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犬のフィラリア症についてなんとなくは知っていても、具体的にどのよう予防や治療をしていけばいいかというのはなかなかわかりにくいですよね。
ここでは犬のフィラリア症について基礎知識や予防などをご紹介していきます!
目次
フィラリア症は、犬糸状虫症(いぬしじょうちゅうしょう)とも呼ばれます。寄生虫の一種である犬糸状虫(いぬしじょうちゅう)と呼ばれる線虫が、肺動脈や心臓に寄生することで、犬の体調が悪化していきます。
初期には、外観にはあまり変化はありません。悪化していくと、徐々に何度も咳が出るようになったり、お腹が水が溜まり膨れるといった症状が表れるようになります。ここで発症に気づくことが多くなります。運動時に失神することもあります。
急性のフィラリア症だと、苦しそうに呼吸することもあります。重症の場合は、肝臓や腎臓などの主要な臓器に重度な障害を及ぼしたり、フィラリアの成虫が心臓内で絡まることで右心不全などの症状も表れます。
フィラリア症は、蚊を媒介にして感染します。媒介する蚊の種類は、アカイエカ、トウゴウヤブカなど10種類以上います。
体内に子虫であるミクロフィラリアを持つ犬から血を吸った蚊が、別の犬の血を吸う際に体内にミクロフィラリアが入り込みます。このミクロフィラリアが成虫になり、さらにミクロフィラリアを生み出し、それを蚊が吸い…というサイクルを経て感染が広がっていきます。
(1)すでに感染した犬の体内にミクロフィラリアがいる
(2)その犬から蚊が血を吸うことで、蚊の体内にミクロフィラリアが入り込む
(3)蚊の体内で、ミクロフィラリアが成長する
(4)その蚊が別の犬の血を吸い、蚊から犬の体内へとミクロフィラリアが入り込む
(5)そのミクロフィラリアが、犬の体内で成虫のフィラリアになる
蚊がいる場所では、フィラリアへの感染の可能性が高まります。
夏場は蚊を避けられないため、予防していないと感染する確率は高まります。また川沿いなどは蚊が多いため、その分感染の可能性が高まります。散歩するときは気をつけましょう。
結論から言うと、基本的に「完治する」ということはありません。
成虫の駆除は高確率で成功するようになってきてはいますが、症状が現れた時点で投薬によって成虫の駆除が終わってもフィラリアによって傷つけられた肺や心臓などのダメージは消えることはないのです。
勿論、必ず治りきらないというわけではありません。感染してから治療が始まった時期によっては、完治に近い状態まで治療や治癒ができる可能性もあります。
ですが、フィラリアによる症状から起きた生涯は「不可逆的」なものなので、基本的には完治はできないということを念頭に入れておきましょう。
フィラリア症(またはフィラリア感染症)とは、フィラリアの成虫が心臓の右心室にある肺静脈に寄生し、血液の巡りを妨げて機能障害を起こす病気です。
なので、「フィラリアに効く薬」とは、フィラリア症によって引き起こされる症状自体の緩和や治療が行える薬というものではなく、フィラリア自体を駆除する作用のある薬を指します。要するに駆虫薬です。
また、この薬には予防薬と呼ばれるものもありますが、フィラリアの感染幼虫を体内に侵入させないためのものだけでなく、体内に侵入した幼虫を殺すための効果がある薬です。そのため、定期的に投与する必要があります。
この薬にはいくつか種類があり、内服薬、塗布薬(体に滴下するスポットタイプ)、注射薬の三種類があります。
その中でもよく使用されているのは「内服薬」です。
内服薬は月に1回の投与を行うことで皮膚の下に潜んでいるフィラリアを駆除する薬で、形状を大きく分けて「錠剤タイプ」「顆粒タイプ」「チュアブルタイプ」「ゼリータイプ」の4種類があります。
錠剤や顆粒タイプは通常の薬と同じように薬だけを飲み込ませることができ、チュアブルタイプは牛肉を素材に使用するなどして嗜好性を高める工夫をすることで、簡単に食べさせることができます。
内服薬の注意点は極まれに飼い主の見ていないところで吐き出してしまうことなので、投薬後はしばらく様子を見てあげるようにしましょう。吐き出してしまうと、もちろんですが予防の効果が見込めません。
また、最近では犬フィラリア以外にノミやダニも一緒に駆除できる薬や、ジャーキータイプで嗜好性の高い内服薬、1ヵ月効果が持続するスポットタイプ、1年間効果が持続する注射薬など、様々な薬の開発が進み、バリエーションも豊かになっています。
それぞれのタイプには利点と不利点もあるので、愛犬の好みや投薬に併せてかかりつけの獣医師に詳しい相談をしながら良い方法を選択するようにしましょう。
フィラリア予防薬は「要指示薬(ようしじやく)」といい、獣医の処方箋がないと手に入れられないため、動物病院でしか買うことができない薬です。
近年では海外から安く手に入れるために個人輸入をする方もいるようですが、副作用で愛犬の容態急変を引き起こす恐れもあるため、お勧めすることはできません。
また、前述していますが、フィラリアは基本的に完治しない「不可逆的」な症状の病気なので、薬で治すというよりは薬でフィラリアにかからないように病気予防をするという考えの方が自分や愛犬のためにも良いといえます。
購入の際はかかりつけの動物病院に相談をするようにしましょう。
いずれの薬でも、皮膚の下や筋肉、脂肪で生活している時期の犬フィラリアの幼虫を駆除するものなので、投与の時期は決まっています。
蚊が居なくなったからといって投与をやめるとタイミングではないので、十分注意しましょう。
投与を始める時期→蚊が飛ぶようになってから1ヵ月後
投与を終える時期→蚊がいなくなってから1ヵ月
温かい地域の場合は投与期間が長く、寒い地域では逆に短くなるので、自分が住んでいる地域の気候に合わせた機関で投与する必要があります。
最後の一か月の投薬までしっかり行って駆虫をしないと、次の年に犬フィラリアが成虫になっており、心臓や肺動脈に寄生しているということになりかねません。注射薬であれば、この期間は効果が持続しなければなりません。
なお、指定された日に予防薬を投与し忘れた場合、数日程度であれば問題はありませんが、なるべくすぐに飲ませるようにし、半月ずれてしまった場合には、かかりつけの獣医師さんに相談するようにしましょう。
また、レジャーや散歩などで行く自然の多い場所では、投薬だけでなく、虫よけスプレーを使用することで媒体の蚊がなるべく近寄らないようにしてあげるなどのちょっとした気配りでできる予防方法もあります。
しかし、薬には副作用のある種類もあるので、肝臓を労わるためにサプリメントなども与えるごはんに混ぜてあげるなど、愛犬に合ったケアをしてあげると良いでしょう。(サプリメントは通販などで購入が可能です。)
いかがでしたでしょうか。
「寄生虫」と聞いても現実味がそこまでありませんが、犬のフィラリア症は以外と身近にあり、危険性も強い病気です。
この記事を通してその危険性や予防の大切さを伝えることができたのなら幸いですが、更にフィラリア症予防に対する意識を深め、予防を受けることに強く意識を持っていただけたのなら本懐だといえます。
大切な愛犬のためにも、フィラリア症の予防はしっかりと受けるようにしましょう。