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アメリカン・コッカー・スパニエルがかかりやすい病気やケガから、性格や体の特徴なども確認していきましょう。
アメリカン・コッカ―・スパニエルの起源は、14世紀頃にイギリスに持ち込まれたスペイン系の猟犬種、いわゆるスパニエルといわれています。
その名を示す通り、スペインを意味する土地に生まれてヨーロッパ各国に持ち出され、猟の用途別に選択配合されていく中で「スパニエル」の名を持ついろいろな犬種に分かれていったものと推定されています。
アメリカン・コッカ―・スパニエルの祖であるイングリッシュ・コッカー・スパニエルも同じように、イギリスに持ち込まれたのが最初といわれ、ランド・スパニエルと呼ばれていたこの猟犬は、後にイングリッシュ・スプリンガー・スパニエルとイングリッシュ・コッカー・スパニエルに分かれます。
「コッカー」の名の由来は、かつて猟場において「ヤマシギ(woodcock)」を始めとするほかの鳥を飛び立たせる役割を担っていたことにちなんでいます。
1620年、メイフラワー号に乗ってイギリスからアメリカへ渡ったという話は、歴史的に大変有名で、最初の移民が連れていた犬の中にアメリカン・コッカ―・スパニエルの元祖となったイングリッシュ・コッカー・スパニエルがいたと伝えられています。
その後に入ってきたイングリッシュ・コッカーの中から、愛玩犬向きのものが選抜され、アメリカン・コッカ―・スパニエルの土台となりました。
アメリカでは現在も実猟が行われていますが、アメリカン・コッカ―は猟犬としてではなく、愛玩犬として改良が続けられました。その結果、イングリッシュ・コッカーとは異なる顔立ちや被毛の装飾的な美しさが際立つようになり、そのためのトリミングが盛んに行われて、18世紀後半以降は華やかなドッグショーの舞台で活躍することになりました。
1935年、アメリカンケネルクラブでは、イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルという別犬種として認められました。
ブロンドの豊かなロングヘアと優美な容姿に人気を博したアメリカン・コッカ―ですが、手入れの大変さが忙しい現代人に合わなくなってきているためか、現在は一時ほどの人気はありませんが、今でも根強いファンに愛されています。
アメリカン・コッカ―・スパニエルは愛玩犬化した姿ではありますが、もともと猟犬だったので、コンパクトで筋肉質な体型です。
骨格では頭頂部がやや平らで、口先が短めに詰まっている点、またウェーブがかった優美さとエレガントさのある厚い被毛ががイングリッシュ・コッカーとのはっきりした違いとなります。
アメリカン・コッカ―・スパニエルはブラックの単色、タンのあるブラック、ブラック以外の単色は明るいクリーム色、ダークレッドブラウン、タン・ポイントのあるブラウン、それ以外にも飾り毛の明るい色調、胸及び喉に見られる少量のホワイトも認められています。
パーティ・カラーは、ホワイトを含む2色以上で構成されています。
ブラック&ホワイト、レッド&ホワイト、ブラウン&ホワイト及びローンそれぞれの色のタン・ポイントを含みます。ローンはパーティ・カラーに分類されますが、ホワイトが少なすぎるものは認められません。
ドッグショーに出展する場合は、これ以上にタン・ポイントやタン・マーキングに厳格な決まりがあります。
体高はオス36~38cm、メス34~36cm、体重はオス11~13㎏、メス10~12㎏、平均寿命は12歳~15歳ほどです。
アメリカン・コッカ―・スパニエルの性格は陽気で人懐っこく、アメリカ国内では時に「Merry Cocker(陽気なコッカー)」と呼ばれることもあります。
大らかで警戒心や神経質な点が少なく、好奇心旺盛で遊び好きであり、食いしん坊と呼べるほど食べ物に大変敏感な面もあります。
アメリカン・コッカ―・スパニエルは中型犬ですが、室内飼いに適した犬種です。
また、体力があり運動が大好きなのでドッグスポーツに向いていますが、太りやすいため、1日1時間ほどの散歩を心掛けて肥満を予防してあげましょう。
ダブルコートの密集した被毛が特徴で、夏の暑さを苦手としています。室内でも熱中症になってしまう場合もあるため、室内温度の調整にも気を配るようにしましょう。
また、外の寒さも苦手としているので冬は暖房で温度の調節をしてあげるほか、暖房で室内が乾燥してしまうと被毛が乾燥してしまったりウイルスが蔓延しやすくなってしまうため、湿度の調整もしてあげるとよいでしょう。
室内飼いをする場合、滑りやすい床は関節に負担がかかるため、カーペットなどを敷いて滑りにくくする工夫をし、寂しがりやなのでサークルはリビングなどの家族の目が届くところに設置して、寂しいを思いをさせないようにしましょう。
学習能力が高く、しつけやすい犬種ではありますが、その反面、いたずらなどもすぐ覚えてしまうため、子犬の頃からきちんとしつけて飼い主との上下関係をはっきりさせておくことが大切です。
陽気でテンションが上がりやすく、基本的にはしつけやすい犬種ですが、叱りすぎると恐怖心を与えてしまうので、基本的には褒めてしつけるようにしましょう。
トイレのしつけは、興奮したり緊張すると漏らしてしまう傾向があるようなので根気強く、必要ならトイレのサイズを広くするなどの工夫をし、噛み癖が出てしまう場合は、その都度タイミングよく叱ってきちんとしつけをしましょう。
可愛さあまってしつけを怠ってしまうと、飼い主との立場が逆転してしまい、我儘になってしまいます。
また、アメリカン・コッカ―・スパニエルには突発性激怒症候群の個体が時々おり、遺伝的な脳の病気とされています。病気なのか、甘やかしによる我儘なのかを区別するためにも、子犬の時からきちんとしつけや訓練を行いましょう。