温を下げる治療を行います。

また自宅等で冷やす場合は低体温症を引き起こしてしまう可能性があるため、冷やし過ぎに注意してください。

熱中症になってしまった場合はアイスノン等で体を冷やしながら、早急に動物病院に連れて行くようにしましょう。

メインクーンは突然死することも?予防法は?

メインクーンは突然死することがあると言われていますが、実はどの猫種であっても突然死の可能性はあります。

しかし突然死の原因の一つに心筋症が挙げられているため、心筋症にかかるリスクが高い分、メインクーンは突然死の可能性も他の猫種より高くなっていると言えるでしょう。

その他、突然死の原因としては脳の疾患や中毒等がありますが、いずれも完全な予防法はありません。

しかし猫の突然死の多くは心筋症が原因と言われています。

そのため常日頃から猫の様子に気を配り、少しでも変わったことがあれば動物病院で診察を受けるなど、心筋症を早期発見し治療を開始することが唯一の予防法と言えるでしょう。

メインクーンの魅力とは?知能レベルが高い!?

メインクーンを飼育するうえで一番の魅力は、なんといってもその大きさでしょう。

通常の猫種の平均体重が約3~5kgに対し、メインクーンはメスで約4~6kg、オスで約6~10kgと大きく成長することが特徴です。また1歳を超えても成長し続け、成猫になるのは3歳前後と言われています。

そしてメインクーンは別名「穏やかな巨人」と呼ばれ、穏やかでおおらかな性格をしています。その飼いやすさと大きさが一番の魅力でしょう。

さらにメインクーンは知能が他の猫種よりも優れていると言われており、トイレや爪とぎなどのトレーニングがしやすいとも言われています。そのため成猫からでも非常に飼いやすい猫種となっています。

環境に慣れるのも早く協調性も持っているため、小さな子供や他のペットなどとも簡単に仲良くなることが出来るでしょう。

メインクーンを飼うための基本情報!値段や寿命、年間の食費は?

メインクーンは子猫の時期は他の猫種と大きさに大差はありませんが、成長し大型の猫になることをしっかりと理解して飼育しなければなりません。

中には10kgを超えるメインクーンもいますので、飼育環境をしっかり整えてあげることが大事です。

また長毛種が主となりますので、日々のお手入れも大事になってきます。適切なお手入れをしてあげないと毛球症などの原因になってしまいますので注意が必要です。

病気の早期発見などにもなりますので、定期的な動物病院での検診を欠かさないようにしましょう。

メインクーンの販売価格は通常のペットショップでは約15~25万円で販売されています。一般的には子猫の時期は販売価格が高く、成長し生後半年を過ぎてくると価格が下がってくる傾向があります。

また、稀にブリーダーなどで成猫のメインクーンの里親を募集している場合もあります。

メインクーンは成猫からでも比較的飼育しやすい猫種になるので、もし里親を希望するようでしたらインターネットなどで問い合わせてみると良いでしょう。

メインクーンの寿命は約11~14歳とされています。一般的な猫種の平均寿命が約12~15歳と言われていますので、それと比べると多少短命であることが分かります。

しかし生まれ持ったから身体の丈夫さや飼育環境によって大幅に違ってきます。普段から健康管理をしっかりと行い、愛情を持って育ててあげることによって寿命は伸ばすことが出来るでしょう。

食費に関しては、与えるキャットフードによって価格も様々ですが、仮に1ヶ月3,000円のキャットフードを与える場合は年間36,000円になります。

腎疾患や尿路疾患などで処方食が必要になった場合はそれ以上の食費がかかることも多いでしょう。

メインクーンは大型になるため食費も通常の猫種より多くかかります。

体重3~5kgの猫に比べ体重10kgのメインクーンは約3倍の量のキャットフードを必要としますので、食費が多めにかかるという事を理解して飼育するようにしましょう。

記事監修
動物病院病院 総長 藤野 洋

アニホック往診専門動物病院獣医師 藤野 洋

日本大学生物資源科学部(旧農獣医学部)獣医学科卒業。
卒業後、約20年にわたり動物病院でペットの治療に従事。
2007年(株)フジフィールド創業。動物病院とトリミングサロンのドミナント多店舗展開を行い、複数店舗の開業/運営を果たす。

日本大学生物資源科学部(旧農獣医学部)獣医学科卒業。
卒業後、約20年にわたり動物病院でペットの治療に従事。
2007年(株)フジフィールド創業。動物病院とトリミングサロンのドミナント多店舗展開を行い、複数店舗の開業/運営を果たす。

【エデュワードプレス(旧インターズー)】・トリミングサービス成功事例セミナー講師・トリミングサービス成功ガイド監修・Live trim2018 マネージメントセミナー講師 【メディア】・ラジオ調布FM ペットオーナー向け番組MC・多摩テレビ 「わんにゃんMAP」番組パーソナリティ・j:comジモトピ「世田谷・調布・狛江」出演