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虫歯予防などで普段から嗜んでいるガムなどに含まれているキシリトール、我々の体には害が無いとされていますが愛犬に与えてしまった場合、実は命に係わる危険性があることをご存知でしょうか。
この記事ではキシリトールが愛犬にとってどのように危険なのかをご紹介していきたいと思います。
犬にキシリトールを与えても良いのか、結論から言いますとオススメすることはできません。
一口食べただけで危険という訳ではありませんが、キシリトールを過剰に摂取すると場合によっては死に至ることがあるのです。
ではどのような理由でその危険な可能性に及んでしまうのでしょうか。その内容について調べていきましょう。
キシリトールが犬にオススメできない理由とはどのようなものなのでしょう。
その理由は、犬が多量にキシリトールを接種してしまった場合、重い中毒症状を引き起こすか可能性があり、
時にそのまま命を落としてしまう危険性があるからです。
キシリトールは糖アルコールの一種の天然の甘味料や虫歯予防として用いられている成分で、砂糖と同じくらいの甘さを持ちながらカロリーが4割程度低いのが特徴です。
日本ではキシリトールガムやタブレット、歯磨き粉としてよく使われています。
犬がこのキシリトールを接種するとインスリンの過剰分泌によって低血糖に陥ってしまったり、肝機能の低下が引き起こされることが分かってるため、危険視されているのです。
キシリトールを食べた際に出る症状についてはまず、どのように引き起こされるのか説明をしなくてはなりません。
人と犬とではキシリトールを摂取した時の反応が違います。
人や動物は食べ物を食べるとそれらを消化吸収し、ブドウ糖として体内に取り込みますが、この時体内のブドウ糖、特に血中のブドウ糖濃度(血糖)が高くなり過ぎないように、体は「インスリン」というホルモンを出してその量を調節します。
人の場合、キシリトールはこのインスリンを放出させるほどではないため、糖尿病の患者用の甘味料として活用されていますが、犬の場合は人と違い、キシリトールはインスリンを放出させる力を強く持っています。そのため、放出されたインスリンは血糖値を低下させ、血糖値の低下はその程度にもよりますが、意識の低下や昏睡、酷ければ肝障害を起こす可能性を引き起こします。
犬にとってキシリトールが毒性を持つ理由はこの低血糖を引き起こすということなのです。
低血糖の主な症状として下記のような状態が見られます。
など。
また、命を落とす危険がある理由の一つとして「急性肝不全」を起こすということもあります。
「急性肝不全」とは、肝臓に重度の障害が起こり、肝機能が停止してしまう病気です。
一般的に、肝臓の機能は20%以上稼働していれば問題ないといわれています。ですが、肝不全になると、肝機能の動きが20%以下になり、体の中に入ってしまった毒素を解毒する機能を始め、栄養素の貯蔵や代謝、血液の循環機能がすべて使えなくなります。
そのため、肝不全になるということは命の危険に直結するのです。
一般的に、10㎏の犬に対し1gの摂取でも危険とされています。
我々にとって身近にコンビニなどでも売っているキシリトール入りのガムには1粒約0.5gのキシリトールが配合されています。これを小柄な小型犬が接種した場合、たった1粒のガムを噛んだだけでも中毒症状を起こす可能性があるのです。
「シュガーフリー」と記載されたガムやミント、キャンディーやタブレットのほとんどにはキシリトールが含まれています。犬が誤って食べないような場所での保管をするようにしましょう。
パッケージされた菓子パンやケーキ、お菓子、アイスクリームやヨーグルトにもキシリトールが含まれているものはあります。安全を期するのであれば、中に何が入っているかわからない食べ物は愛犬に与えない方が良いでしょう。
ジャムやシロップにもキシリトールが含まれている商品があります。食品では色素やビタミンCの安定化、練り製品の変質防止などを目的にキシリトールが使用され、はちみつやはちみつ漬けの梅干しにも使用されていることもあります。アメリカほど馴染みは無いかもしれませんが、ピーナッツバターにも含まれている場合があります。
ダイエットに効果的だとうたわれるプロテインバーやダイエットフードなどの健康食品には、カロリーを抑えて甘みを不可するためにキシリトールが使用されていることが多いです。
スーパーやコンビニなどにも置かれるようになったフレーバーウォーターも美容やダイエットなどにピッタリといううたい文句で掲げられるだけあってその甘みにキシリトールが使用されている場合があります。
チョコレートについては元々与えること自体オススメしづらいものだとご存知な方もいらっしゃるかと思いますが、チョコレートにも甘み成分としてキシリトールを使用している場合があります。危険な要素が二つも重なっているのであれば、与えた場合の危険度も膨らむと考え、与えるのは控えたいところです。
虫歯予防のガムにも含まれているので、もちろんですが歯磨き粉などにもキシリトールは含まれています。虫歯予防臨床実験のデータの中にも歯磨き粉の中にキシリトールを入れることで10~12%虫歯の発生が少なくなったというデータも残っているようです。
虫歯の原因にならず、虫歯の発生を防ぐ甘味料なので、当然のようにデンタルケア用品の多くに使用されています。「犬には犬用のデンタルケア商品を使いましょう」といわれる理由はここにあります。
キシリトールの甘味成分は、天然食品にも存在しています。
イエロープラム、いちご、カリフラワー、ラズベリー、ナスなどがそれに該当しますが、理論上の話で仮にいちごで犬がキシリトール中毒になるには、体重1㎏あたりいちご1パック食べる必要があります。
一般的な小型犬の体重が大体3㎏だとして、一度にいちごを3パックも食べるかというと、少し現実味がないといえます。食べ合わせの際に注意したいものとして気に留めておくとよいでしょう。
もし上記の食べ物を誤食誤飲をしてしまった場合は食べてしまった量を把握し、症状が出ていなくても速やかに動物病院に連絡をとりましょう。
ペットが誤ってキシリトールを食べてしまった場合、どのような対処法があるのでしょう。
誤飲した場合などによく用いられる手法ですが、食べたものを吐き出させる方法があります。
犬には苦しい思いをさせてしまいますが、場合によっては吐かせることが有効なこともあります。
薄めたオキシドールを用いて吐かせることが可能ですが、濃度や量については諸説あるそうなので、心配であれば行わない方がよいでしょう。
キシリトールを食べてしまったものの、特に症状は出ておらず、食べた量も少ないことが分かっている場合、ブドウ糖の点滴を行います。キシリトールによっておこる低血糖への対策として、糖質を接種させるのです。この処置は病院受けられるものなので、食べてしまったことが判明したならば病院へ連れていきましょう。
基本的には獣医師の診療を受けましょう。犬の個体差や体質・体調の差はあれど、キシリトール入りのガムを1枚食べただけでも症状が見栄て具合を悪くする犬もいます。
ただ、病院にすぐ向かうことが困難な場合は、動物病院に電話をして指示をもらうことが大切です。その時の症状にあった応急処置方法や診療の必要性の有無を教えてもらうことが出来ます。
基本的にはすぐに獣医師の診察を受けるべきです。犬の個体差や体質・体調の差はあれど、キシリトール入りの板ガム1枚程度でも症状が出て具合を悪くする犬もいます。
電話をする際には、現在の犬の症状や食べてしまったキシリトールの量(具体的にガムが何個、タブレットを数粒など)をきちんと伝えるようにしましょう。
ここまでご紹介させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか。
キシリトールを接種すると個体差もあるのでみんながみんな必ず発症するという訳ではありませんが、少なくとも犬の体には合わない成分であることはなんとなくでもわかっていただけたかと思います。
与えてもリスクがある成分であるならば、与えるのは控えた方が健康のためにはよいでしょう。
犬用に作られているデンタルケア商品やドッグフードなど、犬の体に合わせて作られている食べ物を与えるようにしてあげることで、健やかなペットライフを過ごしましょう。