犬のニキビダニ症(毛包虫症)を解説!症状・原因・治療・予防を知る

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ニキビダニ症、または毛包虫症は、犬に発生する一般的な皮膚病の一つで、皮膚に常在しているニキビダニが異常繁殖することによって引き起こされます。

主に若齢犬や免疫系が弱っている犬に見られますが、健康な成犬でも発症することがあります。

今回は、ニキビダニ症の症状、原因、治療法、そして予防策について詳細に解説します。

症状

皮膚の赤みと炎症

ニキビダニによる直接的な刺激と、ダニの排泄物に対する反応から、皮膚が赤くなり、炎症を起こします。特に、犬の顔や前足の付け根に多く見られる症状です。

脱毛

感染した部分の毛が抜けることが多く、これはダニが毛包内で増殖することにより生じます。脱毛は円形または斑状で、皮膚の見た目が特異的になります。

皮膚の厚みの増加と硬化

慢性的な感染の場合、皮膚が厚く硬くなり、これを「象皮症」とも呼びます。これは、長期間の炎症による皮膚の二次的な変化です。

かゆみ

ニキビダニ症が原因でかゆみを伴うこともありますが、他の皮膚病に比べて軽度または無症状のことが多いです。これが、ニキビダニ症の診断を複雑にする要因の一つです。

二次感染

炎症が長引くと、細菌や真菌などの二次感染を引き起こすことがあります。これにより、症状が悪化し、治療がより困難になることがあります。

ニキビダニ症の症状を正しく理解することは、早期発見と適切な治療へとつながります。上記のような症状が見られた場合は、速やかに獣医師に相談し、適切な診断を受けることが重要です。

原因

ニキビダニ症は、デモデックス属のダニによって引き起こされる病気です。これらのダニは通常、犬の皮膚の毛包内に存在し、健康な状態では問題を起こすことはありません。しかし、特定の条件下でダニが過剰に増殖すると、ニキビダニ症が引き起こされます。

発症には、以下のような要因があるとされています。

免疫系の問題

若い犬や免疫系が何らかの理由で弱まっている犬は、ニキビダニ症にかかりやすいです。これは、免疫系によるダニの増殖を抑える能力が低下しているためです。

遺伝的要因

特定の犬種にはニキビダニ症になりやすい遺伝的傾向があるとされています。これは、毛包内の環境がダニの生存に適していることが原因かもしれません。

環境的ストレス

過度のストレスも免疫機能を低下させ、ダニの増殖につながる可能性があります。ストレスの原因としては、生活環境の変化や、他のペットとの関係性などがあります。

その他の疾患

特定の慢性疾患や感染症が免疫系を弱らせることで、ニキビダニ症の発症につながることがあります。特に内分泌系の疾患は、ニキビダニ症と関連が深いとされています。

不適切な皮膚ケア

過剰な洗浄や不適切なシャンプーの使用も、皮膚の自然なバリアを破壊し、ダニの増殖を促進させてしまう可能性があります。

診断方法

ニキビダニ症は、次のような検査によって総合的に診断されます。

臨床症状

詳しい問診や皮膚の症状を観察し、ニキビダニ症である可能性を判断します。

抜毛検査

毛を抜いて、毛根部にニキビダニがいるかを顕微鏡で確認します。

皮膚スクレーピング検査

皮膚の表面を掻爬してサンプルを採取し、顕微鏡下でニキビダニの存在を確認します。

皮膚生検

より詳細な評価が必要な場合や、治療に反応しない場合には、皮膚を小さく切除して皮膚生検が行われることもあります。

その他の検査

ニキビダニ症と似た症状を示す他の病気を除外するため、必要に応じて血液検査やアレルギーテストを行うことがあります。

治療

ニキビダニ症の治療は、感染の重症度と犬の健康状態に応じて異なります。適切な治療法を選択することで、症状の管理と回復を促進させることが可能です。

抗寄生虫薬の投与

治療の主軸は、抗寄生虫薬の使用です。イベルメクチン、ミルベマイシン、またはフルーララネルなどの薬剤が、ダニを殺すために用いられます。これらの薬剤は、経口または皮膚に直接垂らすスポットオンとして投与されます。

外用薬やシャンプー

症状が特定の部位に限定されている場合には、抗ダニ効果のあるシャンプーやクリームを用いた治療が行われることがあります。これにより、感染部位のダニを直接的に取り除くことができます。

免疫支持療法

ニキビダニ症の犬では、基礎となる免疫系の問題を改善するための補助的治療が必要な場合があります。ビタミンやサプリメントの投与がその一例です。

抗生物質と抗炎症薬の使用

二次的な細菌感染が存在する場合、抗生物質が処方されることがあります。また、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が皮膚の炎症を抑えるために用いられることもあります。

経過観察と再評価

治療開始後は、定期的な経過観察が必要です。治療の効果をモニタリングし、必要に応じて治療計画を調整します。完治までには、数ヶ月にわたる治療が必要になることもあります。

治療期間中、飼い主様ができるケアのポイントとしては、定期的な皮膚のチェックや適切なドッグフードによる食事管理、そしてストレスの軽減があります。

また、治療薬の副作用に注意し、何か異変を感じた場合には早急に獣医師に相談することが大切です。

ニキビダニ症の予防と管理

ニキビダニ症の予防と管理は、病気の再発を防ぎ、犬の健康を維持する上で重要です。適切な予防策を講じることで、発症リスクを最小限に抑えることが可能になります。

定期的な健康診断

愛犬を定期的に健康診断に連れて行くことで、早期に病気を発見しやすくなります。これにより、もし発症してしまったとしても初期段階での治療が可能となり、病気の進行を防げます。

適切なスキンケア

犬の皮膚を清潔に保ち、適切なシャンプーを使用することが重要です。過度な洗浄は皮膚を乾燥させ、ダニが繁殖しやすくなるため注意が必要です。

免疫の強化

バランスの取れた食事、定期的な運動、適切な休息によって愛犬の免疫系を強化することが、発症リスクを抑えるために効果的です。

環境管理

犬の生活環境を清潔に保ち、ストレスの少ない環境を整えることが発症予防につながります。また、他の感染症から愛犬を守るため、定期的な予防接種と予防薬の投与も重要です。

飼い主様がニキビダニ症の正しい知識を持つことが予防のためには不可欠です。もしも症状や異変があった際には、すぐに獣医師に相談するようにしましょう。

まとめ

ニキビダニ症は適切な知識と予防によって防ぐことも可能な病気です。日頃から愛犬に異変が見られないか注意深く目を配り、また定期的な健康診断を受けることで、初期の段階で問題を発見しやすくなります。

もしも症状が見られたら、すぐに獣医師に相談し適切な診断と治療を受けましょう。

 

犬の寄生虫の病気一覧

記事監修
動物病院病院 総長 藤野 洋

アニホック往診専門動物病院獣医師 藤野 洋

日本大学生物資源科学部(旧農獣医学部)獣医学科卒業。
卒業後、約20年にわたり動物病院でペットの治療に従事。
2007年(株)フジフィールド創業。動物病院とトリミングサロンのドミナント多店舗展開を行い、複数店舗の開業/運営を果たす。

日本大学生物資源科学部(旧農獣医学部)獣医学科卒業。
卒業後、約20年にわたり動物病院でペットの治療に従事。
2007年(株)フジフィールド創業。動物病院とトリミングサロンのドミナント多店舗展開を行い、複数店舗の開業/運営を果たす。

【エデュワードプレス(旧インターズー)】・トリミングサービス成功事例セミナー講師・トリミングサービス成功ガイド監修・Live trim2018 マネージメントセミナー講師 【メディア】・ラジオ調布FM ペットオーナー向け番組MC・多摩テレビ 「わんにゃんMAP」番組パーソナリティ・j:comジモトピ「世田谷・調布・狛江」出演