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イタリアン・グレーハウンドがかかりやすい病気やケガから、性格や体の特徴なども確認していきましょう。
イギリスでは「IG」、日本では「イタグレ」と短く呼ばれているイタリアン・グレーハウンドは、グレーハウンドを小型化した犬と考えられています。祖先であるグレーハウンドは、古代エジプト時代の壁画にそれらしい姿が描かれているなど、想像を超えるほど昔から人間の近くで暮らしてきた犬であると推定されています。
小型化されたイタリアン・グレーハウンドはエジプトから地中海を回ってトルコ、ギリシャに入り、紀元前5世紀ころのローマ(イタリア)にわたって、上流階級のペットとして飼育されており、さらにイタリア・ポンペイ遺跡からは鎖に繋がれたこの犬の化石が発見されていたことから、1世紀ころから一般に飼育されていたことがうかがえます。
16~17世紀ごろには、ルネサンス期の南ヨーロッパ一帯に広がり、特にイタリアの王室や貴族たちに大変愛され、絵画や器の絵柄、美術品などに繰り返し登場するほどになりました。17世紀にはイギリスにわたり、上流階級から大切に飼われるようになりましたが、イギリスの寒い気候はイタリアン・グレーハウンドの性質に合わないため、一般家庭にまで普及することはなかったようです。
18世紀後半、イタリアン・グレーハウンドは更に小さくするために近親交配が進んで虚弱な体質になっていました。戦争の時代に入り、上流階級の飼育環境が不安定になってくると、気候の変化に弱いイタリアン・グレーハウンドは少しずつ姿を消していきました。
絶滅の危機を救ったのは、19世紀初頭にアメリカにわたっていたイタリアン・グレーハウンドたちで、彼らをイギリスに残っていた固体と交配し、ようやく復活の途に着くことになり、1853年にイギリスケネルクラブが発足した際には最初に登録された40犬種の一つとして、登録されるまでに至りました。
日本には江戸時代に初めて輸入され、身分の高い令嬢などに愛されました。現在も人気の高い犬種の一つで、毎年国内登録が行われているほか、国内でもブリーダーから入手することが可能で、愛好家も多く存在しています。
イタリアン・グレーハウンドはサウスハウンド系の中で最小の犬種です。
首を伸ばして頭を上げ、まるで小鹿が跳ねるように前肢を高く上げて下すという、気品ある歩様が特徴的ですが、走るときはグレーハウンド譲りのスタイルで両手両足をそろえて飛ぶように走ります。
耳の形は、前ではなく横に垂れる形が標準とされていますが、子犬の頃から終生立ち耳の個体も多くいるとされています。
イタリアン・グレーハウンドは短毛で、フォーン、レッド(赤茶)、グレー、グルー(明るい灰色)、クリーム、ホワイト、ブラックなど豊富な毛色があり、白のマーキングが入ります。
また、犬種標準ではありませんが、タン(黄褐色)がはいることやマールカラー、ブインドルなどのカラーの犬もいます。
体高33~38cm、体重3~5㎏、平均寿命は12歳~15歳ほどです。
イタリアン・グレーハウンドは繊細で感受性が強く、気性は穏やかで優しい性格で、ストレスをためやすい面があり、攻撃はしない代わりに距離を置く、逃走するという方法で身を守ります。
活発で走ることや遊ぶことがが非常に好きな上、スタミナもありますが、日本の厳しい気候には弱く、真冬は1日中外で遊べるほどの体力があるのは若犬だけです。
オスとメスでは少しだけ性格に違いがあるとされていますが、オスの場合はメスに比べてフレンドリーで愛情深い傾向にあり、メスの場合はオスに比べて独立心が高く従順な傾向にあるようです。
また、優しい性格かつ、繊細で臆病なイタリアン・グレーハウンドは番犬としての活躍は難しく、愛玩犬としては抜群の相性をみせる犬です。
イタリアン・グレーハウンドは短毛で抜け毛が少なく、手入れがしやすいものの、寒さには弱く、気候に応じて衣類を着用させることはファッションというより健康管理になります。
また、頭が小さく首輪が抜けやすいのでサイズをきちんと合わせるか、首と胸にかかるタイプの8の字胴輪(ハーネス)を使うようにしましょう。スリムで胸幅が狭いため、腕だけ通すタイプのハーネスでは後ずさりした時に抜けてしまう恐れがあります。
特に寒い時期や酷暑の時期は、散歩を控えて、空調管理のできる室内でたっぷりと遊んであげましょう。ですが、気候の良い時はドッグランなどで思う存分走らせてあげることも大切なので、過ごしやすい時期には連れて行くと良いでしょう。
また、骨も細いので太ってしまうと関節に負担がかかりやすく、骨が折れやすくなってしますことあります。食べ過ぎないようにきちんと管理をすることも大切です。
イタリアン・グレーハウンドは明るく大変おだやかなので、しつけはさほど難しくありません。子どもや他犬、小動物とも仲良くできるのですが、辛抱強さのあまりストレスをためてしまうことで、病気の原因になることがありますので、子どものいる家庭では、関わり方を考えてあげましょう。