セント・バーナードの病気・ケガ・性格を解説

セント・バーナードがかかりやすい病気やケガから、性格や体の特徴なども確認していきましょう。

セント・バーナードの特徴

セント・バーナードの歴史

セント・バーナードの犬種名は、彼らを育んだ聖ベルナール(Saint Bernard)僧院を英語読みしたものです。

聖ベルナール僧院はイタリアとスイスの国境近くにあるアルプスの山中にあった僧院です。グラン・サン・ベルナール峠という名のこの道は、古くから重要な交通路として利用されていましたが、冬は大変厳しく、20mを超える積雪に気温はマイナス30℃にもなる地域です。冬になれば到底馬を使うことなどできず、急ぎの旅人は徒歩で山越えをするしかありませんでした。

この厳しい土地で、遭難者を救助していたのがセント・バーナードであったと伝えられています。

セント・バーナードの先祖犬は、ローマ帝国(現在のイタリア)が連れていた軍用犬のモロシア犬とされています。

モロシア犬がこの地に入ったのは紀元2世紀頃と推定されていますが、当初は番犬として飼われていたようです。数少ない山中の農家などに飼育され使役犬として働いていましたが、17世紀に入って、深い雪中でもひるまずに進む体力や勇気、軍用犬として身に着けた探索能力が認められ、改良が進むことになります。この頃、聖ベルナール僧院へ寄贈された犬たちが、現在のセント・バーナードの基礎となりました。

聖ベルナール僧院は遭難者の救護所の役割も果たしていたため、セント・バーナードは救護犬の仕事を与えられ、20世紀までに2000人以上の遭難者を救護してきたと伝えられています。

セント・バーナードが海を渡ってイギリスい入ったのは19世紀始め頃のことでした。実はこの頃、セント・バーナードは絶滅の危機を迎えており、長い間、狭いエリアの限られた個体で近親繁殖を繰り返していたことから、重い遺伝性疾患で長く生きられない犬が続いたのです。そこで、ニューファンドランドと掛け合わせることによって、存続することができました。

そして19世紀半ば頃、当時イギリスで活躍していた画家ランドシーアの手によって、遭難者を救助する2頭のセント・バーナードの絵(「遭難者を蘇生するアルペンマスティフ」(Alpine Mastiffs Reanimating a Distressed Traveller)という作品)が描かれ、この犬種の知名度と人気が高まることになります。ちなみに、海の救助犬として知られるニューファンドランドのうち白黒のものをランドシーアと呼びますが、これは画家ランドシーアの名を冠して与えられた名前です。

生涯に40人もの人間を救助した実在の名犬ハリーの物語は各国で語り継がれ、その剥製はベルンの博物館に今も展示されています。

20世紀には映画「ベートーベン」の主役犬になったり、日本でも知られているアニメ作品に登場したりと、たびたび話題の犬種となりましたが、その大きさのために多くの家庭に迎えられるという状況にまでは至っていません。

セント・バーナードの大きさ・見た目

セント・バーナードは垂れ耳で、オスメス共に50㎏以上の大きな体格のがっしりとした骨格と筋肉を厚いダブルコートが覆っています。

体はニューファンドランドの影響を受けた長毛タイプと従来型の短毛タイプがおり、毛色はホワイトの地色にレッドブラウンの斑またはブランケット(胴体を覆うような大きな色)があります。レッドブラウンに少しブリンドルが入ったものや、イエロー寄りのブラウンなども認められます。

体高はオス70~75cm、メス65~70cm、体重はオスメス共に50~91㎏、平均寿命は8歳~10歳ほどです。

セント・バーナードの性格

セント・バーナードは、温和でおっとりした性格なうえ、辛抱強く優しいのが特徴的で、家族として安心感のある犬種です。

自分で考える洞察力にもすぐれた賢い犬種で、自分の任務に対して責任感が強い一方で、頑固な面もあります。

家族として家の中で人間のそばに置くことで、自分の役割を全うしようと頑張ってくれる愛らしい性格です。

セント・バーナードを飼うときの注意点

セント・バーナードは、雪原での救助でも活躍するだけあって、寒さに強く暑さに弱い犬種です。高温多湿に弱いため、日本では室温・湿度管理のされた場所での飼育が必要不可欠です。

また、大型犬なので飼育には広いスペースが必要になります。

子犬の時はさほど問題ありませんが、大きくなった時に暮らせるスペースがあるかどうか、また、十分な運動ができる広さや散歩コースがあるかどうかも考えた上で購入を決めてください。

肥満防止のために適度な運動が必要になります。特に、若犬の頃は、肥満により関節の負担が増えないようにしっかりした体づくりが必要となります。

散歩は1日1時間以上とり、適正な筋肉づくりを心がけましょう。

セント・バーナードはパートナーである飼い主を喜ばせようと一生懸命に尽くす犬種です。

大型犬の中では比較的しつけやすく、しつけの際は大袈裟なくらいに褒め、飼い主が喜ぶ姿を見せて伸ばしてあげるのが良いでしょう。

飛びつき癖や引っ張り癖はしっかりしつけることが必要になります。おもちゃやご褒美のおやつを使って、しつけを行っていきましょう。

几帳面な面もあるので、怒るのではなく、飼い主がしつけを楽しんでいる姿を見せるのがポイントです。

しつけやすい犬種とはいえ、大型犬のしつけは難しいことも多いので、自身がない時はプロのトレーナーやしつけ教室を利用しましょう。

セント・バーナードには短毛と長毛の2種類がいますが、いずれもダブルコートで下毛は厚いため、定期的なブラッシングが必要です。

少なくとも週に3回以上、できるなら毎日ブラッシングをしましょう。

特に温度湿度の高い夏場は丁寧な被毛ケアが必要不可欠となります。

記事監修
動物病院病院 総長 藤野 洋

アニホック往診専門動物病院獣医師 藤野 洋

日本大学生物資源科学部(旧農獣医学部)獣医学科卒業。
卒業後、約20年にわたり動物病院でペットの治療に従事。
2007年(株)フジフィールド創業。動物病院とトリミングサロンのドミナント多店舗展開を行い、複数店舗の開業/運営を果たす。

日本大学生物資源科学部(旧農獣医学部)獣医学科卒業。
卒業後、約20年にわたり動物病院でペットの治療に従事。
2007年(株)フジフィールド創業。動物病院とトリミングサロンのドミナント多店舗展開を行い、複数店舗の開業/運営を果たす。

【エデュワードプレス(旧インターズー)】・トリミングサービス成功事例セミナー講師・トリミングサービス成功ガイド監修・Live trim2018 マネージメントセミナー講師 【メディア】・ラジオ調布FM ペットオーナー向け番組MC・多摩テレビ 「わんにゃんMAP」番組パーソナリティ・j:comジモトピ「世田谷・調布・狛江」出演