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犬の胃炎(いえん)とは、胃の粘膜に炎症が起きることで下痢や嘔吐などの様々な症状を引き起こす病気です。
犬の胃炎には発症から数日以内のものを「急性胃炎(きゅうせいいえん)」、数週間以上続く症状のものを「慢性胃炎(まんせいいえん)」と呼びます。
急性胃炎の主な症状については、よだれを頻繁に垂らすようになる、嘔吐や下痢、食欲不振、元気消失、腹痛、お腹がキュルキュル鳴る、酷くなると嘔吐に血が混じることや、血便などが見られるようになる他、激しい吐き気のために脱水症状を引き起こしてしまうこともあります。
特に子犬の場合は症状の悪化も早く、急性胃炎でも食欲の低下により低血糖や脱水を起こして命を落としかねないので、下痢や嘔吐が続く場合はすぐに動物病院に連れていき必要な治療を受けるようにしましょう。
犬の急性胃炎についてはいくつかの原因が考えられます。
細菌(カンピロバクターやサルモネラ菌など)、ウイルス(コロナウイルスやパルボウイルスなど)、寄生虫(回虫やトリコマナスなど)、環境や食事内容などの急激な変化によるストレス、非ステロイド性抗炎症剤などの薬物、犬が中毒を起こす植物などへの接触や農薬や殺菌剤、ごみや異物、腐った食べ物や水などの誤飲誤食などが挙げられ、各症状によって検査を受けることができます。
主な治療法として、輸液療法(皮下点滴など)、制酸剤(胃酸の分泌を抑制する効果のある薬)、消化管運動促進剤や消化管運動抑制剤、抗生剤、制吐剤、下痢止め剤(止瀉薬)、消化管保護剤、プロバイオティクス(乳酸菌など)、駆虫薬による寄生虫の駆虫作業などが挙げられます。
誤飲誤食が原因の場合は早急に胃の中の異物を取り出す治療を行う為、嘔吐促進剤や手術用のマジックアームを用いて胃の中のものを取り出します。飲み込んだものが液体の場合は、胃の洗浄や吸着剤を投与して胃の中を綺麗にするなどの治療が行われます。
また、若齢犬や老犬などの体力がない犬以外では、口から接種する食事と水を12時間から24時間止めて胃を休めることで、1日~5日で回復に向かうことがあります。
症状の回復が見られた場合には、徐々に水を与え、消化の良い流動食で少しずつ食べ物に慣らしていき、胃にやさしい低脂肪フードや単一たんぱく、単一炭水化物などの食事を与えながら通常の食事に戻していく絶水・絶食による治療も効果的です。
予防策としては、誤飲誤食を防ぐ為に、犬が拾い食いできる環境を作らないこと、散歩中は特にリスクが高くなるので犬が異物に近づいた際にはすぐ引き離せるようにし、家の中でも同様に誤飲の危険性があるものは犬が近づける場所に置かないよう注意してください。
また、その他にも過剰なストレスを避ける、快適な環境を心掛ける、急な食事の変更を避ける、食事やおやつの変更後は注意するなどのこまめな気配りも大切なので心掛けていきましょう。