アイリッシュセッターの病気・ケガ・性格を解説

アイリッシュセッターがかかりやすい病気やケガから、性格や体の特徴なども確認していきましょう。

アイリッシュセッターの特徴

アイリッシュセッターの歴史

アイリッシュセッターはその名の示す通り、イギリス・アイルランド地方を原産とする猟犬です。

セッターの名の由来は、獲物の前でセッティングという布施のポーズをとる姿勢から付けられました。

時代的には17~18世紀、土着のスパニエル、アイリッシュテリア、イングリッシュセッター、ゴードン・セッター、ポインターなどの猟犬やテリアを掛け合わせて生まれたと考えられています。

この頃アイリッシュセッターは、レッドと白が入った毛皮をしていましたが、現在も原産国イギリスやヨーロッパ等で、アイリッシュセッターの毛色にはマホガニーレッドの単色だけでなく、レッド&ホワイトも認められています。この毛色はレッド&ホワイトのセッターから時々生まれていましたが、19世紀初頭のアイルランドで固定されていました。アメリカや日本ではマホガニーの単色だけが認めれており、ホワイトの入ったものは「アイリッシュ・レッド・アンド・ホワイト・セッター」と別の犬種として区別されています。

その理由は、アメリカに入った最初のアイリッシュセッターたちがマホガニーレッドであったためとされており、なお、マホガニー単色のものをアイリッシュ・レッド・セッターまたはレッド・セッターと呼ぶことがあります。

初期のアイリッシュセッターは、祖先犬のスパニエルやポインターたちと同じような長さの首を持っていましたが、19世紀にドッグショーに参加するようになると、首のすらりと長いアイリッシュセッターの評価が高まったことから、次第に首の長い個体が選抜されるようになりました。

1862年頃、アイルランドでは、ドッグショーにおけるチャンピオン犬「パルマ―ストン」という犬が誕生し、のちのアイリッシュセッターに大きな影響を与えます。この犬は非常に長い頭と細身の体を持ち合わせていたため、飼い主は猟には適さないとして間引きするよう命じましたが、別のセッター愛好家がその犬を引き取ることとなり、後に品評会で驚くべき成績を上げ、結果として膨大な数の子孫を残すこととなりました。

そして1886年、原産国のイギリス犬種標準書(ブリード・スタンダード)が作成されることとなりました。

これ以降、21世紀の現代に至るまで、アイリッシュセッターはドッグショーのリングで華やかな姿を見せるだけでなく、実猟犬としての改良も続けられています。1998年にはブリード・スタンダードだけでなく、作業能力についての基準も書物として書かれ、フィールド・トライアル競技についてのルールも定められました。

猟犬としての健全なる犬質の維持向上のため、フィールド・トライアル競技はドッグショー同様に重要な場となっています。

こうした育種家の努力により、近年ではショーとフィールドの両方でチャンピオンとなる、優れたアイリッシュセッターも作出されています。

アイリッシュセッターの大きさ・見た目

アイリッシュセッターは体高より体長が長く、身幅が広くない、スリムな骨格をしていますが、筋肉がしっかりとついていて、無駄なく引き締まった肢体をもっています。

大きく垂れた耳、前に突出した胸骨は大きな肺を細い体に収めるためですが、胸の形も特徴的で、首が長く、尾や足に飾り毛のついたシングルコートの大型犬です。

毛色は「チェスナット(栗色)」と形容されるマホガニーレッドで、祖先犬の1頭とされるゴードン・セッターの影響を取り除くため、ブラックが入る個体はドッグショーでは失格となります。しかし、胸、喉、指趾、全頭部のごく小さな白や、顔面のごく細かいブレーズは認められています。

体高はオス65~69cm、メス60~64cm、体重がオス30~32㎏、メス25~27㎏、平均寿命は12歳~15歳ほどです。

アイリッシュセッターの性格

アイリッシュセッターは、ほかの犬を見つけては遊び相手にしようとするほど、元気いっぱいで外交的な性格をしています。

陽気な性格で、感受性は強いのに細かい事には動じないという猟犬にふさわしい精神的な強さがあり、他の犬や人との争いを好まず、温厚で穏やかな性格をしていますが、落ち着きがなく、興奮しやすいという一面も持ち合わせています。

屋外で猫などの小動物に出会った時は態度が豹変し、時には追跡をしようとすることがあるため、注意が必要になります。

アイリッシュセッターを飼うときの注意点

十分なコミュニケーションを必要とする犬種なので、できれば屋内で飼うことをお勧めします。

屋外で飼うとしても、コミュニケーションをしっかりと取ってください。

とても活発且つ元気に溢れているので、運動不足にならないよう注意が必要です。運動不足では欲求不満になって問題行動を起こす場合があります。

時には散歩だけでなく、ジョギングをしたり、ボールやフリスビーなどを使って思いっきり走らせてあげることも大事です。

逆に言えば、散歩に行くことや、一緒に遊ぶことが頻繁にできない人には飼うことをお勧めしづらい犬種といえます。

服従心が強く、飼い主や家族には強い愛情を示すので、しつけや訓練は比較的入りやすいとされています。しかし、おおらかで大雑把な面があるため、室内トイレなど細かい生活のしつけには少々根気がいります。

アイリッシュセッターの被毛は長いため、最低でも2日に1回ほどの頻度でブラッシングしてあげるのがよいでしょう。

長毛ですがシングルコートで下毛がないため、冬期は寒がります。温かい場所で過ごさせられるようにしてあげるとよいです。

幼い子どもとも仲良くやっていくことはできますが、アイリッシュセッターは体が大きいため、子どもにケガをさせてしまわないよう注意しておくことが必要です。

成犬になっても幼さが残る性格なのですが、1度覚えたことは忘れないので、幼少期にしっかりとしつけを行えば、優秀なパートナーとなってくれます。

記事監修
動物病院病院 総長 藤野 洋

アニホック往診専門動物病院獣医師 藤野 洋

日本大学生物資源科学部(旧農獣医学部)獣医学科卒業。
卒業後、約20年にわたり動物病院でペットの治療に従事。
2007年(株)フジフィールド創業。動物病院とトリミングサロンのドミナント多店舗展開を行い、複数店舗の開業/運営を果たす。

日本大学生物資源科学部(旧農獣医学部)獣医学科卒業。
卒業後、約20年にわたり動物病院でペットの治療に従事。
2007年(株)フジフィールド創業。動物病院とトリミングサロンのドミナント多店舗展開を行い、複数店舗の開業/運営を果たす。

【エデュワードプレス(旧インターズー)】・トリミングサービス成功事例セミナー講師・トリミングサービス成功ガイド監修・Live trim2018 マネージメントセミナー講師 【メディア】・ラジオ調布FM ペットオーナー向け番組MC・多摩テレビ 「わんにゃんMAP」番組パーソナリティ・j:comジモトピ「世田谷・調布・狛江」出演