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イングリッシュ・コッカー・スパニエルがかかりやすい病気やケガから、性格や体の特徴なども確認していきましょう。
イングリッシュ・コッカー・スパニエルの起源は、14世紀頃イギリスに持ち込まれたスペイン系の猟犬種、スパニエルです。このスパニエルでは狩猟タイプのサイズによって、ランド・スパニエル、ウォーター・スパニエル、トイ・スパニエルなどに分類されていますが、コッカー・スパニエルの祖先犬はランド・スパニエルの最も小型の犬種ではないかと考えられています。
17世紀頃までイングリッシュ・コッカー・スパニエルは、同じくランド・スパニエルの代表犬種であるスプリンガー・スパニエルと区別されておらず、両者が区別されるようになったのは、1885年に「スパニエルクラブ」が発足して両者のスタンダードが規定されてから1893年にイギリスケネルクラブが両者を別犬種として公認してからです。
その後、イングリッシュ・コッカー・スパニエルはアメリカに渡りますが、独特のウェーブのある長毛と小型でしっかりとした体つきが好まれ、愛玩犬らしい改良が施されました。
獲物を回収するために長くできていた口先は小さくなるように、毛並みは装飾的に、頭は丸く、サイズはより小さくと、猟犬らしさをそぎ落とそうとしましたが、これにイギリスの愛好家たちが異を唱えました。
2つの国の愛好家たちの意見に折り合いがつかず、アメリカに渡って選択配合が進められたイングリッシュ・コッカー・スパニエルたちは、アメリカン・コッカー・スパニエルとして独立することになりました。アメリカでは逆に、アメリカン・コッカー・スパニエルこそが本筋であり、イングリッシュ・コッカー・スパニエルは亜種であるとして、アメリカンケネルクラブへ登録されたのも1946年と比較的最近になってのことです。
しかし、今日においても、アメリカ以外の国では「コッカー・スパニエル」と言えばイングリッシュ・コッカー・スパニエルを指しています。
イギリスでの名称には「イングリッシュ」はつかず、代わりに犬種団体名に定冠詞「The」がついて、自分たちこそコッカー・スパニエルの本流であるとアピールしているかのようです。
名称の元となったコッカーとはヤマシギ(woodcock)という鳥を意味し、ヤマシギ猟に使われるスパニエルという意味でこの名がついています。
日本では長い名称を縮めた愛称として「インギー」と呼ばれることも多くあり、対するアメリカン・コッカー・スパニエルを「アメコカ」と呼んでいます。
イングリッシュ・コッカー・スパニエルは長毛の垂れ耳な中型犬で、がっしりとした骨太の体格をしています。
体高が体長よりやや長く、洗練された見掛けによらず、スポーティーな足取りで力強く歩きます。
長い被毛はダブルコートで、換毛期には沢山抜けます。毛色はブラック、タン、ローン(多色と混ざっていること)、レッド、オレンジ、レモンなどの単色と、これらのバイカラーがあります。
体高はオス39~41cm、メス38~39cm、体重はオス13~15㎏、メス12~14㎏で、平均寿命は12歳~15歳ほどです。
とても明るく、活発で遊び好き、もともと猟犬なので屋外で過ごすのも好きで茂みなどにも躊躇いなく突っ込んでいくほどの積極さがあります。
活動的な犬種ですが、家族に対して忠実に尽くす愛情深い一面を持っており、愛情深い分、寂しがりやでもあるため、毎日長時間留守番をしなくてなならない家には向いていません。飼い主と楽しく過ごす時間が十分に持てる環境が良いでしょう。
イングリッシュ・コッカー・スパニエルは猟犬としての性質をあえて残され散る犬種であるため、非常に多くの運動が必要です。
少なくとも1日1時間以上の散歩と、ボール遊びなどのゲームやドッグランなどの自由運動などを取り入れる喜んでくれます。
散歩の注意点は、真夏の炎天下を絶対に避けるようにしてあげることです。熱せられたアスファルトによる足の裏の火傷や、熱中症の危険は悪化すると命を落とす可能性があります。真夏の散歩は、早朝と日没後の涼しい時間帯に30分ずつ行くようにしてあげましょう。
賢く従順なのでしつけは入りやすく、訓練性能も良いです。ただ、自分がリーダーだと勘違いさせないように注意しましょう。普段から飼い主がリーダーシップをとり、良いこと悪いことをしっかりと判断できるように毅然とした態度でしつけます。
スパルタ式のやり方では興味を失ってしまうので、餌やおやつを利用しながらリラックスした状態で訓練するのが効果的です。
しかし、温和な性格で攻撃性を感じないコッカー・スパニエルですが、突発的に攻撃性が現れる「激怒症候群(レイジ・シンドローム)」というキレる行動異常を起こすことがあります。発症時に疾患との区別をつけるためにも、若齢期から訓練を行っておきましょう。
被毛はダブルコートで、特に換毛期は非常に抜けやすくなるため、できれば毎日、少なくとも週に2~3日はブラッシングしてあげましょう。さらに、毛並みの美しさを保つために2週間ごとにシャンプーとトリミングが必須となってきます。
その際、皮膚が弱いため、シャンプーによっては皮膚炎になりやすいことを考慮し、刺激の少ないタイプのシャンプーを選ぶようにしてあげましょう。また、垂れ耳で外耳炎を起こしやすいので、耳に触れても嫌がらないように子犬の頃から慣らしておき、定期的に耳掃除をしてあげるのがおススメです。