犬にニラを与えるのはダメ?その理由と対処法を紹介!

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ニラは、私たち人間にとっては健康に良い食材ですが、犬にとっては大変危険なことをご存じでしょうか。

この記事では、ニラが犬にとって危険な理由と、万が一食べてしまった場合の対処法について詳しく解説します。

ニラとは何か

ニラはユリ科の多年草で、アジア料理を中心に広く使用される香味野菜です。特有の香りと味が特徴で、炒め物や餃子の具材として親しまれています。日本では春から秋にかけて収穫され、新鮮な状態で市場に並びます。

栄養価に関しては、ニラは非常に豊富な栄養素を含んでいます。ビタミンA、C、K、鉄分、カリウムなどが多く含まれており、これらは人間にとっては非常に有益です。

しかし、これらの栄養素が豊富に含まれている一方で、犬にとっては一部の成分が有害となる可能性があります。そのため、犬に対してニラを与えることは避けるべきです。

犬におけるニラの危険性と症状

ニラに含まれる危険な成分

ニラには「アリルプロピルジスルフィド」という有害物質が含まれています。この成分は、犬の赤血球を破壊し、溶血性貧血を引き起こす原因となります。アリルプロピルジスルフィドは硫黄化合物の一種で、人間にとっては適度な摂取が健康に良いとされていますが、犬には非常に有害です。

さらに、ニラには他の硫黄化合物も含まれており、これらが犬の体内で有害な作用を及ぼします。

ニラの摂取は、特に小型犬や健康状態が悪い犬にとって、重篤な健康被害を引き起こす可能性があります。

犬がニラを摂取した場合の症状

犬がニラを摂取すると、以下のような症状が現れることがあります。

  • ・嘔吐
  • ・下痢
  • ・食欲不振
  • ・元気喪失
  • ・赤色や褐色の尿
  • ・貧血
  • ・痙攣
  • ・黄疸
  • ・呼吸困難
  •  など

これらの症状は、ニラに含まれる有害物質が赤血球を破壊し、酸素の運搬能力を低下させることによって引き起こされます。その結果、体内の組織や臓器に十分な酸素が供給されなくなり、様々な症状が引き起こされます。

特に、体重の軽い犬や体力の弱った犬では、症状が重篤化する可能性が高いです。

嘔吐や下痢が続くと、脱水症状を引き起こし、さらに状態が悪化します。また、赤色や褐色の尿は赤血球が破壊されていることを示す重要なサインであり、これらの症状が現れた場合には、早急な治療が必要です。

犬がニラを食べてしまった場合の対処法

緊急時の初期対応

万が一、愛犬がニラを食べてしまった場合、まずは落ち着いて以下の手順を実行してください。

①犬がニラを食べた量と時間を確認する

可能であれば、正確な摂取量と食べた時間を把握しましょう。これらの情報は獣医師に伝える際に非常に重要です。

②犬の口内から残ったニラを取り除く

まだ口内にニラが残っている場合は、可能な限り取り除きます。

③すぐに動物病院に連絡し、受診する

獣医師に連絡し、状況を詳しく説明します。

動物病院に連れて行くまでの間は、獣医師から指示された対応を実行しましょう。

初期対応が遅れると、症状が重篤化する可能性があります。迅速に対応することが、愛犬の健康や命を守るためには非常に重要です。

診断と治療

動物病院では、まず犬の全身状態を確認します。その後血液検査や尿検査を行い、ニラによる中毒症状の有無を確認します。

治療では以下のような方法が症状に応じて行われます。

・輸液療法

脱水状態の改善や毒素の排出を促進するために、点滴を行います。これにより、体内の電解質バランスを整えることができます。

・酸素療法

呼吸困難が見られる場合には酸素を供給します。酸素ケージでの治療が行われることが多いです。

・薬物療法

溶血性貧血を抑えるための薬を投与します。ビタミンKや鉄分補給など特定の薬剤を使用して赤血球の破壊を抑制し、症状の悪化を防ぎます。

ニラ以外にも気をつけるべき食材

犬にとって有害な食材はニラだけではありません。以下の食材にも注意が必要です。

・玉ねぎ

玉ねぎにはニラと同様に硫黄化合物が含まれており、赤血球を破壊して溶血性貧血を引き起こす可能性があります。生、加熱、乾燥にかかわらず有害です。

・ニンニク

ニンニクも硫黄化合物を含み、玉ねぎと同じように赤血球を破壊します。少量でも毒性が強いため、注意が必要です。

・チョコレート

チョコレートにはテオブロミンという成分が含まれており、犬の中枢神経系や心臓に悪影響を与えます。摂取量によっては命にかかわることもあります。

・ブドウとレーズン

ブドウやレーズンは腎不全を引き起こすことが知られており、少量でも急性中毒を引き起こす可能性があります。

・アボカド

アボカドにはペルシンという毒素が含まれており、これが犬の消化器系や心臓に悪影響を与えます。

愛犬がこれらの有害な食材に接触しないよう、食事管理を徹底することが重要です。

犬の食事に関する安全な選択肢

犬に適した食材とその選び方

犬に与える食材は、必ず安全で栄養バランスの取れたものを選ぶことが重要です。以下は、犬に適した食材の例です。

・鶏肉や牛肉などの高品質なタンパク源

犬に必要なタンパク質を豊富に含み、筋肉の維持と成長をサポートします。脂肪分の少ない部位を選ぶと良いでしょう。

・人参やブロッコリーなどの犬にとって安全な野菜

ビタミンやミネラルが豊富で、犬の健康を維持するために役立ちます。特に人参はβカロテンが豊富で、視力や免疫機能をサポートします。

・玄米やオートミールなどの穀物

消化が良く、エネルギー源として優れています。玄米は食物繊維が豊富で、消化器系の健康をサポートします。

食材を選ぶ際には、犬のアレルギーや消化器系の特性に注意し、適切なものを選びましょう。また、新しい食材を与える際には、少量から始めて犬の体調を観察することが重要です。

基本的に主食にはドッグフードを与えることが理想ですが、もしも手作り食を取り入れる場合は、獣医師にも相談してバランスの良い食事を提供しましょう。

また、必要に応じてビタミンやミネラルなどのサプリメントを活用し、栄養バランスを補完することもできます。その場合にも獣医師に相談し、愛犬に合った適切なサプリメントを選びましょう。

まとめ

人では健康に良いニラですが、犬にとっては中毒を引き起こす危険があります。愛犬の健康を守るためには、日々の食事に注意を払い、有害な食材を避けることが大切です。

万が一愛犬が食べてはいけない食材を口にしてしまった場合には、早急に動物病院を受診することが重要です。

愛犬の健康と幸せを守るために、飼い主様としての責任をしっかり果たしていきましょう。

記事監修
動物病院病院 総長 藤野 洋

アニホック往診専門動物病院獣医師 藤野 洋

日本大学生物資源科学部(旧農獣医学部)獣医学科卒業。
卒業後、約20年にわたり動物病院でペットの治療に従事。
2007年(株)フジフィールド創業。動物病院とトリミングサロンのドミナント多店舗展開を行い、複数店舗の開業/運営を果たす。

日本大学生物資源科学部(旧農獣医学部)獣医学科卒業。
卒業後、約20年にわたり動物病院でペットの治療に従事。
2007年(株)フジフィールド創業。動物病院とトリミングサロンのドミナント多店舗展開を行い、複数店舗の開業/運営を果たす。

【エデュワードプレス(旧インターズー)】・トリミングサービス成功事例セミナー講師・トリミングサービス成功ガイド監修・Live trim2018 マネージメントセミナー講師 【メディア】・ラジオ調布FM ペットオーナー向け番組MC・多摩テレビ 「わんにゃんMAP」番組パーソナリティ・j:comジモトピ「世田谷・調布・狛江」出演