犬の臍ヘルニアを解説!症状・原因・治療・予防を知る

犬の臍ヘルニアは比較的遭遇しやすい問題であるため、多くの飼い主様がその存在を知っているかもしれませんが、具体的な症状や治療法、予防策については詳しく理解されていないことも多いです。

この記事では、犬の臍ヘルニアの症状や原因と発生のメカニズム、治療方法、そして可能な限りこの問題を未然に防ぐための予防策を詳しく解説します。

症状

臍ヘルニアの症状と見分け方

犬の臍ヘルニアは、犬の腹部、特に臍の周辺に膨らみが見られることで初めて気付くことが多いです。

臍ヘルニアの膨らみは、通常、柔らかくて押すとしこりが感じられることが特徴です。このしこりは、腹膜が臍の弱い部分を通じて突出しているために形成されます。

臍ヘルニアを正確に識別するには、犬をリラックスさせた状態で、軽く腹部を触診し、臍の周辺の構造と通常の腹部との違いを感じ取ることが重要です。

その他の症状

臍ヘルニア自体が原因で犬が直接的な痛みを感じることは少ないですが、ヘルニアが大きくなったり、腸が挟まれることで緊急の治療が必要な状態になることもあります。

ヘルニアが引き起こす他の症状には、食欲不振、嘔吐、活動性の低下、お腹の痛みが触診時に見られることなどがあります。これらの症状が現れた場合は、速やかに獣医師の診察を受けましょう。

原因

遺伝的要因

犬の臍ヘルニアの一部は遺伝的な要因によるものであり、特定の犬種により一般的に見られます。

例えば、ヨークシャーテリア、バセットハウンド、ビーグルなどにこの傾向が見られます。これらの犬種では、遺伝子の特定の組み合わせが臍の組織の発達不全を引き起こし、生後間もない段階でヘルニアが発生するリスクを高める可能性があります。

繁殖計画を立てる際には、このような素質を持つ犬種の遺伝的背景を考慮する必要があります。

なぜ発生するのか

先天的な臍ヘルニアは、胎児が母体内にいる間に臍帯が繋がれていた部分が適切に閉じないことで発生します。

通常、生まれた後は臍帯の断端は自然に乾燥して閉じるべきですが、遺伝的な要因などにより、この部分の筋肉が完全に発達しない場合があります。その結果、腹部の内部組織や脂肪が臍部を通じて突出し、ヘルニアを形成することがあります。

またこの他にも、外傷が原因で後天的に引き起こされることもあります。

ヘルニアの状態が放置されると、腸閉塞などのより重篤な問題を引き起こすリスクがあるため注意が必要です。

診断方法と治療方法

診断方法

犬の臍ヘルニアの診断では、まずは腹部の触診を行い、臍の周囲に異常がないかを確認します。腹部に膨らみがある場合、その一貫性、大きさ、およびそれが痛みを伴っているかどうかを評価します。

また必要に応じて、超音波検査やX線検査が追加で行われることもあり、ヘルニアの内容物や腹部の状態を確認します。

これらの診断によって、臍ヘルニアに対する治療方針を決定します。

内科的治療

すべての臍ヘルニアが手術を必要とするわけではありません。特に小さく、無症状である場合には、経過観察となる事も少なくありません。

この場合、定期的な検査を通じてヘルニアの進行状況を確認し、新たな症状が現れたり、ヘルニアのサイズが増大したりした場合には、その対応策を再評価します。

内科的治療の場合には、運動制限や、場合によっては腹部をサポートするための特別なベルトを使用することもあります。

外科的治療

ヘルニアの穴のサイズが大きい場合や、腸などの臓器が挟まれるリスクがある場合には、手術が必要になります。

手術では、ヘルニアから突出している組織を腹腔内に戻し、その後、ヘルニアの開口部を縫合して閉じます。

手術後は感染予防のための適切な抗生物質の投与や、痛みの管理が必要です。また、犬が完全に回復するまでの間、活動を制限することも大切です。

予防策やご家庭での注意点

犬の臍ヘルニアは遺伝的要因によって発生することが多いため、予防の第一歩として、適切な繁殖管理は非常に重要です。

特にヘルニアの発生が知られている犬種の場合、繁殖の計画は慎重に行いましょう。犬の既往歴を詳細にチェックし、遺伝的な問題が確認された犬は繁殖から外すことが推奨されます。

これにより、将来的に生まれてくる子犬の臍ヘルニアのリスクを減少させることが可能になります。また、専門的な遺伝カウンセリングを受けることで、より健康な犬種の維持が可能となります。

日常生活での注意点

臍ヘルニアの予防においては、日常的な健康管理も重要です。

定期的な健康診断を受けることで、早期に異常を発見し対応することが可能となります。

また、栄養バランスの取れたフードを適量与えることで過体重を防ぎ、腹部に余計な圧力がかからないようにすることも大切です。

さらに、適度な運動で健康を維持し、体力をつけることで、潜在的な健康問題に対する抵抗力を高めることができます。

日頃から犬の行動や体調の変化に注意を払い、何か異常が見られた場合には早急に獣医師の診断を受けましょう。

まとめ

この記事では、症状や原因、治療方法、そして予防策まで、犬の臍ヘルニアについて解説しました。

臍ヘルニアは早期発見と適切な治療が犬の健康を守る上で重要となります。定期的な健康診断や適切な繁殖管理を行うことで発症のリスクを減少させ、また犬の臍ヘルニアに対する知識と注意を持つことで、愛犬の健康を長期的に守り続けることが可能です。

この記事が飼い主の皆様にとって有益な情報源となり、愛犬の健康管理に役立つことを願っています。

記事監修
動物病院病院 総長 藤野 洋

アニホック往診専門動物病院獣医師 藤野 洋

日本大学生物資源科学部(旧農獣医学部)獣医学科卒業。
卒業後、約20年にわたり動物病院でペットの治療に従事。
2007年(株)フジフィールド創業。動物病院とトリミングサロンのドミナント多店舗展開を行い、複数店舗の開業/運営を果たす。

日本大学生物資源科学部(旧農獣医学部)獣医学科卒業。
卒業後、約20年にわたり動物病院でペットの治療に従事。
2007年(株)フジフィールド創業。動物病院とトリミングサロンのドミナント多店舗展開を行い、複数店舗の開業/運営を果たす。

【エデュワードプレス(旧インターズー)】・トリミングサービス成功事例セミナー講師・トリミングサービス成功ガイド監修・Live trim2018 マネージメントセミナー講師 【メディア】・ラジオ調布FM ペットオーナー向け番組MC・多摩テレビ 「わんにゃんMAP」番組パーソナリティ・j:comジモトピ「世田谷・調布・狛江」出演