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犬の血管肉腫(けっかんにくしゅ)とは、血管内皮細胞由来の悪性腫瘍のことです。この腫瘍は、血管が存在するすべての臓器で発生する可能性はあるが、特に好発部位としては、脾臓や右心房、あるいは皮下織に多く発生が見られます。
血管肉腫は転移率が高く、転移は多くの臓器に認められているが、主に肝臓と肺に多く起こりやすい。発生年齢では9~10歳の高齢犬によく発生する。また、腫瘍が破裂してお腹の中に出血し、死に至る怖い腫瘍でもあります。
症状としては、腫瘍の場所によっても異なります。もっとも確率の高い脾臓に腫瘍できた場合は、嘔吐・下痢・腹痛といった症状を引き起こします。心臓(主に右心房)に腫瘍ができた場合は、心臓と胸膜に溜まった水のせいで、呼吸困難、咳など心不全の症状全般を引き起こします。
犬の血管腫瘍の原因として考えられるものは、紫外線、後発的な傷、遺伝などが考えられます。
紫外線に関しては、紫外線が細胞内のDNAに当たるとミクロな傷ができ、これが分裂すると、正常ではない細胞が徐々に増えます。血管肉腫は被毛の薄い腿の内側や腹部に、長時間にわたって日光を受けると発症しやすいといわれていることから、紫外線がガンの発生にかかわっていると推測されます。
また、遺伝に関しては、これまでの研究で血管肉腫にかかりやすい犬種がいくつか知られています。その例として、ゴールデン・レトリーバー、ボクサー、ジャーマンシェパードなどがあげられます。
皮膚における孤立性の血管腫瘍の第一選択肢は、外科的な摘出です。広範囲における腫瘍を無事に完全に摘出できれば術後の生活は送ることができます。また、外科的に取りきれない場合は、取り残した腫瘍に放射線を照射することも必要です。
しかし、肝臓・脾臓・心臓に発生した場合は、遠隔転移する可能性が高く予後は極めて悪い。外科的に摘出できる場合は、積極的に行い、化学療法(抗癌剤)による全身治療を併用することが重要です。
予防方法としては、飼い主が日頃から、病気の早期発見を兼ねてマッサージするなどがあげられます。普段からマッサージなどで愛犬に触れる機会があると、いち早く皮膚の病変を見つけることができます。
犬のマッサージなどを参考にしながら、痛がる部位やコリコリした場所がないかどうかなどを注意深く観察しましょう。「怪しい」と思ったらすぐに動物病院につれて行きましょう。