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ジャック・ラッセル・テリアがかかりやすい病気やケガから、性格や体の特徴なども確認していきましょう。
ジャック・ラッセル・テリアはイギリス・デボン州に実在した牧師、ジョン・ラッセル牧師の手でキツネ狩りのために作出された比較的新しい歴史の犬種でありながら、映画やテレビなどに多数出演し、爆発的なブームより短い間に世界中に広がった犬種です。
ラッセル牧師はイギリスケネルクラブの創立メンバーの一人でもありました。
キツネ狩りを愛好したラッセル牧師は、優秀な猟犬を作ろうと考え、フォックス・テリアをベースに他犬種との交配を始め、猟の性能を磨くことを目的に、ビーグルやボーダー・テリアなどとの交配をしていきました。
ラッセル牧師が育てていた犬は、当時は単にフォックス・テリアと呼ばれていましたが、狩猟能力が高いことからハンターに評価を受け、1883年の牧師死後、次第に「ジャック・ラッセル・テリア」と呼ばれるようになりました。1894年にパーソン・ラッセル・テリア・クラブ(ラッセル師テリアクラブ)が結成され、犬種の改良・維持が図られました。また、このクラブでは能力や気質を重視して繁殖され、ダックスフンド、ウェルシュ・コーギー・ペンブローク、様々な小型犬やテリアとの交配が行われたため、容姿には大きなばらつきがあったそうです。また、パーソン・ラッセル・テリア・クラブではこの犬種ををショードッグにされることを嫌い、イギリスのザ・ケネルクラブには登録されておらず、このイギリスタイプのジャック・ラッセル・テリアは、ペットとして飼育されるにあたってオーストリアタイプに比べ気性面で難があるため、現在はあまり見られなくなっています。
一方、もともとのラッセル牧師が育てていたテリアの要旨を重視してショードッグとして繁殖に取り組むグループもおり、その結果確立された犬種がパーソン・ラッセル・テリアだといわれています。
ジャック・ラッセル・テリアはイギリス国外にも盛んに輸出され、輸出先でそれぞれ使役しやすいように改良されていきました。特にオーストラリアでは、現地の気候に合わせ、また農場での使役に向くように改良され、イギリスでは強い雨や雪、寒さなどから身を守ることができないショートコートは敬遠されていましたが、記憶が高く寒さのないオーストラリアではショートコートが非常に好まれました。また、体高を低めにして穴に潜りやすくさせるなどの改良もなされ、性格もやや穏やかにして、ドッグショーやペットとしても飼えるように改良がされていきました。この時、改良の際にウェルシュ・コーギーなどが交配されています。
オーストラリアでは1972年に犬種クラブができ、1990年にオーストラリアのケネルクラブに登録され、このタイプのテリアが2003年に国際畜犬連盟(FCI)に「ジャック・ラッセル・テリア」として暫定公認されました。なお、アメリカ合衆国のユナイテッドケネルクラブでは2005年にスタンダードの修正が行われ、公式名が「ラッセル・テリア」に改名され、アメリカンケネルクラブでは2012年には本犬種を「ラッセル・テリア」として登録されました。本種はオーストラリアやアメリカなどで特に人気が高く、害獣の駆除だけでなく、ペットやショードッグ、スポーツドッグとしても人気が高いほか、近年セラピードッグや聴導犬、介助犬などとして使役できる可能性が見出されています。
ジャック・ラッセル・テリアは体長が体高よりわずかに長く、白をベースに大きな斑が入る毛色です。体格は筋肉質かつ細身で、耳は垂れ耳・半直立耳があります。
実猟目的の犬については現在でも断尾されることが多いようです。
また、パーソン・ラッセル・テリアでは、体高が体長より長く、ジャック・ラッセルより足長で、毛色の多くが部分が白であることが望ましいとされています。
体高は25~38cm、体重4.5~6.8㎏、平均寿命は13歳~16歳程度です。
ジャック・ラッセル・テリアの被毛はダブルコートで、スムースとブロークン、ラフがあります。
ホワイトをベースにブラック、或いはタンのマーキングがあり、色の組み合わせは白&黒、白&茶があります。ジャック・ラッセル・テリアではブリンドルとブルーは認められていません。
パーソン・ラッセル・テリアでは、ホワイトが明らかに優勢であることが望まれます。
ジャック・ラッセル・テリア(及びパーソン・ラッセル・テリア)の性格は狩猟本能が強く、やや攻撃的な面があります。活発で運動力が高く、頑固で負けず嫌いな性格です。
思い込んだら一直線という側面があるため、時に笑いを誘いますが、逆に大変な問題を発生させてしまうことがあります。
ジャック・ラッセル・テリアは飼い主以外の人間に従うことは少ない典型的なワンマンズ・ドッグであり、またその賢さゆえに飼い主の力不足を見抜くと、暴君と化すとさえいわれています。
ジャック・ラッセル・テリアは小型犬でありながら、運動量は大型犬と同じくらい必要な犬種です。
散歩だけでも1日1時間以上は行ってあげること、好奇心や知性を満たすためのゲーム的なスポーツも取り入れるようにし、これらを通じて飼い主に対する服従心をしっかりと養うことで、扱いやすい性格になります。
愛玩犬感覚で甘やかして育ててしまうと、成犬になって抑えが利かず手の付けられない部分が出てきてしまうほか、耳掃除や歯磨きなどを嫌がらずにさせるように、子どもの頃から体を触れられケアをされることを慣らしておくことが大切です。
ジャック・ラッセル・テリアは自分より大きなキツネに向かっていくように作出された犬種ですので、猫やフェレットなどと室内で一緒に暮らすことはリスクが伴います。
テリア気質であり、しつこくかまわれることを好まないので、小さな子どもとの相性は悪く、外出先などで子どもが手を伸ばしたりしてくるときは目を離さないようにしましょう。
ジャック・ラッセル・テリアを飼う際、しつけは特に重要で、この犬種は驚くほど好奇心旺盛なので、動くものなんでも反応し、近づこうとすることから、行動を制御する言葉や合図を覚えさせないと、散歩中にほかの犬に飛び掛かることもあります。車に興味本位で近づいて交通事故に遭ってしまうことも少なくありません。
悪いことをした時や危ないものに近づこうとしたときは「ダメ」と低い声でしっかりと叱り、行動を制止する言葉を覚えさせるようにしましょう。頭のいい犬種なので訓練をすればきちんと覚えてくれます。
また、ジャック・ラッセル・テリアのしつけの中でも苦労するのは「無駄吠え」といわれています。猟犬としての本能が残っているので、何かを発見して興奮すると、大きな声で吠えて知らせようとするのです。
飼い主との主従関係を明確にすることで、無駄吠えは改善することができますが、ジャック・ラッセル・テリアは猟犬の名残で本能的に吠えてしまうことがあります。その時は吠える前に「ダメ」と行動を静止し、「待て」「伏せ」などのを覚えさせることで無駄吠えを防止するのが効果的といわれています。根気よく続けることで体が覚えていくので、時間をかけてじっくりとしつけを行ってあげましょう。