猫の歯肉炎を徹底解説!原因から症状、治療、予防まで

猫は非常に独立性が高く、飼い主とのコミュニケーション方法も独特です。そのため、健康状態に何らかの変化があっても、すぐに気づかないケースが少なくありません。中でも歯肉炎は猫が抱える問題の一つで、放置してしまうと重症化してしまう可能性があります。

歯肉炎は猫において比較的多く見られる口腔内の疾患です。初期段階では特に症状が出にくく、飼い主が気づくころには進行してしまっていることも多いのです。そこでこの記事では、猫の歯肉炎について詳しく解説します。原因から症状、治療方法まで、猫の歯肉炎について知っておくべき全てをまとめました。

歯肉炎の原因について


歯肉炎は多くのペット、特に猫にとって、一般的な問題です。この節では、猫における歯肉炎の原因について詳しく見ていきましょう。

原因1:細菌感染
歯肉炎の最も一般的な原因は細菌感染です。口腔内には多種多様な細菌が存在し、これらが歯や歯肉に付着して繁殖することで炎症を引き起こします。

原因2:ウイルス感染
ウイルスも歯肉炎の原因となる場合があります。特に猫カリシウイルス(FCV)や猫白血病ウイルス(FeLV)、猫免疫不全ウイルス(FIV)などが該当します。これらのウイルスは口腔内に炎症を引き起こす可能性があり、その結果として歯肉炎が発生します。

原因3:食生活の乱れ
高糖質や高脂肪の食事は、口腔内の細菌が繁殖しやすい環境を作り出します。また、硬い食物を与えずに柔らかい食物ばかりを与えると、歯石が溜まりやすくなります。

原因4:口腔内の機械的な刺激
猫が何らかの原因で口を怪我した場合や、不適切な口腔ケア製品を使用した場合にも、歯肉炎を引き起こす可能性があります。

原因5:その他の健康状態
糖尿病や腎臓病、ホルモンの乱れなど、体全体の健康状態も歯肉炎に影響を与えます。これらの疾患は、体の免疫力を下げたり、口腔内の環境を変化させたりすることで、歯肉炎のリスクを高めます。

以上のように、歯肉炎の原因は多岐にわたります。ウイルス感染による歯肉炎は特に注意が必要で、定期的な獣医師の診察と適切な予防措置が求められます。症状が出た場合は、できるだけ早く獣医師に相談しましょう。

猫の歯肉炎の症状


歯肉炎は猫にとって非常に厄介な問題であり、早期発見がその後の治療と回復に大いに影響します。以下に、歯肉炎でよく見られる症状について詳しく解説します。

症状1:歯肉の赤みと腫れ
歯肉炎の最も一般的な症状の一つが歯肉の赤みと腫れです。正常な状態ではピンク色であるべき歯肉が赤く、また触れたときに硬く感じる場合、歯肉炎の可能性が高いです。

症状2:口臭
猫が口臭を放つ場合、それは口腔内に問題がある可能性を示しています。歯肉炎は、細菌が歯肉や歯間に滞留して口臭を引き起こすことが多いのです。

症状3:食事の拒否や食べにくさ
歯肉が痛むと、食事をするのが困難になります。食べ物に対する興味喪失や、食べ始めて途中で止める行動が見られた場合、歯肉炎が進行している可能性があります。

症状4:出血
進行した歯肉炎では、歯ブラシや食事の際に歯肉から出血することがあります。特に、硬い食べ物を咀嚼した後や歯磨きをした後に出血が見られる場合、すぐに獣医師に相談することが重要です。

症状5:一般的な健康状態の低下
歯肉炎が進行すると、猫全体の健康状態にも影響を与えます。具体的には、元気がなくなる、体重が減少する、毛並みが乱れるなどが見られます。

これらの症状は、歯肉炎が進行している可能性が高いと考えられます。特に複数の症状が同時に見られる場合は、獣医師にすぐに相談することが求められます。早期発見と適切な治療が、猫の快適な生活を取り戻す鍵となるでしょう。

猫の歯肉炎の検査


歯肉炎が疑われる場合、正確な診断と効果的な治療のためには適切な検査が必要です。以下で、歯肉炎の診断において一般的に行われる検査について詳しく解説します。

口腔内の視診
最初のステップは、獣医師が猫の口腔内を直接観察することです。これによって、歯肉の赤み、腫れ、歯石の有無など基本的な情報を得ることができます。

X線検査
歯の根元や顎の骨に問題がないかを調べるため、X線検査が行われることがあります。特に、歯肉炎が進行している場合は、根元の骨が溶けてしまっている可能性もあります。

血液検査
全身の健康状態や炎症の程度を確認するために、血液検査が行われる場合もあります。特に、高齢の猫や他の疾患が疑われる場合は、この検査が重要となります。

細菌培養
歯肉から採取したサンプルを用いて、どのような細菌が繁殖しているのかを調査します。これによって、最も効果的な抗生物質の選定が可能となります。

猫の歯肉炎の治療


猫の歯肉炎が確認された場合、早急な治療が必要です。ただし、治療方法は猫の症状や全身状態、検査結果によって異なる場合があります。以下で、一般的な治療アプローチについて詳しく説明します。

治療1:スケーリングとポリッシング
歯石の除去は歯肉炎治療の基本です。スケーリングでは、専用の器具を用いて歯石を除去します。その後、ポリッシングで歯面を滑らかにし、新たな歯石の付着を防ぎます。

治療2:抗生物質の投与
歯肉炎はしばしば細菌感染が関与しています。そのため、抗生物質が処方されることがよくあります。細菌培養の結果に基づいて、最も適切な抗生物質が選ばれます。

治療3:抗炎症薬と痛み止め
歯肉の炎症と痛みを抑制するために、抗炎症薬や痛み止めが用いられることがあります。これにより、猫が食事を取る際の不快感を減らし、栄養状態を改善することが期待されます。

治療4:歯の抜歯
重度の歯肉炎や歯周病が進行している場合、影響を受けた歯を抜歯する必要があります。これは、炎症を拡大させないため、またはすでに広がっている炎症を抑えるための措置です。

治療5:ホームケア
治療が完了した後も、定期的な口腔ケアが必要です。専用の歯ブラシや歯磨きジェル、デンタルケアフードなどを使用して、日々のケアを行います。

これらの治療方法は、猫の症状や全身状態に応じて選択され、多くの場合、複数のアプローチが組み合わされます。最終的な治療計画は、獣医師の診断と検査結果に基づいて決定されるため、まずは詳しい診察を受けることが重要です。早期発見と適切な治療が、猫の歯肉炎を効果的にコントロールする鍵となります。

まとめ


猫の歯肉炎は放置すると深刻な問題に発展する可能性があります。しかし、しっかりとした知識と対策があれば、そのリスクは大きく減らすことができます。この記事で紹介した方法を参考に、愛猫の健康をしっかりと守りましょう。

記事監修
動物病院病院 総長 藤野 洋

アニホック往診専門動物病院獣医師 藤野 洋

日本大学生物資源科学部(旧農獣医学部)獣医学科卒業。
卒業後、約20年にわたり動物病院でペットの治療に従事。
2007年(株)フジフィールド創業。動物病院とトリミングサロンのドミナント多店舗展開を行い、複数店舗の開業/運営を果たす。

日本大学生物資源科学部(旧農獣医学部)獣医学科卒業。
卒業後、約20年にわたり動物病院でペットの治療に従事。
2007年(株)フジフィールド創業。動物病院とトリミングサロンのドミナント多店舗展開を行い、複数店舗の開業/運営を果たす。

【エデュワードプレス(旧インターズー)】・トリミングサービス成功事例セミナー講師・トリミングサービス成功ガイド監修・Live trim2018 マネージメントセミナー講師 【メディア】・ラジオ調布FM ペットオーナー向け番組MC・多摩テレビ 「わんにゃんMAP」番組パーソナリティ・j:comジモトピ「世田谷・調布・狛江」出演