犬のノミアレルギー性皮膚炎を解説!症状・原因・治療・予防を知る

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犬のノミアレルギー性皮膚炎とは?

犬のノミアレルギー性皮膚炎は、犬がノミに刺された際に発生するアレルギー反応によって引き起こされる皮膚炎の一種です。どんな犬でも起こりうる疾患ですが、特にアレルギー反応を起こしやすい犬種や、免疫力が低下している犬にとっては重大な問題となります。

ノミアレルギー性皮膚炎は、発症すると激しいかゆみや皮膚の炎症を引き起こし、場合によっては二次感染を引き起こすこともあり、犬の生活の質を大きく損なう可能性があります。
そのため、早期の発見と適切な治療が重要です。また、予防策を講じることで、ノミによる被害を最小限に抑えることができます。

この記事では、ノミアレルギー性皮膚炎の症状や原因、診断方法、治療法、そして予防策について詳しく解説します。

ノミアレルギー性皮膚炎の症状

<主な症状>

ノミアレルギー性皮膚炎の主な症状としては、以下のようなものがあります。

・激しいかゆみ:特に腰や尾の付け根、背中、腹部などに集中します。このかゆみは局所的なものから全身に広がることがあります。

・赤みや発疹:刺された部分に赤い斑点や小さな発疹が現れます。

・脱毛:犬が頻繁にかきむしるため、毛が抜け落ちることがあります。

・皮膚肥厚:慢性的なかゆみと炎症により、皮膚が厚くなることがあります。

・かさぶたや膿:二次感染が発生すると、かさぶたや膿が見られることがあります。

これらの症状は犬にとって非常に不快で、日常生活に支障をきたすことがあります。そのため、早期に症状を発見し、適切な対応を行うことが重要です。

<症状の進行>

初期段階では、ノミの刺し傷が小さな赤い斑点として現れます。しかし、犬がかゆみを感じて頻繁にかくと、症状は急速に悪化します。以下は、症状の進行過程です。

初期段階:

小さな赤い斑点や発疹が現れる。
犬がかゆみを感じてかきむしり始める。

中期段階:

かゆみが強くなり、犬が頻繁にかきむしる。
発疹が広がり、皮膚が赤くなる。
脱毛が始まり、かきむしった部分の毛が抜ける。

後期段階:

皮膚が厚くなり、黒ずむことがある。
かさぶたや膿が見られ、二次感染のリスクが高まる。
全身にかゆみが広がり、犬が落ち着きをなくす。

ノミアレルギー性皮膚炎は早期に治療を開始することで、症状の進行を食い止めることができます。適切な治療が行われない場合、犬の生活の質が著しく低下し、さらなる健康問題を引き起こす可能性があるため注意が必要です。

ノミアレルギー性皮膚炎の原因

ノミは、犬の皮膚に寄生する小さな外部寄生虫で、犬の血液を吸うことで生きています。一般的に見られる犬ノミ(Ctenocephalides canis)や猫ノミ(Ctenocephalides felis)は、世界中に広く分布しており、犬だけでなく他の動物や人間にも影響を与えることがあります。ノミは非常に小さく、成虫は1-3ミリメートル程度の大きさです。ノミは跳躍力が強く、一度寄生すると迅速に繁殖し、環境中に卵を産み落とします。

ノミの生態は複雑で、卵、幼虫、蛹、成虫の4段階のライフサイクルを持ちます。
卵は犬の被毛や環境中に産み落とされ、卵から孵った幼虫は周囲のゴミや食べ残し、成虫のフンなどの有機物を食べながら成長します。
蛹の段階を経て成虫になると、血液を吸い始めます。環境中のノミを完全に除去することは難しく、再発がよく見られるのはこのためです。

<ノミに対するアレルギー反応のメカニズム>

ノミアレルギー性皮膚炎は、ノミの唾液に含まれる特定のタンパク質に対する犬の過剰な免疫反応が原因で発生します。ノミが犬の皮膚を刺して血を吸う際、唾液中の抗凝固剤が体内に注入されます。この抗凝固剤に対して、犬の免疫系が過敏に反応することで、アレルギー反応が引き起こされます。
このアレルギー反応は、免疫系が異物(この場合はノミの唾液中のタンパク質)を攻撃することで生じます。反応の結果、皮膚に炎症が起こり、かゆみや赤み、発疹といった症状が現れます。
アレルギー反応の度合いは個体差があり、ある犬では軽度のかゆみだけで済むこともあれば、別の犬では激しいかゆみと広範な皮膚炎を引き起こすこともあります。

また、ノミによる刺咬が続くと、犬の皮膚は慢性的な炎症状態に陥り、症状がさらに悪化することがあります。このため、早期の治療と環境対策が重要です。
ノミを駆除するだけでなく、犬の免疫反応を抑える治療が必要になることもあります。

ノミアレルギー性皮膚炎の診断

ノミアレルギー性皮膚炎の診断は、いくつかのステップを経て行われます。
最初に飼い主様への問診を行い、犬の行動や症状の詳細、いつから症状が始まったか、どのような環境にいるかを詳しくお聞きします。

次に獣医師は犬の全身を詳しくチェックし、ノミの存在や刺し傷、皮膚の状態を確認します。
また、スクラッチテスト(皮膚を擦ってサンプルを採取する方法)やテープテスト(粘着テープを皮膚に貼ってサンプルを採取する方法)を行い、顕微鏡でノミの卵や幼虫を確認します。
その他にも、皮膚の一部を掻き取って顕微鏡検査を行い、二次感染や他の皮膚疾患を除外します。さらに、血液検査を行うことで、犬の免疫反応やアレルギー反応の程度を確認することもあります。
この検査では特定のアレルゲンに対するIgE抗体の量を測定することで、ノミアレルギーの診断に役立ちます。

獣医師は、これらの検査を行い、症状と検査結果を総合的に判断してノミアレルギー性皮膚炎の診断を行います。
重要なのは、ノミの存在を確認するだけでなく、他の皮膚疾患やアレルギー反応を除外することです。例えば、食物アレルギーや環境アレルギーも同様の症状を引き起こすことがあるため、これらを慎重に除外する必要があります。

また、診断の一環として、飼い主様には犬の生活環境やケア方法についても詳細なヒアリングを行います。これは、ノミの再感染を防ぐための環境改善や予防策を提案するために重要です。診断が確定した後は、適切な治療プランを立てることが求められます。

ノミアレルギー性皮膚炎の治療

<治療の基本方針>

ノミアレルギー性皮膚炎の治療は、犬の症状を緩和し、ノミの駆除と再発防止を目的とした総合的なアプローチが求められます。治療の基本方針は以下の3つに分けられます。

①ノミの駆除

ノミの駆除には、様々な薬剤が使用されます。これらは、ノミのライフサイクルを断ち切り、再感染を防ぐ効果があります。以下は、一般的に使用される薬剤です。

・スポットオンタイプ

犬の首筋に液体を滴下するタイプの薬剤で、1ヶ月程度の効果が持続します。
例:フィプロニル(フロントライン)、イミダクロプリド(アドバンテージ)

・経口薬
錠剤やチュアブルタイプの薬剤で、ノミが犬の血液を吸うと薬剤が作用しノミを殺します。
例:ネサーランタニブ(クレデリオ)、アフィキソラナ(ネクスガード)

・スプレータイプ
犬の被毛全体にスプレーすることで、即効性があります。
例:フィプロニルスプレー

②かゆみと炎症の管理

かゆみや炎症を緩和するために、以下の薬剤が使用されます。

・抗ヒスタミン剤
かゆみを軽減し、犬が皮膚を掻くのを防ぎます。
例:ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミン

・コルチコステロイド
強力な抗炎症作用があり、急性の症状を迅速に緩和します。
例:プレドニゾロン、デキサメタゾン

・免疫抑制剤
長期的な管理が必要な場合に使用され、免疫反応を抑制します。
例:シクロスポリン(アトピカ)

③環境対策

ノミの駆除は犬の体だけでなく、生活環境全体に対しても行う必要があります。具体的には、以下の対策が推奨されます。

・家庭内の掃除
床やカーペット、家具などを定期的に掃除機で清掃します。
ノミの卵や幼虫が残らないようにすることが重要です。

・環境用の殺虫剤の使用
ノミの成虫、幼虫、卵を駆除するためのスプレーや霧状の殺虫剤を使用します。
特に犬がよく過ごす場所に重点を置きます。

・洗濯
犬のベッドや毛布、タオルなどを高温で洗濯します。
定期的な洗濯が再感染の予防に役立ちます。

<長期的な管理>

ノミアレルギー性皮膚炎は慢性的な問題となることが多く、長期的な管理が必要となるため、以下の点を継続的に実施します。

・定期的な診察
定期的に獣医師に診てもらい、症状の進行や治療の効果を確認します。

・予防薬の継続使用
ノミの再感染を防ぐため、予防薬を継続して使用します。

・環境の定期的な清掃
家庭内の清掃を習慣化し、ノミが繁殖しない環境を維持します。

ノミアレルギー性皮膚炎の予防

ノミアレルギー性皮膚炎を予防することは、犬の健康と生活の質を守るために非常に重要です。予防策を講じることで、ノミの寄生を防ぎ、アレルギー反応やその結果としての皮膚炎を避けることができます。
また、ノミの寄生は再発しやすいため、以下のような方法で継続的な予防を行うことが不可欠です。

<予防薬の使用>

ノミの寄生を防ぐためには、定期的に予防薬を使用することが効果的です。予防には以下のような製品を使用することが推奨されます。

・スポットオンタイプの薬剤
月に一度の使用で、効果が持続します。犬の首筋に滴下するだけで簡単に適用できます。
例:フィプロニル(フロントライン)、イミダクロプリド(アドバンテージ)

・経口薬
錠剤やチュアブルタイプの薬剤で、ノミが犬の血液を吸うと効果を発揮します。月に一度の投与が一般的です。
例:ネサーランタニブ(クレデリオ)、アフィキソラナ(ネクスガード)

<生活環境の整備>

ノミの繁殖を防ぐためには、犬が生活する環境を清潔に保つことも重要です。
家の中を定期的に掃除機で清掃し、特に犬がよく過ごす場所を重点的に行い、ノミの卵や幼虫が残らないようにします。
さらに、家庭用のスプレーや霧状の殺虫剤を使用して、ノミの成虫、幼虫、卵を駆除することも有効です。犬のベッドやカーペット、家具の隙間など、ノミが潜みやすい場所に使用します。
他にも、犬のベッドや毛布、タオルを定期的に高温で洗濯することで、ノミの卵や幼虫を取り除くことができます。
庭や家の周囲の環境も清潔に保ちましょう。特に、芝生などがある場合には草刈りを定期的に行い、ノミが生息しにくい環境を整えるといいでしょう。

まとめ

犬のノミアレルギー性皮膚炎は、多くの犬が発症する可能性のある皮膚炎です。この病気は、ノミの寄生によって引き起こされ、激しいかゆみや炎症、脱毛などの症状によって愛犬の生活の質を大きく損なうことがあります。
ノミアレルギー性皮膚炎は早期の発見と治療が鍵となります。愛犬がかゆみや皮膚の異常を示した場合は、早めに獣医師に相談してください。
また、日常的な予防策を講じることで、ノミの寄生を防ぎ、愛犬の健康を守ることができます。継続した予防薬の使用や日頃のケアを心がけ、愛犬と共に健康で快適な生活を送りましょう。

犬の皮膚の病気一覧

記事監修
動物病院病院 総長 藤野 洋

アニホック往診専門動物病院獣医師 藤野 洋

日本大学生物資源科学部(旧農獣医学部)獣医学科卒業。
卒業後、約20年にわたり動物病院でペットの治療に従事。
2007年(株)フジフィールド創業。動物病院とトリミングサロンのドミナント多店舗展開を行い、複数店舗の開業/運営を果たす。

日本大学生物資源科学部(旧農獣医学部)獣医学科卒業。
卒業後、約20年にわたり動物病院でペットの治療に従事。
2007年(株)フジフィールド創業。動物病院とトリミングサロンのドミナント多店舗展開を行い、複数店舗の開業/運営を果たす。

【エデュワードプレス(旧インターズー)】・トリミングサービス成功事例セミナー講師・トリミングサービス成功ガイド監修・Live trim2018 マネージメントセミナー講師 【メディア】・ラジオ調布FM ペットオーナー向け番組MC・多摩テレビ 「わんにゃんMAP」番組パーソナリティ・j:comジモトピ「世田谷・調布・狛江」出演