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おつまみから料理まで幅広く扱われ、親しんでいるイカですが、自宅で食べていると物欲しそうにしている愛犬につい…ということはありませんか?
犬にイカを与えても良いのかどうか、結論から言うと「少量なら与えても良いが、問題点もある」です。
具体的に与えても良い量、そして問題点はどのような点なのか調べてみましょう。
基本的にはOKですが、犬にイカを与えてはいけない理由とは、まず犬にとって必要な栄養について知ることが必要になります。
犬には炭水化物、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラル、水の6大栄養素が必要とされていて、ドッグフードにはこれらの栄養素が上手く入っています。
その中に含まれている炭水化物を糖質に変えて、エネルギーとして使うときに必要な「ビタミンB1」」が犬にとって大切な栄養素であり、体内で重要な役割を果たします。
しかし、この大切なビタミンB1ですが、生の状態のイカを食べすることによって分解してしまう危険性があるのです。
生のイカに含まれる「チアミナーゼ」という酵素は、ビタミンB1を分解する働きを持っており、このチアミナーゼの働きによってビタミンB1が分解されてしまうと犬は「ビタミンB1欠乏症」になってしまいます。
そのため、炭水化物を糖質に変えることが出来なくなり、様々な症状を引き起こすようになってしまいます。
また、犬などの哺乳類は自身の体内でビタミンB1を作ることはできず、摂取をしても毎日尿として排泄されてしまいます。この大事な栄養素のビタミンB1をチアミナーゼは分解してしまうため、イカでも生のイカは与えることは危険とされています。
生のイカにはビタミンB1を分解してしまうチアミナーゼの危険性があると前述しましたが、ほかにも注意点があります。
それは、寄生虫の「アニキサス」が潜んでいる可能性があるということです。
このアニキサスを万が一犬が摂取をした場合、胃や腸壁に侵入し、数時間後に激しい腹痛を起こします。
アニキサスはオールシーズン現れる出現率の高さと、人間が生きたまま食べた場合でも激しい腹痛や嘔吐などの症状を引き起こす厄介な魚類寄生虫です。主にサバ、ララ、サケ、スルメイカなどには高い確率で寄生しており、これらの魚類は通常魚屋では加熱用として販売されています。
アニキサスは内臓表面に寄生しているので下処理の段階で大部分はでき除去ますが、時間が経つにつれて筋肉部分へと移動していくので、これを見つけるのはなかなか難儀となり、実際にアニキサスの被害を恐れてこれらの魚の刺身販売をやめる魚屋も出てくるほどでした。
万が一、犬が生のイカを食べてしまった場合、どのような症状が引き起こされるのでしょうか。
生のイカを食べるとチアミナーゼの影響よりビタミンB1欠乏症が起きると述べましたが、その具体的な症状として「運動失調」や「神経伝達の異常」などが起こります。
具体的にどのような症状が見られるかというと、しっかり歩いているのにふらついていたり、同じ場所をウロウロと旋回している。また、痴呆のような症状がみられることもあります。さらに症状が進むと脚が立たずに歩行困難になったり、瞳孔が開くなどの症状も見られるようになります。
しかし、これらの症状が引き起こされるのは生のイカを大量に摂取した時なので、誤って犬が一口ほど食べることですぐに障害が出ることはないので焦らず対処しましょう。
生のイカに限らず、イカ自体が消化に時間のかかる食材なので、犬の胃腸にはかなりの負担をかけていまうことが考えられます。犬によっては個人差がありますが、消化不良が原因で、下痢や嘔吐を引き起こす恐れもあります。
また、スルメなどは弾力があり、大きい状態のまま飲み込んでしまうと胃腸が詰まってしまうおそれもあります。諸説がありますが飲み込んだ後に胃腸で消化液を吸って大きく膨らんでしまう危険性も指摘されており、最悪の場合、胃腸閉塞などを引き起こして手術を行わなければならないケースも考えられます。
イカには「アニキサス」という寄生虫が寄生している可能性があると前述しましたが、このアニキサスを誤って誤飲してしまった場合、中毒症状を引き起こし、激しい腹痛や嘔吐などの症状がみられるようになります。
生でなくとも、乾物であるスルメは多くの塩分を含むため、犬にとっては大量に摂取すると人以上に危険です。これはスルメに限られたことではありませんが、濃い味付けの食べ物を犬に与えすぎるのは注意しましょう。
基本的に生のイカや乾物のイカもそうですが、犬の個体差はあれど少量ではればそこまで問題ではありません。
しかし、前述しておりますが食べ過ぎればスルメであれば塩分過多で様々な病気を誘発しますし、生でもそうでなくても大量に与えてしまえば食べ過ぎで消化不良や胃腸閉塞を引き起こす原因になり、それが生であればビタミンB1欠乏症を引き起こす可能性もあるのです。
また、少量であってもその生のイカにアニキサスが含まれていた場合、アニキサス症を引き起こしてしまうことも、具体的無いとは言い切れないため、この量を食べることで危険や安全ということはないですが、接取するイカの状態で量は考えるとよいでしょう。
もし犬が誤ってイカを食べてしまった場合はどのように対処したらよいのでしょうか。
もし摂取した量が少量であれば、チアミナーゼの影響を極端に心配する必要はないでしょう。まずは慌てず、愛犬の様子をしっかりと観察することが大切になります。また、加熱したイカは多少リスクがありますが、絶対に食べてはいけない食べ物ではありません。というのも、イカは加熱することによりチアミナーゼが失活するといわれています。しかし、焼いたイカだからといって絶対安全とは言えないので、もし食べてしまった場合は落ち着いて様子を見るようにしましょう。
犬がイカを摂取後、ふらつきや歩行障害、嘔吐などの症状がみられるようになった場合、一刻も早く動物病院へ連れて行くようにしてください。
その際、愛犬の吐瀉物や便などを捨てずに持っていくと、治療に必要な詳しい情報として手助けになることもあるので、なるべく持参するようにしましょう。
いかがでしたでしょうか。
焼いたイカであれば乾物のイカや生のイカよりはビタミンB1欠乏症やアニキサス症などのリスクは減るものの、用心のため、犬にとって必要な栄養素を含んでいるものでもないので無理に食べさせる必要はないでしょう。
ただ、絶対に食べさせてはいけないという食べ物でもないので与える際は加熱処理をし、細かく身を切ってから与えることをおすすめします。
ですが、基本的には犬にとって必要な栄養素は市販のドッグフードで大体事足りてしまうため、リスクのある食事をわざわざする必要があるか考えてみると、与えない方が愛犬の健康を脅かす危険性はだいぶ減るかと思われます。
日々の食事についてもしっかりと考えて与えるようにしましょう。