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犬の肺動脈狭窄症(はいどうみゃくきょうさくしょう)は、肺動脈の根元が先天的に狭く、血液が心臓内をうまく流れない状態を言います。
軽症の場合は特に日常生活に支障をきたすことはありませんが、そうでない場合は時間とともに病気が悪化し、疲れやすく運動量の低下やふらつき、失神、腹水などの症状がみられることがあります。これらの症状がみられるケースでは同時に成長不良が見られることもあります。
発育に伴って、肺動脈流速が増加する可能性が高い。血流速が5.0m/sec.を超えて6.0m/secに近づくにつれて、突然死の発生が増加します。臨床徴候は見られないとしても、定期的に肺動脈流速の検査が必要です。
好発犬種があることから、遺伝的要素が高いとされています。狭窄により肺への血流量が減少することから、肺全体が発育不全に陥る場合があります。
症状が軽い場合は、定期検査と経過観察が必要です。狭窄が重度の場合は、内科的治療による効果は多くを望めないが、血流速を抑制することを期待して、βブロッカーの投与を行う場合があります。
また、最も必要な処置は、狭窄部位の開放であり、バルーンカテーテルによる弁口拡大術が第一選択になります。この治療により狭窄はなくなりますが、もし拡大術後も血流速が減少しない場合は、βブロッカーを併用します。
予防方法については、先天性の病気であるため現在はありません。定期的に検診をしっかりと受けましょう。