2024年最新_猫のマダニ媒介感染症

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マダニは、猫だけでなく多くの動物に寄生し、さまざまな病気を引き起こす可能性がある節足動物です。特に草むらや森林などの自然豊かな環境に多く生息しており、猫が外で遊んだり探検したりする際に体に付着することがあります。
今回は、猫マダニ媒介感染症について解説します。

マダニとは

マダニは蜘蛛類に属する生物で、その種類は世界中で800種以上存在します。マダニは動物の血を吸うことで生活しており、吸血の際に病原体を宿主に感染させることがあります。
猫にとって一般的なマダニとしては、イエダニやヒメダニが挙げられます。これらのマダニが猫に媒介する病気には、ライム病やバベシア症、エールリヒア症などがあります。

マダニは草木の中に潜み、通りかかる動物に飛び移ります。猫の体に付着した後、皮膚にしっかりと吸着し、血液を吸い始めます。この吸血活動が数日にわたって行われる間に、マダニが持っていた病原体が猫の血液中に移行することで感染します。

マダニ媒介感染症の症状と診断
猫がマダニによる感染症にかかると、感染症の種類によって様々な症状が現れます。症状が現れるまでの時間も病原体によって変わるため、早期発見と適切な診断が非常に重要です。

・主な症状

マダニが媒介する病気によっては、発熱、無気力、食欲不振といった一般的な症状の他に、関節痛や筋肉痛、皮膚に発疹が出ることもあります。
また、ライム病のような特定の感染症では、急激な歩行障害や行動の変化が見られることがあります。
これらの症状は他の疾患と共通することもあるため、迅速な診断と適切な治療のためにも、マダニの付着を発見したり、マダニによる感染症の疑いがある場合には速やかに動物病院を受診しましょう。

・診断と検査

マダニ媒介感染症の診断には、詳細な病歴の聴取と全身の臨床検査が行われます。
感染症の特定のために、まず獣医師はマダニに噛まれた場所や、症状とその進行状況について細かく問診します。その後血液検査を行い、白血球数の異常や特定の感染症に関連する抗体の有無などが調べられます。また必要に応じて、PCR検査を用いて病原体のDNAを特定することもあります。

治療方法と予防方法

猫のマダニによる感染症の治療は、診断された病原体の種類によって異なりますが、適切な治療を迅速に行うことが重要です。
一般的に、治療では病原体に応じた抗生物質の投与を行います。例えば、ライム病にはドキシサイクリンという抗生物質が処方されます。治療期間は通常2週間から4週間が目安とされていますが、症状の重さや改善の度合いに応じて調整されることがあります。
その他、症状を緩和するために抗炎症剤が処方されることもあります。重症の場合には入院しての静脈点滴治療が必要になることもあります。

また、感染を未然に防ぐためには飼い主様による予防措置も重要です。
マダニ感染症を防ぐための最も効果的な方法の一つは、予防薬の定期的な使用です。市販されているマダニ予防薬には、スポットオンタイプや首輪型、経口薬など様々な形式があります。これらの予防薬は、マダニが猫に付着して吸血することを防ぐだけでなく、既に付着しているマダニを殺す効果もあります。
また、猫を外に出さない、庭の草木をこまめに手入れするなど、生活環境を整えることも予防につながります。
これらの予防策は、獣医師と相談しながら最適な方法を選択することが重要です。

マダニ媒介感染症の合併症とその管理

マダニ媒介感染症は適切に治療を行わないと、猫にさまざまな合併症を引き起こす可能性があります。これらの合併症は猫の健康に深刻な影響を及ぼすため、早期の診断と対応が非常に重要です。

・合併症の種類

マダニが媒介する疾患によって引き起こされる合併症には、多様な症状があります。
例えば、バベシア症は赤血球を破壊することによって重度の貧血を引き起こす可能性があります。また、エールリヒア症は免疫系に影響を与え、出血傾向や重度の炎症を引き起こすことがあります。
これらの合併症は、治療が遅れると猫の生命を脅かすこともあるため、症状の発現を早期に捉え、迅速な治療を開始することが必要です。

・合併症への対応と管理

マダニ媒介感染症による合併症の管理は、基本的には原因となる感染症に対する治療から行います。
合併症に応じて、輸血や免疫調整薬の使用などが検討されることがあります。また、獣医師は定期的に猫の健康状態をモニタリングし、治療計画の調整を行います。
飼い主様は、獣医師の指示に従い、定期的な検診を受けることが、猫の健康を守る上で不可欠です。

マダニ媒介感染症についてのQ&A

猫のマダニ媒介感染症に関しては、飼い主様から多くのご質問が寄せられます。ここでは、それらのご質問に対しての回答や、ご家庭での注意点などをご紹介します。

Q1: マダニはどのような地域に多いですか?

A: マダニは特に湿度が高く、草木が茂っている地域に多く見られます。森林や草地、低湿地など、野生動物の活動が活発なエリアは特に注意が必要です。

Q2: マダニの活動期はいつですか?

A: マダニは一年中活動することがありますが、特に春から秋にかけて活動が活発になります。気温が10度以上で湿度が高い日は、マダニが最も活動的になるため、この期間中は特に予防策を強化することが推奨されます。

Q3: 猫がマダニに噛まれたかもしれないと気づいたら、すぐに獣医師に相談すべきですか?

A: はい、特にマダニが体に付着しているのを見つけた場合や、マダニが媒介する可能性のある地域から帰ってきた後に異常な症状が見られる場合は、すぐに獣医師に連絡を取ることが重要です。初期段階で適切な処置を行うことで、重篤な病気の発症を防ぐことができます。

まとめ

マダニが媒介する感染症は、猫にとって重篤な状態を引き起こす可能性があるため注意が必要です。
これらの感染症から愛猫の健康を守るためには、予防が最も重要です。日頃から定期的な獣医師による診察と適切な予防方法を通じて、愛猫が安全で健康的な生活を送れるように努めてください。

記事監修
動物病院病院 総長 藤野 洋

アニホック往診専門動物病院獣医師 藤野 洋

日本大学生物資源科学部(旧農獣医学部)獣医学科卒業。
卒業後、約20年にわたり動物病院でペットの治療に従事。
2007年(株)フジフィールド創業。動物病院とトリミングサロンのドミナント多店舗展開を行い、複数店舗の開業/運営を果たす。

日本大学生物資源科学部(旧農獣医学部)獣医学科卒業。
卒業後、約20年にわたり動物病院でペットの治療に従事。
2007年(株)フジフィールド創業。動物病院とトリミングサロンのドミナント多店舗展開を行い、複数店舗の開業/運営を果たす。

【エデュワードプレス(旧インターズー)】・トリミングサービス成功事例セミナー講師・トリミングサービス成功ガイド監修・Live trim2018 マネージメントセミナー講師 【メディア】・ラジオ調布FM ペットオーナー向け番組MC・多摩テレビ 「わんにゃんMAP」番組パーソナリティ・j:comジモトピ「世田谷・調布・狛江」出演