作成日: 更新日:
目次
犬の天疱瘡(てんぽうそう)は、皮膚の表皮と粘膜上皮をくっつける「デスモグレイン」というたんぱく質を、なんらかの原因で免疫系統が異物とみなしてしまい、自ら攻撃してしまうことで発症する皮膚病です。
症状としては、健康な皮膚にさまざまな大きさの水ぶくれができます。皮膚と粘膜に大きなびらんをつくる尋常性天疱瘡と、小さな水泡ができて落ち葉のように皮膚がはがれ落ちる落葉状天疱瘡があります。
尋常性では口の中や目の周囲の粘膜に症状があらわれますが、落葉状では粘膜は侵されず、鼻や耳に症状がみられることが多いと言われています。
病状が重くなるとかさぶたや脱毛が発生します。かゆみはあまりないようですが、かさぶたがはがれるとその部位が化膿して痛みを伴うことがあります。紫外線が関係しているとも言われていて、白い毛の犬に比較的多いようです。
天疱瘡の原因は、「デスモグレイン」を攻撃してしまうことによって発生するのですが、それ以上の原因はいまだにはっきりとはわかっていません。
しかし、天疱瘡には先天性のものと後天性のものとがあります。先天性の天疱瘡の原因はなんらかの遺伝要素がかかわっていると考えられています。後天性の天疱瘡には2種類あり、紫外線によるものと継続的な薬物投与によるものです。
犬の天疱瘡の治療方法としては、まず抗生物質で細菌感染に対する治療を行います。そして、ステロイドや免疫抑制剤の投与を行います。残念なことに治療は長期間にわたることがほとんどであり、生涯にわたって投薬治療が続くことも少なくありません。
予防としては、紫外線をなるべく避けることが大切だと考えられます。また、発症してしまうと長期間にわたってしまうので、初期症状を見逃さずに早期発見できるように心がけましょう。