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腎不全(じんふぜん)は、急性腎不全と慢性腎不全に大別されます。腎臓は尿を作る大切な部位です。犬は尿を通じて毒素を体の外に排泄しますが、その腎臓に異常が生じるのが腎不全です。同じ腎不全という名称がついていますが、症状や原因は異なる病気です。そのため以下では、それぞれを個別に説明していきます。
急性腎不全では、尿の量が急激に減少します。ときには尿が全く出なくなることもあります。その他には、食欲減退、嘔吐、下痢、元気がなくなるなどの症状が表れます。これらの症状は飼い主がすぐに気が付くほど急激に表れます。
慢性腎不全は、初期症状としては外観からはほとんど何も判別できません。
急性腎不全は、大きく3種類に分けられます。「腎前性腎不全」「腎性腎不全」「腎後性腎不全」の3つです。
腎前性腎不全では、腎臓自体は正常に稼働しています。ところが、腎臓に流れ込んでくる血流が悪化します。脱水症状や心拍の低下によって、血流が悪化することで発症します。
腎性腎不全は、腎臓自体に以上が生じた場合に発症します。
腎後性腎不全では、腎臓自体は正常に稼働しています。しかし、腎臓で生成された尿を排泄する経路が、結石や腫瘍などで塞がれてしまうことで発症します。具体的には、尿道結石や膀胱結石などが原因となります。
また、腎臓に悪影響を及ぼす、腎毒性物質というものがあります。この腎毒性物質を誤って摂取してしまうと、急性腎不全が引き起こされる場合があるため注意が必要です。具体的には、果物の「ブドウ」や保冷材の中に入っている「不凍液」が該当します。どちらも甘い匂いがするので、犬は口にしたいと感じてしまいますが、絶対に与えてはいけません。その他にも腎毒性物質は存在するため、愛犬が口にしそうなものの成分は、日頃から気を付けるようにしましょう。
慢性腎不全は、尿の濾過を行っているネフロンという機能が徐々に破壊されていき、慢性的に腎不全に陥る病気です。急性腎不全と比較しても、病状は数か月から数年かけてゆっくりと進行していくことが多いです。元々存在していた腎臓全体の75%以上の機能が低下してようやく、慢性腎不全としての異常が表れるようになることも多いです。
急性の場合は命に関わることもあるため、、至急治療が必要です。「腎前性腎不全」「腎性腎不全」「腎後性腎不全」のいずれの場合でも、その原因となっている病気の治療を行います。
予防方法としては、腎毒性物質を愛犬の近くに置かないことが重要です。また、日頃から尿の量や回数をチェックする習慣を付けましょう。
慢性腎不全は、すでに腎臓の大半の機能が失われているため、元に戻すことはできません。そのため、さらなる機能低下を抑えることが治療の目的となります。食事や点滴やホルモン剤の投与などの治療を施していきます。
予防方法としては、急性腎不全と同様に、日頃から尿の量や回数をチェックする習慣を付けるようにしましょう。また定期的に動物病院で検査を受けるようにして、仮に腎不全に罹ってしまった場合でも早期発見・早期治療できるようにしましょう。