作成日: 更新日:
目次
犬のリンパ腫は、リンパ球が腫瘍化する病気です。体のどの部位のリンパが腫瘍化するかによって、症状が異なります。
最も多い「多中心型リンパ腫」では、下あごや腋の下、股の内側、膝の裏など、体表のリンパ節が何箇所も腫れます。元気がなくなる、食欲が低下するといった症状が見られることもあります。
症状が進むにつれて、運動不耐性(運動をしたがらないこと)や食欲不振、嘔吐や下痢が見られるようになります、末期では体が痩せていき、免疫力も低下し、肺炎や膀胱炎など、様々な感染症にかかりやすくなります。
その他に、胃、小腸、大腸に発生する「消化器型リンパ腫」や、胸の中のリンパ節が腫れる「縦隔型リンパ腫」、皮膚に発生する「皮膚型リンパ腫」などがあります。
リンパ腫はその重症度によって、ステージ1からステージ5に分類されます。ステージ5に近づくにつれて症状が悪化していきます。
原因はいまだに明らかにされていませんが、遺伝的な要素が関与しているといわれています。
悪性のリンパ腫は全身性の病気であるため、外科治療は一般的ではありません。治療としては、抗がん剤による化学療法がメインとなります。およそ8割の犬に関しては、リンパ節の腫れが引くといいます。ただし化学療法を受けた犬の、2年後生存率は約25%です。
しかし化学療法の目的は、あくまでも犬のQOL(生活の質)を維持することであり、病気を治癒することではありません。完治しない場合でも、1年程度は長く生きられることもあります。犬の1年は人間の5年に相当するといわれているので大きな違いです。
また放射線治療が選択されることもあります。化学療法に反応しない腫瘍や縦隔にできた大きな腫瘍、もしくは孤立性の皮膚病変に対して行われます。
次に予防方法ですが、今のところ予防方法は発見されていません。早期発見・早期治療が何より大切です。発症しやすいといわれる犬種を飼っている場合は、日頃からあごやわきの下、足のつけ根などのリンパ節を含め、全身の皮膚に腫れやしこりがないか、愛犬のボディチェックを行いましょう。