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犬の膣脱(ちつだつ)とは、膣の一部が外陰部といわれるメス犬が尿をする付近から体の外に飛び出してしまう病気のことです。
主な症状として飛び出してしまった膣を犬がしきりに舐めたり、噛むことで傷つけてしまう他、尿道が押しつぶされるので尿が出なくなり、膀胱炎を招いてしまうリスクがあります。
また、膣脱には種類があり、膣脱の中でも比較的軽度なもので、完全に飛び出してはいないものの膣の底が裏返り、飛び出そうとしている状態を膣底反転(ちつぞこはんてん)、膣の一部が舌のような形をして外陰部から突出している状態を舌状脱出(ぜつじょうだっしゅつ)、膣が完全に外陰部から出てしまい、下の状態を通り越しドーナツのように丸みを帯びて出てきてしまってる場外をドーナツ型といいます。
膣脱の7~8割は発情前期から発情期にかけて、10%は分娩時に発症しますが、これは発情によって体内の女性ホルモン(エストロゲン)バランスが崩れ、膣の内壁を異常に分厚くしてしまう過形成が生じる為だと考えられています。
また、3歳未満の大型犬に多く発症例が見られ、具体的な犬種に、ブルドッグ、セントバーナード、ラブラドールレトリバー、チェサピークベイレトリバー、ジャーマンシェパード、エアデールテリア、マスティフ、ボクサーなどが挙げられます。
治療法は、保存療法として症状が悪化しないように処置がとられます。
発情期が収まると自然に膣が元に戻ることもある為、しばらくは様子を見ることになりますが、膣は傷つきやすいので粘膜が乾燥しないように保湿して保護します。
具体的に無菌潤滑剤で濡らして清潔に保ち、犬が自分自身の股間を舐めてしまわないよう、エリザベスカラーやおむつを装着するなどの対策がされます。
予防策は、ホルモンバランスの乱れが膣脱を起こすメカニズムに繋がるか解明されていない為、予防が難しいですが、食生活の乱れやストレス、運動不足などの不規則な生活がホルモンバランスを崩す原因になる可能性もあることを考慮し、生活環境を整え、特に発情期には注意して観察することが必要となります。
また、飛び出したものが膣や腫瘍か、子宮なのか判断がつきにくいので、必ず動物病院に受診してください。