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犬の食道炎(しょくどうえん)とは、口と胃をつなぐ食道内で炎症が生じる病気です。
犬の食道炎は発症してもなかなか症状が出にくいという特徴があり、症状が進行してから気付くケースもあります。
主に食べるのが遅くなり、食べる時に大声を出したりよだれを垂らす、食欲不振や食事の嚥下困難(えんげこんなん)、嘔吐、体重減少、食道からの出血により、血交じりの液体を吐き出すなどの症状がみられます。
また、食道炎が進行していくと食道壁の表面だけでなく、粘膜下組織や筋層まで達してしまい、傷ついた組織を修復しようと繊維化が起こることで食道の組織が狭まってしまう食道狭窄(しょくどうきょうさく)という症状を発症し、慢性的に食道炎を続発するようになります。
食道炎の原因はいくつかあり、犬にとって刺激物となる有毒物質(チョコレートやレーズン、キシリトールや玉ねぎ、魚介類や香辛料など)の接種吸引、食道を傷つけるような異物(たばこやクリップ、毛糸やアクセサリー、ボタン電池など)の誤飲誤食、食道の入り口付近にある咽頭や喉頭での炎症が食道に波及してしまう場合、横隔膜ヘルニアなどによって発症した逆流性胃腸炎などの要因でせり上がった胃酸が食道壁を傷つけてしまう場合、ピシウム(カビの一種)やカンジダ(酵母の一種)への感染、麻酔による胃酸の逆流や食道や胸部への手術など医療行為の結果として食道を傷つけてしまった場合などが挙げられます。
食道炎の治療は、症状が軽い場合は抗生物質や抗炎症薬などの投薬治療を行い、固形物が飲み込めず食事ができない状態であれば、流動食を強制的にのどに流し込んだり皮下や静脈から輸液を行う他、食道狭窄を発症している場合はバルーンを入れて強引に拡張したり、狭窄部位を切除する手術を行ったりなど症状の段階に合わせた治療が行われます。
予防策は犬にとってどのような食べ物が有毒で危険なのか、どういったものを簡単に誤飲してしまうのか、あらかじめ知っておくことで病気や事故を未然に防ぐことができるので、日ごろから室内などに危険物を置かないよう注意しましょう。