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ノミは小さな外部寄生虫で、猫をはじめとした多くの哺乳類や鳥類に寄生し様々な健康被害を引き起こします。
今回は、ノミの生態や、ノミによって引き起こされる猫の感染症について詳しく解説します。
目次
ノミは体長が1〜3ミリメートルの小さな昆虫です。特に暖かい季節に活発になりますが、室内であれば年間を通じて生存可能です。
ノミは特に跳躍能力が高く、一度に30センチ以上も跳ぶことができるため、簡単に宿主を変えることが可能です。また、吸血することで猫に多くの不快感を与えるだけでなく、アレルギー反応や二次的な感染症の原因となることもあります。
猫がノミに感染している場合、最も一般的な症状は激しいかゆみです。
猫は感染部位を激しく舐めたり、噛んだりするため皮膚を傷つけてしまいます。これがさらなる皮膚病を引き起こす原因となることもあります。
また、寄生されている兆候として、小さな黒いノミの排泄物(ノミのふん)が猫の体や寝床で見つかることがあります。
さらに、多くのノミが寄生している場合には猫に貧血を引き起こすこともあり、特に子猫では貧血のリスクが高いため注意が必要です。
ノミの感染は、猫に不快感を引き起こすだけでなく、猫の健康に長期的な問題を与える可能性があります。
ノミはノミアレルギー性皮膚炎の原因であり、猫に慢性的な皮膚の問題を引き起こします。また、ノミはさまざまな病原体を媒介することが知られており、瓜実条虫症や人間にも感染する猫ひっかき病などの感染症を引き起こします。
ノミは生息する環境中や既に感染している他の動物から新たな宿主に移行することで感染を広げます。また、感染した他の猫や犬、野生動物との直接的な接触以外でも、これらの動物が使用した寝具やブラシを通じてノミが感染することもあります。
ノミは高温多湿を好むため、特に夏季にはその活動が活発化し、感染リスクが高まります。
ノミの感染を未然に防ぐためには、環境管理と適切な予防薬の使用が重要です。
主な予防方法には、次のようなものがあります。
市販されているノミの予防薬には、スポットオンタイプ、経口薬など多様なものがあります。これらはノミの成虫だけでなく、その卵や幼虫にも効果があり、感染の連鎖を断つことができます。獣医師と相談し、猫の健康状態やライフスタイルに合った製品を選ぶことが重要です。
猫の寝床や生活環境をこまめに掃除し、消毒を行うことで、ノミの繁殖を抑制できます。
また、こまめな洗濯や掃除機をかけることで落ちているノミの卵や幼虫を除去することもできます。布製の家具やカーペットなどの布製品は高温で洗濯し、猫の好む場所や部屋の隅は特に徹底して掃除するようにしましょう。
さらに、ノミは高温多湿を好むため、室内の湿度を適切に管理し、可能であれば除湿機を使用して湿度を低く保つことも効果的です。
猫を外に連れ出す場合は、ノミが多く生息している草むらや森林地帯を避けるようにしましょう。また、家の周囲を清潔に保ち、野生動物が近寄りにくい環境を作ることも予防につながります。
猫がノミに感染していると疑われる場合には、まずは猫の全身を丁寧に検査し、ノミの寄生の有無やその他の皮膚の異常がないかを確認します。
特に猫が激しくかゆがっている場所を中心に、ノミの排泄物や卵が見られないかをチェックします。
ノミの寄生が確認された場合、治療にはいくつかの薬剤が利用可能ですが、動物病院では主に以下の2種類が広く用いられています。
猫の首の後ろの皮膚に直接垂らして塗るタイプの薬で、ノミの成虫を駆除するだけでなく、幼虫や卵の発育も阻害します。1ヶ月に1回の頻度で使用することが一般的です。
ノミを駆除するための錠剤を内服します。一部の経口薬は数時間以内に効果を示し、24時間以内にほぼ全てのノミを駆除することができます。
治療を開始した後は、獣医師の指示に従い、指定されたスケジュールで薬剤を適切に投与することが重要です。
また、治療後もノミの再感染を防ぐためには、環境管理が非常に重要です。猫の寝床や遊ぶ場所を定期的に清掃し、使用している布団やクッションは高温で洗濯するようにしましょう。
猫にのみが寄生してしまうと、皮膚のかゆみや不快感だけでなく、アレルギー性皮膚炎や二次的な感染症を引き起こす可能性もあるため、ノミの寄生を予防することが重要です。
適切な予防薬を正しく使用するとともに、日頃から家全体の掃除機掛けや消毒を行い、ノミが繁殖する環境を徹底的に排除することが愛猫の健康を守ることに繋がります。
もしも愛猫にノミの感染が疑われる場合には、早急に動物病院を受診しましょう。